企業や団体で多くのデバイスを扱う中で、「どの端末が誰のものか」「OSは何か」「いつ購入したか」などをきちんと把握することは非常に重要です。特に使用者が100人規模ともなれば、エクセルなどでは限界を感じてくるでしょう。
そんなときに活用できるのが、オープンソースの業務改善ツール「Pleasanter(プリザンター)」です。この記事では、Pleasanterを活用して、パソコンやスマホといった機器の情報を効率よく管理する方法を詳しくご紹介します。シリアル番号や購入日、OS、使用者、電話番号といった情報をしっかりと記録し、社内のIT資産管理をスマートに進めましょう。
Pleasanterとは?基本の機能と魅力
Pleasanterは、Webベースの情報共有・業務支援ツールです。日本語環境に強く、ノーコードでさまざまな業務アプリを作成できるのが特長です。利用者数やカスタマイズの柔軟性、アクセス権管理のしやすさから、社内の業務アプリ作成ツールとして注目されています。
特に機器管理のような「台帳形式での情報整理」が得意で、以下のような機能があります。
- テーブル形式の一覧表示
- フィルタ・検索機能
- ユーザーごとのアクセス制限
- 入力チェック(必須・形式など)
- ExcelやCSVへのエクスポート
これらの機能を使えば、100人規模の利用者でもスムーズに機器情報を管理できます。
機器管理に必要な情報の整理
まずは、管理したい情報を明確にしましょう。今回の記事では、以下の項目を想定しています。
項目名 | 内容 |
---|---|
機器種類 | パソコンまたはスマートフォン |
シリアル番号 | 機器固有の識別番号 |
購入日 | 機器を購入した日付 |
OS | 使用しているオペレーティングシステム |
使用者 | 機器の利用者(従業員名) |
電話番号 | 端末に紐づく電話番号(スマホのみ) |
これらの情報をPleasanter上で管理できるよう、次の手順で設定していきます。
Pleasanterで「機器管理」テーブルを作成する手順
- サイトの作成
Pleasanterにログインし、「新規サイトの作成」を選択します。テンプレートは「カスタムアプリ(表形式)」を選びましょう。 - カラム(列)の定義
各項目を管理するため、以下のようにカラムを追加します。- 「機器種類」:プルダウン(パソコン/スマホ)
- 「シリアル番号」:文字列
- 「購入日」:日付
- 「OS」:文字列(例:Windows 11、iOS 17)
- 「使用者」:文字列(またはユーザー選択形式)
- 「電話番号」:文字列(スマホのみ入力)
- 入力必須設定
「シリアル番号」「使用者」「購入日」などは必須に設定することで、入力漏れを防げます。
データの登録と検索・表示方法
テーブルの準備ができたら、実際にデータを登録していきましょう。
- 新規登録
「新規作成」ボタンから各機器の情報を入力します。100台程度であれば、CSVインポート機能を使えば一括登録も可能です。 - 一覧表示とフィルタ
機器種類や使用者名、OSなどでフィルタをかけて絞り込みが可能です。例えば、「iOS 17で絞る」「鈴木さんが使っている端末だけ表示する」といった操作が簡単にできます。 - ソート・エクスポート
購入日で昇順に並べ替えたり、データをCSV出力してバックアップすることもできます。
ユーザーごとのアクセス制限を設定する
使用者が100人いる場合、情報の保護や編集権限の制御が重要です。Pleasanterでは、グループごと・ユーザーごとに細かく権限設定ができます。
- 閲覧のみ許可:一般社員
- 編集・削除可:管理部門
- 新規登録のみ許可:現場の担当者
ユーザーのグループ分けを活用して、誤操作や情報漏洩のリスクを抑えましょう。
便利な使い方の工夫(リマインド・備考欄)
Pleasanterでは以下のような工夫をすることで、さらに便利に使えます。
- 備考欄:修理履歴や付属品(充電器の有無など)も記録
- リマインダー機能:購入から3年後に更新通知を出す(JavaScript+通知設定)
- 添付ファイル:領収書や保証書のPDFを添付しておく
これらを組み合わせることで、紙の台帳にはない柔軟性を確保できます。
導入のコツと注意点
- 初期設計を丁寧に行う
あとからカラムを増やすのは可能ですが、事前に必要な項目を洗い出しておくことでスムーズに運用できます。 - ユーザー教育を行う
使用者に操作方法を簡単に説明する資料やマニュアルを用意しておくと、トラブルが減ります。 - 定期的なバックアップをとる
万が一のため、CSVやSQLで定期的にエクスポートして保管しましょう。
補足 機器テーブルと使用者テーブルを作り、リレーションする方法
1. 使用者テーブルを作成
まずは使用者(ユーザー)情報を登録するテーブルを作成します。
項目例(カラム):
- 使用者ID(自動採番 or 任意ID)
- 氏名
- 所属部署
- 内線番号
- メールアドレス など
🔸ポイント:このテーブルが「親」となり、機器テーブルから参照される「マスター情報」となります。
2. 機器テーブルを作成
次に、パソコン・スマホなどの資産情報を管理する「機器テーブル」を作成します。
項目例:
- 機器名
- 機器種別(パソコン/スマホ)
- シリアル番号
- 購入日
- OS
- 使用者(→使用者テーブルの「氏名」などを参照)
- 電話番号
- 備考
3. リレーションの設定(「ルックアップ」機能を使う)
機器テーブルの「使用者」項目に、使用者テーブルの情報を参照させます。
手順:
- 機器テーブルのカラム設定画面で「新しいカラムを追加」します。
- **カラムタイプを「ルックアップ」**に設定します。
- **参照先サイト(使用者テーブル)**を指定し、
参照元の表示項目(例:氏名)を選びます。 - 必要に応じて、参照先の他のカラム(部署・メールなど)も自動取得する設定ができます(拡張ルックアップ機能)。
4. 表示と活用
- 機器登録時に「使用者」を選択すると、自動で氏名が入り、他の情報も連動させられます。
- 使用者の情報が変更された場合でも、参照元を変更するだけでOK。
- フィルタや集計時に、「〇〇さんが使っている機器一覧」なども簡単に抽出可能。
補足:リレーションの活用例
機器名 | 使用者(参照) | OS | 電話番号 |
---|---|---|---|
ノートPC1 | 田中 太郎 | Windows11 | ― |
iPhone SE | 鈴木 花子 | iOS17 | 080-XXXX |
このように、**「使用者情報は1か所で管理」し、「機器ごとに参照して使う」**ことで、データの一貫性とメンテナンス性が大幅に向上します。
まとめ
Pleasanterは、パソコンやスマートフォンといった社内のIT資産をシンプルに、かつ効率的に管理するのに最適なツールです。
カスタマイズ性が高く、項目の追加やレイアウト変更も自由に行えるため、今後の業務変化にも柔軟に対応できます。
100人規模の使用者がいる環境でも安心して使える管理基盤として、Pleasanterを導入してみてはいかがでしょうか。
初期設定さえしっかり行えば、複雑な資産管理もスマートに実現できます。