登録販売者試験では、医薬品の効果や副作用を理解するために「人体の構造と働き」に関する知識が問われます。中でも、細胞・組織・器官という人体の基本構造は、すべての理解の出発点となります。この記事では、これから学ぶ方に向けて、人体がどのように構成されているのかを、丁寧に、わかりやすく解説します。これを読むことで、試験対策だけでなく、医薬品がどのように身体に作用するのかをイメージしやすくなるでしょう。
人体の最小単位「細胞」とは?
人間の体は、約60兆個もの細胞からできています。細胞は、生命活動を営む最小の単位であり、それぞれが特定の役割を担っています。
細胞の主な構造には以下のようなものがあります。
- 細胞膜:細胞の外側を囲み、物質の出入りをコントロールする。
- 細胞質:細胞内の液体部分。さまざまな小器官(オルガネラ)が含まれる。
- 核:遺伝情報(DNA)を持つ。細胞の活動をコントロールする中心的な存在。
細胞は種類によって形や機能が異なり、例えば神経細胞は情報伝達、筋細胞は収縮運動、赤血球は酸素運搬など、専門的な役割を持っています。
組織:同じ役割をもつ細胞の集合体
同じ形と機能をもつ細胞が集まってできたものが「組織」です。人体には主に4つの基本的な組織があります。
1. 上皮組織
体の表面や、消化管・呼吸器などの内側を覆う組織です。保護、吸収、分泌などの働きがあります。皮膚の表皮、胃の内壁などが代表例です。
2. 結合組織
細胞の間に多くの「基質」が存在する組織で、組織や器官同士をつないだり、支持したりします。骨、軟骨、脂肪組織、血液もこの仲間です。
3. 筋組織
収縮によって力を発生し、体を動かす働きを持ちます。骨格筋、心筋、平滑筋の3種類があり、それぞれ異なる場所と役割を持っています。
4. 神経組織
神経細胞(ニューロン)からなり、電気信号を通じて情報を伝達する役割があります。脳や脊髄、末梢神経が該当します。
器官:複数の組織が集まり特定の働きをもつ構造
組織が集まって構成され、特定の機能を持つのが「器官」です。例えば、胃という器官には上皮組織(粘膜)、筋組織(蠕動運動)、結合組織(形を保つ)などが集まっています。
代表的な器官の例をいくつか紹介します。
- 心臓:筋組織が主体で、血液を全身に送り出すポンプの役割。
- 肺:ガス交換を行う器官。上皮組織が酸素・二酸化炭素の移動を担います。
- 肝臓:代謝、解毒、胆汁の生成など多機能な器官。
- 腎臓:血液中の老廃物をろ過し、尿を生成します。
このように、器官は単一の組織ではなく、複数の組織が協力して働いています。
器官系:器官のネットワークで生命維持を実現
器官は単体ではなく、機能的に連携して「器官系(システム)」を形成します。以下に代表的な器官系を紹介します。
- 循環器系:心臓・血管。酸素や栄養素を運び、老廃物を排出。
- 呼吸器系:肺・気管。酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出。
- 消化器系:胃・腸・肝臓など。食物を消化・吸収し、不要物を排出。
- 泌尿器系:腎臓・膀胱など。老廃物を尿として排出。
- 神経系:脳・脊髄・神経。情報を伝達・処理し、身体を制御。
- 内分泌系:ホルモンを分泌する器官(例:甲状腺、膵臓)。全身の機能を調節。
これらの器官系が正常に機能することで、私たちの生命は維持されているのです。
登録販売者試験での出題ポイント
登録販売者試験では、次のような点がよく問われます。
- 細胞の基本構造(細胞膜・核・ミトコンドリアなど)
- 組織の分類と特徴(上皮・結合・筋・神経)
- 器官とその主な働き(心臓=循環、腎臓=排泄など)
- 器官系の役割と関係性
図表と用語の整理をしっかり行い、「どの器官がどの器官系に属しているか」をイメージで覚えるのがポイントです。
まとめ:人体構造の理解が医薬品の知識につながる
人体の基本構造は、「細胞 → 組織 → 器官 → 器官系」という階層構造で成り立っています。この構造をしっかり理解することで、医薬品が体のどこにどう作用するかをイメージしやすくなります。試験対策としてはもちろん、登録販売者として現場に立ったときにも必ず役立つ知識です。
勉強する際には、図解やイラストも活用しながら、体系的に整理して覚えていきましょう。