「本意」と「真意」の違いとは?意味・使い分けをわかりやすく解説

日常会話やビジネス文書で使われる「本意」と「真意」。
どちらも「本当の気持ち」や「内心」を表す言葉として使われますが、実は意味や使い方にははっきりとした違いがあります。
「それは本意ではありません」「真意を確認したいと思います」といった表現を、なんとなく使っていないでしょうか。
言葉のニュアンスを正しく理解していないと、誤解を招いたり、意図しない印象を与えてしまうこともあります。
この記事では、「本意」と「真意」の意味の違い、使われる場面、言い換えの可否などを丁寧に解説し、正しい使い分けができるように整理していきます。


本意の意味とは何か

「本意(ほんい)」とは、その人が本来持っている考えや望み、もともとの目的を指す言葉です。
辞書的には、「本当の意図」「もともとの考え」「真の目的」といった意味で説明されます。

「本意」という言葉には、「当初からそう考えていた」「それを望んでいた」という主体的で継続的な意思が含まれています。
そのため、一時的な感情や偶発的な思いつきではなく、比較的安定した考えや立場を表すときに使われます。

例えば、
「今回の決定は、私の本意ではありません」
という表現では、「本来の考えや望みとは違う」という意味合いになります。

この場合、「やむを得ない事情でそうなった」「周囲の意向に従っただけで、自分の望みではない」といった背景が暗に含まれます。
つまり「本意」は、行動や結果と対比される“本来の意思”を表す言葉だといえます。


真意の意味とは何か

一方で「真意(しんい)」とは、表面には現れていない本当の考えや狙いを意味する言葉です。
こちらも「本当の意図」を指しますが、「本意」と比べるとニュアンスはやや異なります。

「真意」には、「言葉や行動の裏に隠れている考え」「表向きの説明とは別に存在する本音」といった意味合いが強くあります。
そのため、相手の発言や態度を読み解く文脈で使われることが多いのが特徴です。

例えば、
「先方の発言の真意がつかめません」
という場合、「言葉通りに受け取ってよいのか、それとも別の狙いがあるのか分からない」という意味になります。

「真意」は、表面と内面のギャップに注目した言葉であり、必ずしも長期的・一貫的な考えを指すわけではありません。
その場の戦略や駆け引き、遠回しな表現の裏側を指すことも多いのです。


本意と真意の決定的な違い

「本意」と「真意」はどちらも「本当の気持ち」に近い言葉ですが、決定的な違いは焦点の置きどころにあります。

「本意」は、
・その人自身の立場や価値観
・もともとの考えや目的
・行動の根底にある基本方針

に焦点を当てた言葉です。

一方で「真意」は、
・発言や行動の裏にある意図
・表向きには見えない狙い
・相手に読み取らせない本音

に焦点を当てています。

つまり、
本意=本人の内側にある「本来の意思」
真意=表現の裏に隠された「本当の意図」
と整理すると、違いが明確になります。


使われる場面の違い

実際の使用場面を考えると、「本意」と「真意」の使い分けはさらに分かりやすくなります。

「本意」が使われやすいのは、
・自分の意思を説明するとき
・誤解を正したいとき
・やむを得ない判断を弁明するとき

などです。

例えば、
「誤解を招く表現となってしまいましたが、相手を傷つけることが本意ではありません」
といった表現では、「自分の本来の考えは違う」という点を強調しています。

一方、「真意」が使われやすいのは、
・相手の発言を分析するとき
・意図を確認したいとき
・裏の狙いを探るとき

などです。

「この提案の真意を教えていただけますか」
という表現では、「表向きの説明以上の意味があるのではないか」という疑問が込められています。


ビジネスシーンでの使い分け

ビジネスの場では、「本意」と「真意」を誤って使うと、相手に不信感を与えることがあります。

例えば、
「そのような意図は本意ではありません」
と言うと、「自分の考えとは違う」「不本意だった」というニュアンスになります。

一方で、
「そのような真意はありません」
と言うと、「裏の狙いはない」「疑われているようで心外だ」という印象を与える可能性があります。

特に「真意」という言葉は、「裏があるのでは」と疑っている前提で使われることが多いため、使い方には注意が必要です。
相手の立場や関係性によっては、より柔らかい表現に言い換えた方がよい場合もあります。


言い換え表現から見るニュアンスの違い

「本意」と「真意」は、言い換え可能な言葉を見てみると、そのニュアンスの違いがよりはっきりします。

「本意」の言い換えとしては、
・本来の考え
・真の目的
・望んでいること
・意に沿うこと

などが挙げられます。

一方、「真意」の言い換えとしては、
・本音
・裏の意図
・隠された狙い
・真の狙い

といった言葉が近くなります。

この違いからも、「本意」は自分の立場を説明する言葉であり、「真意」は相手の意図を読み解く言葉であることが分かります。


混同しやすいケースと注意点

混同しやすいのは、「本意も真意も“本当の気持ち”だから同じ」と考えてしまう点です。
しかし、両者は使う視点が異なるため、置き換えると不自然になる場合があります。

例えば、
「今回の発言の本意を教えてください」
という表現はやや不自然です。
この場合、「発言の裏にある意図」を聞いているので、「真意」が適切です。

逆に、
「それは私の真意ではありません」
と言うと、「裏の狙いがあると思われていること」を前提にした言い方になってしまい、誤解を生む可能性があります。

自分の意思を説明したい場合は、「本意」を選ぶ方が自然です。


まとめ

「本意」と「真意」は、どちらも「本当の考え」を表す言葉ですが、意味と使い方には明確な違いがあります。
「本意」は、その人が本来持っている考えや望み、基本的な立場を指す言葉です。
一方で「真意」は、発言や行動の裏に隠れた本当の意図や狙いを指します。
自分の考えを説明する場面では「本意」、相手の意図を読み取る場面では「真意」を使うと、自然で誤解のない表現になります。
この違いを正しく理解し、文脈に応じて使い分けることで、より的確で伝わりやすい日本語表現ができるようになるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました