ビジネスシーンや日常会話でよく使われる「参考にさせていただきます」という表現。
丁寧で無難な言い回しとして多用される一方、「本当に正しく使えているのか」「失礼に聞こえることはないのか」と不安に感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
この表現は便利である反面、使い方を誤ると相手に違和感や不信感を与えてしまうことがあります。
本記事では、「参考にさせていただきます」の正しい意味、使うべき場面、誤解されやすいポイント、言い換え表現までを丁寧に解説します。
「参考にさせていただきます」の基本的な意味
「参考にさせていただきます」は、
相手から得た意見・情報・助言などを、自分の判断や行動の材料として活用する意思を丁寧に伝える表現です。
「参考にする」は「判断の材料にする」という意味であり、
「させていただきます」は、相手の行為や好意に対して許可や感謝の気持ちを含めた謙譲表現です。
つまりこの言葉は、
「あなたの意見や情報を大切に受け取り、今後の判断の材料として使います」
というニュアンスを持っています。
「参考にさせていただきます」が丁寧とされる理由
この表現が丁寧とされる理由は、主に以下の点にあります。
まず、「参考にする」という行為そのものを、自分の一方的な判断ではなく、相手の好意や協力によるものとして位置づけている点です。
さらに、「させていただく」という謙譲語を使うことで、相手を立てつつ自分の行動を控えめに表現しています。
そのため、上司・取引先・顧客など、目上の相手に対しても使いやすい表現とされています。
正しく使える代表的な場面
提案や意見をもらったとき
相手から具体的な意見やアイデアを提示された際、その場ですぐに結論を出せない場合に使われます。
「ご提案ありがとうございます。社内で検討する際の参考にさせていただきます。」
このように使うことで、意見を軽視していない姿勢を示すことができます。
アドバイスや助言を受けたとき
経験談や助言をもらった場合にも適しています。
「貴重なご助言をありがとうございます。今後の業務の参考にさせていただきます。」
相手の知見を尊重しつつ、自分の判断で活かす余地を残す表現です。
資料や情報を提供してもらったとき
データや資料を受け取った際にも自然に使えます。
「資料をお送りいただきありがとうございます。参考にさせていただきます。」
この場合、「必ずその通りに実行する」という約束にはなりませんが、受け取ったことへの感謝と敬意は十分に伝わります。
注意すべき誤解されやすい使い方
実行する意思がない場合の多用
「参考にさせていただきます」は便利な反面、
実際には採用するつもりがない場合の断り文句として使われがちです。
そのため、何度もこの表現を使うと、
「結局やらないのではないか」
「本音では断っているのでは」
と受け取られることがあります。
特に同じ相手に対して繰り返し使う場合は注意が必要です。
即答が求められる場面での使用
判断や結論をその場で求められている状況で
「参考にさせていただきます」
とだけ答えると、責任を避けている印象を与えることがあります。
そのような場合は、
「現時点では〇〇と考えておりますが、ご意見も参考にしながら最終判断いたします」
など、補足を加える方が誠実です。
「参考にさせていただきます」は失礼なのか
結論から言えば、正しく使えば失礼ではありません。
むしろ、相手の意見を尊重する丁寧な表現です。
ただし、
・形だけの返答
・社交辞令としての乱用
・結果的に何も反映されない
といった使い方が続くと、不信感を招く可能性があります。
重要なのは、
「参考にする」という言葉に見合った姿勢を、その後の行動で示すことです。
状況に応じた言い換え表現
前向きに取り入れる意思を示したい場合
「大変参考になります。ぜひ取り入れさせていただきます。」
この表現は、実行する意思が強いことを示します。
検討段階であることを明確にしたい場合
「貴重なご意見として、検討の参考にさせていただきます。」
曖昧さを減らしつつ、丁寧さは保てます。
感謝をより強調したい場合
「有益な情報をありがとうございます。今後の判断材料として参考にさせていただきます。」
相手の貢献度をしっかり評価する表現です。
目上の人に使う際のポイント
目上の人に使う場合でも、「参考にさせていただきます」は問題ありません。
ただし、口調や文脈には配慮が必要です。
命令や方針として受け取るべき内容に対して使うと、
「従うかどうかは自分次第」
という印象を与えてしまうことがあります。
その場合は、
「ご指示のとおり進めさせていただきます」
など、より適切な表現を選ぶことが望ましいです。
メールと会話での使い分け
メールの場合
文章として残るため、やや丁寧さを意識します。
「本日は貴重なご意見をありがとうございました。今後の業務の参考にさせていただきます。」
結びとして使うと、印象が柔らかくなります。
会話の場合
会話では、トーンや表情も重要です。
淡々と言うよりも、
「ありがとうございます」を添えることで、誠実さが伝わりやすくなります。
「参考にさせていただきます」が向いていない場面
・必ず実行することが決まっている場合
・上司からの明確な指示を受けた場合
・回答を明確に求められている場合
これらの場面では、別の表現を選ぶ方が適切です。
まとめ
「参考にさせていただきます」は、相手の意見や情報を尊重しつつ、自分の判断材料として活かすことを丁寧に伝える表現です。
正しく使えば失礼になることはなく、ビジネスシーンでも非常に有用な言葉です。
ただし、実行する意思がない場合の多用や、場面に合わない使い方をすると、誤解や不信感を招く恐れがあります。
大切なのは、言葉の丁寧さだけでなく、その後の姿勢や行動です。
状況に応じて適切な表現を選び、「参考にする」という言葉にふさわしい対応を心がけましょう。
