「しらばっくれる」とは?語源・意味の成り立ちと日本語表現の奥深さを徹底解説

「しらばっくれる」という言葉は、日常会話やドラマ、ニュースなどで頻繁に耳にする表現です。悪事や不都合な事実を知っていながら、知らないふりをする態度を指すこの言葉ですが、その語源や成り立ちを正確に説明できる人は意外と多くありません。本記事では、「しらばっくれる」という言葉がどこから生まれ、どのような意味の変遷をたどってきたのかを丁寧にひもときます。語源を知ることで、普段何気なく使っている日本語の奥深さや、言葉に込められたニュアンスをより深く理解できるでしょう。

「しらばっくれる」の現在の意味

「しらばっくれる」とは、本当は知っていることや関わっている事柄について、あえて知らないふりをすることを意味します。特に、自分にとって都合の悪い状況や責任を逃れたい場面で使われることが多く、やや否定的なニュアンスを含んだ言葉です。
たとえば、「証拠があるのに犯人がしらばっくれている」といった使い方が代表的です。この場合、単に「知らない」と言うよりも、意図的で不誠実な態度を強く印象づけます。

「しらばっくれる」という言葉の構成

「しらばっくれる」は、一見すると一語の動詞のように見えますが、実際には複数の要素が組み合わさって成立しています。大きく分けると、「しら(知ら)」と「ばっくれる」という二つの部分に分解できます。
「しら」は「知らない」という意味を直接的に表し、「ばっくれる」は俗語的な動詞です。この二つが結びつくことで、「知らないふりをしてごまかす」という強い意味合いが生まれました。

「ばっくれる」の語源

「しらばっくれる」を理解するうえで欠かせないのが、「ばっくれる」という言葉の語源です。「ばっくれる」は、「逃げる」「とぼける」「約束を破って姿をくらます」といった意味で使われる俗語です。
語源については諸説ありますが、有力とされているのは英語の「back(バック)」に由来する説です。明治以降、日本には多くの英語が取り入れられ、「バックレる」という形で「後ろに下がる」「その場から引き下がる」という意味合いが生まれたと考えられています。
特に学生や若者の間で、「授業をさぼる」「約束を守らずに逃げる」といった意味で使われるようになり、次第に「とぼける」「責任を回避する」といったニュアンスへ広がっていきました。

「しら」と「ばっくれる」が結びついた理由

もともと「ばっくれる」だけでも「逃げる」「とぼける」という意味を持っていましたが、そこに「しら(知ら)」が加わることで、意味がより具体的かつ強調された表現になりました。
単に逃げるのではなく、「知らない」という態度を装って逃げる、つまり意図的な無関与や無知を演じる行為を指す言葉として、「しらばっくれる」が定着したのです。この組み合わせによって、聞き手に強い不誠実さやずるさを印象づける表現になりました。

江戸時代から近代への言葉の変遷

「しらばっくれる」という言葉自体が一般に使われるようになったのは、比較的近代以降とされています。江戸時代には、似た意味を持つ表現として「とぼける」や「知らぬ顔をする」といった言い回しが用いられていました。
明治から大正にかけて、西洋文化や外来語が急速に流入する中で、若者言葉や俗語が数多く生まれました。「ばっくれる」もその一つであり、そこに日本語本来の「しら」が結びつくことで、「しらばっくれる」という独特の響きを持つ言葉が誕生したと考えられています。

否定的なニュアンスが強い理由

「しらばっくれる」が持つ否定的な印象は、その語源や使われ方と深く関係しています。この言葉は、単なる無知や勘違いを表すものではなく、「本当は知っているのに隠す」という意図的な行為を前提としています。
そのため、誠実さに欠ける態度や責任逃れを暗に批判する意味合いが含まれています。日常会話では軽い冗談として使われることもありますが、公式な場や文章では慎重に使う必要がある表現といえるでしょう。

類似表現との違い

「しらばっくれる」と似た意味を持つ言葉に、「とぼける」「知らぬ存ぜぬを通す」「黙り込む」などがあります。しかし、「とぼける」は必ずしも悪意を伴わない場合もあり、どこか愛嬌のある印象を与えることがあります。
一方で、「しらばっくれる」は、より意図的で計算された行為を指す点が特徴です。この違いを理解することで、状況に応じた適切な言葉選びができるようになります。

現代における使われ方

現代では、「しらばっくれる」は会話表現として定着しており、ニュース記事やコラムなどでも見かけることがあります。ただし、口語的でやや荒い印象を与えるため、ビジネス文書や公式な文章では避けられる傾向があります。
それでも、この言葉が持つ鋭いニュアンスは、人物の態度や状況を端的に表現する力を持っており、日本語表現の豊かさを感じさせる一例といえるでしょう。

まとめ

「しらばっくれる」という言葉は、「知らないふりをして責任や関与を否定する」という意味を持つ表現です。その語源は、「知ら」を意味する日本語と、英語由来とされる俗語「ばっくれる」が結びついたものと考えられています。
この言葉が持つ否定的なニュアンスや鋭さは、意図的な不誠実さを指摘する点にあります。語源や成り立ちを理解することで、日常的に使われる日本語の背景や、言葉が持つ力をより深く感じ取ることができるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました