登録販売者試験では、人体の構造や機能に関する知識が重要です。特に「神経系」や「感覚器官」は、医薬品の作用や副作用に密接に関わる分野であり、理解しておくことで薬の選択や説明に役立ちます。この記事では、神経系と感覚器官について試験に出やすいポイントを押さえながら、わかりやすく解説していきます。暗記に頼らず、仕組みを理解することが合格への近道です。
神経系とは?中枢神経と末梢神経の違い
神経系は、身体の情報伝達をつかさどる重要なシステムです。大きく分けて「中枢神経系」と「末梢神経系」に分類されます。
中枢神経系
中枢神経系は「脳」と「脊髄」からなり、情報の処理と指令を行う司令塔の役割を果たします。
- 脳:思考、感情、運動、感覚、記憶などをつかさどる。さらに、脳は大脳・間脳・小脳・脳幹に分けられます。
- 脊髄:脳からの指令を身体に伝え、末梢からの情報を脳に戻す役目を担います。
末梢神経系
末梢神経系は、中枢神経と身体の各部をつなぐ神経です。さらに「体性神経」と「自律神経」に分類されます。
- 体性神経:皮膚や筋肉などの感覚や運動を担当
- 自律神経:内臓や血管などを無意識に制御。交感神経と副交感神経に分かれる
自律神経のしくみと役割
試験でも頻出の自律神経について詳しく見ていきましょう。これは薬の副作用とも深く関係します。
交感神経と副交感神経の違い
自律神経は以下のような特徴があります。
項目 | 交感神経 | 副交感神経 |
---|---|---|
主な働き | 活動・緊張を促す | 休息・リラックスを促す |
瞳孔 | 拡大 | 縮小 |
心拍数 | 増加 | 減少 |
消化器の働き | 抑制 | 促進 |
血圧 | 上昇 | 低下 |
たとえば、風邪薬に含まれる成分で交感神経が刺激されると、心拍が上がったり、口が渇いたりすることがあります。これは副作用として現れるため、薬の説明では神経系の知識が不可欠です。
神経伝達物質と医薬品の関係
神経細胞(ニューロン)は、シナプスという隙間を介して神経伝達物質を使って情報をやり取りします。医薬品はこの伝達に影響を与えることがあります。
主な神経伝達物質とその働き
- アセチルコリン:副交感神経の主な伝達物質。心拍を下げたり、唾液を分泌させたりする。
- ノルアドレナリン:交感神経の主な伝達物質。心拍を上げ、血圧を高める。
- ドパミン・セロトニン:精神活動に関係。抗うつ薬や抗精神病薬に関係する。
登録販売者が取り扱う薬では、抗ヒスタミン薬や鎮咳成分などが、こうした神経伝達物質に影響を与えることがあります。
感覚器官の種類とその役割
感覚器官は、外界からの刺激を受け取り、神経系を通じて脳に伝える役割を担います。
主な感覚器官とその機能
感覚器官 | 働き | 代表例 |
---|---|---|
目 | 視覚 | 光の刺激を網膜で受ける |
耳 | 聴覚・平衡感覚 | 音を感じ、体のバランスを保つ |
鼻 | 嗅覚 | においを感知する |
舌 | 味覚 | 甘味・塩味・酸味・苦味・旨味 |
皮膚 | 触覚 | 温度、痛み、圧力などを感じる |
たとえば、点眼薬は目の構造を理解していないと誤用につながることがあります。耳の疾患では、平衡感覚に影響するため、めまいを訴える人に適切な薬を案内するには、耳の仕組みも理解しておく必要があります。
登録販売者試験で問われやすいポイントまとめ
登録販売者試験では、以下のような出題がよく見られます。
- 自律神経の交感神経と副交感神経の働きの違い
- 神経伝達物質と薬の関係(副作用)
- 感覚器官の名称と機能
- 中枢神経系と末梢神経系の違い
- 感覚器官の構造(例:目の構造、耳の中耳・内耳など)
これらは単なる丸暗記ではなく、「なぜそうなるのか」を理解すると、他の問題にも応用がきくようになります。
試験対策としての勉強法
イラストや図解を使う
神経や感覚器は構造が複雑なので、図を見ながら学ぶと理解が深まります。
薬の副作用と関連づけて覚える
例えば「抗ヒスタミン薬で眠気が出る理由」は中枢神経への作用に関係しています。薬の作用機序と神経系をセットで覚えるのが効果的です。
過去問で反復練習
単元ごとに過去問を解いて、どこが問われやすいかを把握しましょう。神経系・感覚器官は1問だけでなく、複数の科目にまたがって出題されます。
まとめ
神経系と感覚器官は、登録販売者としての知識の土台とも言える重要な分野です。特に薬の作用や副作用を理解するうえで、これらの仕組みを正確に把握しておくことは不可欠です。本記事で紹介したポイントを押さえて、試験対策に役立ててください。仕組みを理解すれば、暗記も楽になり、現場での対応にも自信がつくはずです。