初心者でもわかるDNSマルチドメインの仕組みと設定方法|複数ドメイン運用のポイントを徹底解説

ホームページやブログ、Webサービスを運営していると、「複数のドメインを1つのサーバーで使いたい」「サブドメインをいくつも運用したい」といったニーズが出てきます。これを実現するのが DNSのマルチドメイン設定 です。
マルチドメインを使えば、1台のサーバーで複数のWebサイトを独立して公開したり、サブドメインごとに異なるサービスを提供することができ、ビジネスやブログ運営の幅が大きく広がります。

この記事では、マルチドメインとは何か、DNSサーバーの仕組み、ネームサーバー設定の考え方、AレコードやCNAMEレコードの設定例、注意点までを初心者向けにわかりやすく解説します。
途中でつまずきやすい「wwwあり・なし問題」「SSL証明書の注意点」「サーバー側のVirtualHost設定」なども具体的に紹介しますので、これからドメイン運用を強化したい方にも役立つ内容となっています。


H2:DNSマルチドメインとは?仕組みをやさしく理解する

マルチドメインとは、1つのサーバーで複数の独立したドメインを利用できる仕組みを指します。たとえば、

  • example.com
  • blog-example.com
  • service-example.net

など異なるドメイン名を、同じサーバーの中で運用するイメージです。

DNS(Domain Name System)は「ドメイン名をIPアドレスに変換する仕組み」です。
例えば、example.com にユーザーがアクセスすると、DNSがドメインに対応するIPアドレスを返し、そのIPアドレスのサーバーがWebページを表示します。

● マルチドメインのポイント

  1. 複数ドメインを同一IPアドレスで運用できる
    → DNSで複数のAレコードを同一IPに割り当てるだけでOK。
  2. 各ドメインは別サイトとして認識される
    → SEO的にも別ドメインとして扱われる。
  3. サーバー側でドメインごとにフォルダやVirtualHostを分けられる
    → Apache、Nginxなどで個別に設定可能。
  4. SSLの設定を忘れるとエラーが出る
    → 特にhttps運用は注意が必要。

ブログや企業サイト、サブプロジェクトなど複数サービスを扱う場合は非常に便利です。


DNSマルチドメインで使う主なDNSレコードの種類

マルチドメイン設定で必ず理解しておきたいのが各DNSレコードです。最低限、以下のレコードだけ抑えれば問題なく運用できます。

● Aレコード

ドメイン → サーバーのIPアドレス を紐づけるレコード。
最も基本的で、ほぼすべての運用で必要になります。

例:

example.com     A     123.456.78.90

● CNAMEレコード

別ドメイン(別ホスト名)に名前を委任するレコード。
サブドメインを使うときに便利。

例:

www.example.com     CNAME     example.com

● MXレコード

メールサーバーを指定するレコード。
Webサイトだけなら不要ですが、メールを使うなら設定必須です。

● TXTレコード

Google Search Console、SSL認証、各種サービスの所有権確認で利用。


マルチドメイン設定の基本ステップ|DNS→サーバー→SSLの順が鉄則

マルチドメインを設定する際は、以下のステップで進めると失敗しません。

① ドメインのDNS設定(AレコードorCNAME)を行う

ドメインごとにサーバーのIPを指定します。

② サーバー側でドメインごとの設定を行う

Apacheなら VirtualHost
Nginxなら server ブロック
を使ってディレクトリを分けます。

③ SSL証明書を発行(Let’s Encryptなど)

https対応しないと「保護されていません」と表示されるため、必ず実施。

④ 動作確認

wwwあり・なしで表示確認。
リダイレクト設定もここで整えます。

この順番を守れば、設定ミスは大幅に減らせます。


DNSの設定例|複数ドメインを1つのサーバーへ向ける場合の実例

ここでは、2つのドメインを1台のサーバーへ割り当てる例を紹介します。

● 例:

  • main-site.com
  • sub-project.net
    この2つを同じサーバー(IP:123.45.67.89)へ設定します。

DNSレコードは次のようになります。

main-site.com      A        123.45.67.89
www.main-site.com  CNAME    main-site.com

sub-project.net      A        123.45.67.89
www.sub-project.net  CNAME    sub-project.net

これでDNS側の設定は完了。
次はサーバー側の設定が必要です。


Apacheでのマルチドメイン設定例(VirtualHost)

Apacheを使っている場合は、VirtualHostでドメインごとのWebサイトを分離できます。

● 例:

  • main-site.com → /var/www/main
  • sub-project.net → /var/www/sub

設定例:

<VirtualHost *:80>
    ServerName main-site.com
    ServerAlias www.main-site.com
    DocumentRoot /var/www/main
</VirtualHost>

<VirtualHost *:80>
    ServerName sub-project.net
    ServerAlias www.sub-project.net
    DocumentRoot /var/www/sub
</VirtualHost>

※ https化する場合は <VirtualHost *:443> にSSL関連の設定を追加します。


Nginxでのマルチドメイン設定例(serverブロック)

Nginxでも同様にドメインごとにserverブロックを分けます。

server {
    server_name main-site.com www.main-site.com;
    root /var/www/main;
}

server {
    server_name sub-project.net www.sub-project.net;
    root /var/www/sub;
}

SSL証明書の注意点|マルチドメイン運用で最もつまずくポイント

マルチドメイン運用で最も問題が起きやすいのが SSL設定 です。

● よくあるエラー

「このサイトは安全ではありません」
「証明書がドメインと一致しません」

これは、ドメインごとにSSL証明書を発行していない場合に起きます。

● 対応方法

Let’s Encryptを使えば無料で何度でも発行できます。

例(Certbot)

sudo certbot --apache -d main-site.com -d www.main-site.com
sudo certbot --apache -d sub-project.net -d www.sub-project.net

● ワイルドカード証明書も便利

*.example.com のようにサブドメインをまとめて扱える証明書。


マルチドメイン運用で気をつけるべきポイント10選

  1. ネームサーバー(NS)を間違えない
  2. AレコードとCNAMEの使い分けを理解する
  3. wwwあり・なしの統一を必ず設定する
  4. SSL証明書はドメインごとに発行する
  5. メールサーバー(MXレコード)がドメインごとに必要
  6. サーバー側でフォルダ分けを忘れない
  7. リダイレクトループに注意
  8. DNS反映時間(最大72時間)を理解しておく
  9. サーバー性能を複数ドメインで圧迫しないようにする
  10. SEO的には別サイト扱いなので戦略を分ける

マルチドメインは自由度が高い反面、設定漏れがあると表示されなかったりSSLエラーが頻発します。
1つずつ丁寧に設定すれば安定運用できます。


実際にどんな場面でマルチドメインが使われる?活用事例を紹介

● ブログの記事ごとに別ドメインを運用

SEOのカテゴリーを完全分離したい場合に有効。

● 顧客向けポータルサイトを複数運用

会社ごとにサブドメインを発行するケースも多い。

● 海外向けに別ドメインを用意

  • example.jp
  • example.com
    など国別で分ける戦略。

● Webアプリのテナントごとにドメインを提供

SaaS開発では一般的な構成。


まとめ|DNSマルチドメインを理解すればWeb運用の幅が大きく広がる

マルチドメインを使うことで、1台のサーバーで複数サイトを効率よく運用できます。
DNSのAレコードやCNAMEの基本、サーバー側のVirtualHostやserverブロックの使い方、SSL設定を理解することで、プロ並みのサイト構築が可能になります。

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