ビジネスメールや案内文でよく見かける「お含みおきください」という表現。丁寧で便利な言葉である一方、意味をあいまいに理解したまま使ってしまい、相手に意図が正しく伝わらないケースも少なくありません。「了承してほしい」のか、「注意してほしい」のか、それとも「覚えておいてほしい」だけなのか。この記事では、「お含みおきください」の正しい意味や使われる場面、誤解されやすいポイントを整理し、適切に使うための考え方をわかりやすく解説します。
「お含みおきください」の基本的な意味
「お含みおきください」とは、「心にとどめておいてください」「事情として理解しておいてください」という意味を持つ表現です。相手に対して、今後の判断や行動の際に考慮してほしい情報がある場合に使われます。
重要なのは、「必ず守ってください」「了承してください」と強く求める言葉ではない点です。あくまで、背景や前提条件を共有し、それを踏まえて対応してほしいという、やや控えめな依頼のニュアンスが含まれています。
「含みおく」という言葉の成り立ち
「含みおく」は、「含む」と「置く」が合わさった言葉です。「含む」は心に入れる、「置く」はその状態を保つという意味を持ちます。つまり、「含みおく」とは「心に入れたままにしておく」「考慮事項として残しておく」という意味になります。
そこに敬語の「お」と依頼表現の「ください」を付けることで、相手を立てた丁寧な表現として「お含みおきください」が成立しています。
どのような場面で使われる表現か
「お含みおきください」は、次のような場面で使われることが多い表現です。
・一時的な変更や例外的な対応がある場合
・将来的に状況が変わる可能性があることを伝える場合
・相手に配慮や理解を求めたいが、強制はしたくない場合
たとえば、「今後、担当者が変更になる可能性がありますので、お含みおきください」のように、確定ではないが知っておいてほしい情報を伝える際に適しています。
「ご了承ください」との違い
「ご了承ください」は、「事情を理解したうえで受け入れてください」という意味合いが強い表現です。相手に不利益や制限が生じる場合でも、それを承諾してもらうニュアンスがあります。
一方で、「お含みおきください」は、承諾まで求める表現ではありません。あくまで「判断材料として覚えておいてください」という立場にとどまります。そのため、相手に負担がかかる内容を一方的に押し付ける場合には、「ご了承ください」のほうが適していることもあります。
「ご承知おきください」との違い
「ご承知おきください」は、「知ったうえで理解してください」「認識しておいてください」という意味で使われます。「お含みおきください」よりも、やや強めに事実を伝える印象があります。
「お含みおきください」は、相手の判断に委ねる余地を残す表現であるのに対し、「ご承知おきください」は、伝達事項として確実に把握してほしい場合に使われることが多い点が違いです。
誤解されやすい使い方と注意点
「お含みおきください」は便利な言葉ですが、使い方を誤ると意図が伝わりにくくなります。
たとえば、明確なルール変更や必須事項に対して使うと、「守らなくてもよいのか」と受け取られる可能性があります。また、クレーム対応や謝罪の場面で使うと、責任回避のように感じられることもあります。
相手に必ず理解・同意してほしい内容なのか、あくまで参考情報として伝えたいのかを整理したうえで使うことが大切です。
ビジネスメールで使う際のポイント
ビジネスメールで「お含みおきください」を使う場合は、前後の文章で補足することが重要です。
「念のためお伝えいたします」「今後のご判断の参考として」などの一文を添えることで、相手に求めている対応レベルが伝わりやすくなります。
単独で使うよりも、背景説明とセットにすることで、丁寧さと分かりやすさを両立できます。
相手に配慮を示す表現としての役割
「お含みおきください」は、相手の立場を尊重する日本語らしい表現です。命令や強制ではなく、「理解してもらえたらありがたい」という姿勢が表れます。
そのため、社内外問わず、角を立てずに情報共有したい場面で重宝されます。ただし、配慮を重ねるあまり曖昧になりすぎないよう、伝える内容の重要度を見極めることが求められます。
まとめ
「お含みおきください」とは、「事情として心に留めておいてください」「判断の際に考慮してください」という意味を持つ、控えめで丁寧な表現です。了承や同意を強く求める言葉ではなく、相手に配慮しながら情報を共有したいときに適しています。
「ご了承ください」や「ご承知おきください」との違いを理解し、伝えたい内容の性質に応じて使い分けることで、誤解のない円滑なコミュニケーションにつながります。
