宅建試験では、「宅地造成等規制法」に関する出題がよく見られます。
特に、造成に関する工事の許可や安全性の確保など、実務と直結する内容であるため、重要度の高いテーマです。
本記事では、宅地造成等規制法の目的や規制内容、試験に出やすいポイントについて、初学者でも理解できるようにわかりやすく解説していきます。
図やキーワードと合わせて、得点源にできるようにしっかり押さえていきましょう。
宅地造成等規制法とは?目的と概要を理解しよう
「宅地造成等規制法」は、昭和37年に制定された法律です。
この法律の目的は、宅地造成によって引き起こされる地すべりやがけ崩れといった災害を未然に防止することです。
特に、山間部や斜面に住宅地を開発するケースが増えたことで、安全な都市づくりが課題となり、その対策として制定されました。
この法律では、造成工事に関して「許可制度」「工事の技術的基準」「工事完了後の措置」などが定められており、安全確保が第一に考えられています。
「宅地造成」とは?対象となる工事を具体的に把握しよう
宅地造成等規制法における「宅地造成」とは、宅地を新たにつくる、または既存の宅地を改良するために行う、以下のような行為を指します。
- 切土:土地の一部を削って低くすること
- 盛土:土地に土を盛って高くすること
- のり面の変更:斜面の角度を変更すること
- 排水施設や擁壁の設置
例えば、傾斜地を平らにして住宅を建てられるようにするために土を削る、または土を盛るといった行為が対象になります。
これらは災害のリスクを伴うため、一定の基準のもとに許可が必要となります。
規制区域とは?どこでこの法律が適用されるのか
宅地造成等規制法が適用されるのは、「宅地造成工事規制区域」に指定された場所のみです。
この区域は、都道府県知事が指定し、告示されます。
規制区域に指定される条件は、次のようなものです。
- 傾斜地であること
- 宅地造成によって災害が発生するおそれがあると判断される地域
規制区域に指定されると、その区域内で造成工事を行う場合には、原則として知事の許可が必要になります。
許可が必要な場合と不要な場合の違いとは?
宅地造成工事規制区域内での造成工事については、一定の規模を超えると許可が必要になります。具体的には:
- 切土部分が2mを超える工事
- 盛土部分が1mを超える工事
- 切土と盛土を合わせた高さが2mを超える工事
これらに該当する工事を行う際には、事前に都道府県知事の許可を得なければなりません。
ただし、以下のような場合は許可不要です。
- 国や地方公共団体が行う工事
- 都市計画法に基づく開発許可を受けた造成工事
- 建築基準法の許可と同時に認められる場合(特定行政庁の審査による)
試験では、「許可が必要か否か」を問う問題がよく出題されるため、数値基準をしっかりと覚えておくことが重要です。
許可を受けた後の義務と工事の基準
宅地造成工事の許可を受けた後は、次のような義務があります。
- 技術的基準を満たした設計・施工を行うこと
- 工事中は安全確保の措置を講じること
- 完了時に完了検査を受けること
特に重要なのが「工事の技術的基準」です。たとえば、擁壁の構造は強度・高さに応じた設計が必要であり、雨水の排水計画も盛り込む必要があります。
工事完了後は、完了検査に合格してはじめて「工事完了済証」が交付されます。
この証明がないと、その土地で建物を建てることができない場合もあるため、宅建士としての確認義務も問われます。
宅建試験に出るポイントまとめ
試験では、以下のような知識が頻出です。
- 「宅地造成」の定義(切土・盛土)
- 許可が必要な工事の基準(切土2m、盛土1m)
- 規制区域の指定と告示
- 許可不要の例外規定
- 工事後の完了検査と義務
特に、数値や例外規定はひっかけ問題に使われやすいため、条文を暗記するだけでなく、イメージをもって覚えると効果的です。
宅建士としての実務上の留意点
実務においても、宅地を取り扱う場合には宅地造成等規制法の知識が欠かせません。
土地の調査段階で、「この土地は造成された土地か?」「規制区域に指定されているか?」を確認することが、安全な取引に直結します。
特に中古住宅の売買では、既に造成された土地が多いため、擁壁の状態や排水状況の確認も重要です。
宅建士としては、法律の知識だけでなく、現場での観察力も求められます。
まとめ
宅地造成等規制法は、災害を防止するための重要な法律であり、宅建試験でも毎年のように出題されるテーマです。
規制区域内での工事許可や工事基準、例外規定など、覚えるべきポイントは多いですが、図や事例と一緒に学べば理解が深まります。
本記事を通じて、宅建試験における「宅地造成等規制法」の出題ポイントを押さえ、得点源として活用できるようにしましょう。