宅建試験では、法律や制度だけでなく「統計」に関する出題もあります。特に近年は「住宅の着工戸数」「世帯数の推移」「土地利用の状況」などのデータを問う問題が目立ち、知識というよりも“数字の感覚”が問われています。
この記事では、宅建試験で押さえておくべき住宅・土地関連の統計データを、最新情報を交えながらわかりやすく解説します。出題傾向やポイントも紹介しますので、数字が苦手な方でも安心して対策できます。
宅建試験における統計の出題傾向
宅建試験では、例年「統計」に関する問題が1問程度出題されます。
出題される内容には次のようなものがあります。
- 住宅着工戸数の推移
- 空き家数の増減
- 世帯数や人口の構成比
- 地価の動向
- 都市と地方の人口集中・土地利用比率
統計問題の多くは、国土交通省や総務省が発表する「住宅・土地統計調査」「建築着工統計」「地価公示」などのデータに基づいて作られます。
過去問を分析すると、「割合の大小」「順位」「年ごとの増減」などが問われる傾向が強いため、正確な数値を暗記するよりも“傾向をつかむ”ことが大切です。
よく出る統計① 住宅着工戸数の特徴
住宅着工統計とは、住宅建設の動向を把握するための重要な資料で、国土交通省が毎月発表しています。
特に注目されるのは、以下の点です。
- 新設住宅着工戸数は減少傾向(長期的)
バブル崩壊以降、全体としては減少傾向にあります。ただし、年度ごとの上下は経済動向によって変動します。 - 持家より貸家・分譲住宅の割合が増えている
近年では、特に都市部における分譲マンションや賃貸住宅の着工が目立ちます。 - 都道府県別の着工数では、東京・神奈川・大阪など都市部が多い
都市圏への人口集中と関連しています。
試験でのチェックポイント:
- 「貸家>持家」などの構成比の比較
- 「前年比で増えたか減ったか」などの増減の傾向
よく出る統計② 空き家率と空き家数
総務省が5年ごとに行う「住宅・土地統計調査」では、空き家率の変化が話題になります。
- 全国の空き家数は約850万戸(直近データ)
- 空き家率は約13%で過去最高水準
- 特に地方や過疎地域での空き家増加が顕著
空き家の内訳は以下の通りです:
- 賃貸用空き家(全体の約半数)
- 売却用・二次的住宅・その他(使用目的のないもの)
試験でのチェックポイント:
- 空き家率の過去最高レベルが13%前後
- 空き家の大半が賃貸用
覚えるべき数字は少なく、構成比のイメージを掴むことが重要です。
よく出る統計③ 地価の動向と都市の構造
国土交通省が毎年発表する「地価公示」も出題対象になります。
- 全国平均では地価はわずかに上昇傾向(2020年代前半)
- 地方は下落傾向、都市部では上昇傾向
- 商業地>住宅地>工業地の順で地価が高い傾向にある
都市構造としては、以下のような分布が典型です:
- 都市中心部:商業地(高密度)
- 周辺地域:住宅地、さらに外縁部に工業地
試験でのチェックポイント:
- 三大都市圏(東京・名古屋・大阪)の地価が高い
- 用途別の地価傾向(商業地>住宅地>工業地)
よく出る統計④ 世帯数・人口構造の変化
世帯数や人口に関する統計も押さえておきましょう。
- 世帯数は年々増加しているが、1世帯あたりの人数は減少
- 単身世帯が増加傾向にあり、全体の約3割を占める
- 高齢化が進行中(65歳以上人口が全体の約3割)
このような人口構造の変化は、住宅ニーズや土地利用の変化にも直結します。
試験でのチェックポイント:
- 単身世帯の割合が高まっていること
- 高齢者世帯の割合や動向に関する出題
よく出る統計⑤ 土地利用の状況
国土利用計画などに関連して、土地の用途別割合も出題されることがあります。
日本の国土全体の土地利用は以下のような割合です:
- 森林:約67%
- 農地:約12%
- 宅地:約5%
- その他(道路・河川など):約16%
このデータは一見覚えにくそうですが、**「森林が多く、宅地は少ない」**という構造を把握するだけでも十分に対応できます。
試験でのチェックポイント:
- 森林が最も多い用途であること(約7割)
- 宅地は意外と少ない(約5%)
統計問題対策のコツと勉強法
統計問題は「知識」よりも「理解と感覚」が大事です。以下の対策法がおすすめです:
- 過去問を数年分確認し、数字の傾向を把握する
- 「○○が多い順」などの順位を覚える
- 国交省や総務省の「要約資料」を読んでおく
- 正確な数値よりも増えたか減ったか、割合の順序を重視
暗記するよりも「感覚で答えられる」レベルまで慣れておくと、本番でも迷いにくくなります。
まとめ
宅建試験の統計問題は、得点源にできる分野です。なぜなら、パターンが限られていて出題傾向が読みやすいからです。住宅や土地に関する数字を丸暗記するのではなく、「どの割合が高い?」「増えた?減った?」という流れをつかむことが大切です。
試験直前でも対策がしやすい分野なので、ぜひこの記事を参考に統計対策に取り組んでください。