知らないと損する!所得税に関する仕訳の基本と実務ポイントを徹底解説

企業や個人事業主にとって避けて通れないのが「所得税の処理」。
特に会計処理では、毎月の給与支払い時や年末調整の際に正しく仕訳を行うことが重要です。
しかし、「所得税ってどうやって仕訳すればいいの?」「源泉徴収ってどこに仕訳すれば?」と悩んでしまう方も少なくありません。
この記事では、所得税に関する基本的な仕訳の考え方から、給与支払い時・納付時・年末調整などの実務まで、わかりやすく解説します。
簿記初心者から実務者まで役立つ内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。


所得税とは?会計処理における役割を理解しよう

所得税とは、個人が得た所得に対して課税される税金です。会社員の場合、給与所得に課税される「給与所得税」が主であり、これは雇用主が毎月の給与から天引き(源泉徴収)し、まとめて納付する仕組みになっています。

会計処理の面では、「所得税=会社の費用」ではありません。所得税は、従業員個人の納税義務を会社が代行しているに過ぎないため、仕訳では「預り金」や「未払金」などの負債勘定で処理します。
この点を押さえておくことが、正しい仕訳を行う第一歩です。


給与支払い時の所得税の仕訳方法

給与を支払うとき、支給額から所得税を差し引いた「手取り額」を従業員に渡します。このときの仕訳は以下のようになります。

仕訳例(給与支給時)

借方金額貸方金額
給与手当300,000円預り金(所得税)15,000円
現金または普通預金285,000円

この仕訳では、「給与手当」は従業員への総支給額です。
「預り金(所得税)」は従業員の代わりに国に納付する分で、一時的に会社が預かっている形になります。
「現金または普通預金」は、実際に従業員に支払った手取り額です。

このように、所得税は「預り金」などの負債勘定で処理するのがポイントです。


源泉所得税を納付する際の仕訳

毎月、一定日までに源泉徴収した所得税を税務署に納付する必要があります。この納付時の仕訳は、以下のように処理します。

仕訳例(所得税納付時)

借方金額貸方金額
預り金(所得税)15,000円普通預金15,000円

この仕訳では、従業員から預かった所得税を実際に納付することで「預り金」が減り、同時に会社の現金(または預金)も減少します。


年末調整による還付・追徴の仕訳

年末調整では、従業員の1年間の所得と源泉徴収額を精算します。還付や追加徴収が発生した場合の仕訳は以下の通りです。

仕訳例(還付が発生した場合)

借方金額貸方金額
預り金(所得税)10,000円普通預金10,000円

この場合、会社が従業員に10,000円を還付することになりますので、「預り金」が減少し、同時に会社の預金が減ります。

仕訳例(追加徴収が発生した場合)

借方金額貸方金額
給与手当10,000円預り金(所得税)10,000円

追加徴収がある場合は、従業員の給与からさらに天引きする形になるため、給与手当を増やし、その分を所得税の「預り金」として処理します。


役員報酬と所得税の仕訳

役員報酬も給与と同様に源泉徴収の対象になります。仕訳方法も基本的に同じです。

仕訳例(役員報酬の支給時)

借方金額貸方金額
役員報酬500,000円預り金(所得税)50,000円
普通預金450,000円

役員報酬では「役員報酬」という勘定科目を使います。仕訳の構造は給与支給時と同様です。


法定調書や納付書作成との関係

所得税の仕訳を正確に行うことで、法定調書(給与支払報告書、源泉徴収票)や納付書(納付書合計表)をスムーズに作成することができます。会計データと税務申告の整合性を保つためにも、日々の仕訳を正しく記録しておくことが重要です。

特に年末調整後には、源泉徴収票の発行や市町村への給与支払報告書の提出が必要になるため、年末までに正しい仕訳がされていることが求められます。


所得税仕訳に関するよくあるミスと注意点

所得税の仕訳でよくあるミスには、次のようなものがあります。

  • 所得税を「費用」として計上してしまう
  • 預り金の残高と納付額が合わない
  • 還付額を誤って費用処理してしまう

これらはすべて、会計帳簿の正確性に影響を及ぼすため、税務調査で指摘される可能性もあります。
「所得税は会社の支出ではなく、従業員の代わりに納めている」という本質を理解することで、ミスを防ぐことができます。


まとめ|正しい仕訳で税務対応もスムーズに

所得税に関する仕訳は、給与・報酬の支払いと密接に関わっており、会社の会計処理にとって欠かせないポイントです。

仕訳の基本は以下の通りです:

  • 給与支給時:所得税は「預り金」で処理
  • 納付時:預り金を減らす仕訳を行う
  • 年末調整:還付・追加徴収によって調整する

実務においては、これらの処理を正確かつ迅速に行うことで、信頼性の高い帳簿が完成し、税務申告にもスムーズに対応できます。

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