ビジネスの現場でよく使われる「稟議書」。新しいプロジェクトの提案、設備の購入、予算の承認など、さまざまな場面で必要とされます。しかし、「何を書けばいいのか」「どうすればスムーズに承認されるのか」と悩む方も少なくありません。この記事では、稟議書の基本的な目的から、効果的な書き方、通りやすい稟議のコツまで、初心者にもわかりやすく解説します。上司の心を動かす稟議書を目指して、ぜひ参考にしてください。
稟議書とは?目的と役割を理解しよう
稟議書とは、会社や組織内で「意思決定の合意を得るための文書」です。上司や関係部署に回覧し、承認を得るプロセスを「稟議(りんぎ)」と呼びます。口頭で伝えるのではなく、文書として提案内容を記録し、証拠として残せる点が大きな特徴です。
主な目的は以下の通りです。
- 意思決定の透明化:誰がいつ何を承認したか明確になる
- 責任の分担:承認の段階で関係者が関わるため、責任が分散される
- 内容の精査:文書にまとめることで、無駄な支出や誤った判断を防げる
つまり、稟議書は「ただの報告」ではなく、「組織全体の決定を支える仕組み」なのです。
稟議書を書く前に整理すべき5つのポイント
稟議書を書く前に、まず以下の情報を整理しておくことで、スムーズに書き進めることができます。
- 目的・背景:なぜこの稟議が必要なのか
- 内容:何を提案しているのか、詳細に説明
- 金額・費用:費用が発生する場合は正確な見積もりを提示
- 効果・期待される成果:承認されることで得られるメリット
- 実施スケジュール:いつから、どのように進めるかの計画
これらを事前に整理しておくと、稟議書の内容に一貫性が生まれ、説得力が増します。
稟議書の基本構成と各項目の書き方
一般的な稟議書は、以下のような構成で作成されます。
件名
稟議の主旨を簡潔に表すタイトルをつけましょう。例:「○○導入に関する稟議書」「○○設備購入の件」
提出日・提出者・所属
誰が、いつ、どの部署から提出したかを明記します。
稟議の目的
背景や経緯を簡潔に説明し、「なぜこの稟議が必要か」を明示します。
例:
現在使用中のPCが老朽化しており、業務効率の低下が見られるため、新機種への入れ替えを行いたく、本稟議を提出いたします。
稟議内容
具体的な提案内容を詳細に記載します。購入予定のもの、業務の変更内容、提携先の情報などを含め、第三者にも理解できるように書きます。
金額と内訳
費用が発生する場合は、合計金額とその内訳、見積書の添付を忘れずに。
実施予定日
提案の実行時期を明確にし、スケジュール感を共有します。
効果・メリット
稟議が承認されることで得られる成果、改善される点を示しましょう。
例:
新しいPCの導入により、業務処理速度が向上し、社員の作業効率が約30%改善されると見込まれます。
添付資料
見積書、パンフレット、図面など、判断材料になる資料は忘れず添付します。
稟議書を通りやすくする3つのコツ
1. 結論から先に述べる
「背景→提案→効果」の順に書くのが基本ですが、冒頭で結論を簡潔に伝えると、読み手の関心を引きやすくなります。
2. 数字やデータで裏付ける
効果やコストの説明は、なるべく「数値」で示すことで説得力が増します。「約30%の作業効率向上」など、具体的に書きましょう。
3. 関係者の合意を事前に得ておく
関係部署との調整が必要な場合は、稟議を回す前に口頭やメールで了解を取っておくと、スムーズに承認が進みます。
稟議書のNG例と改善ポイント
NG例:
「業務効率を上げるためにパソコンが必要です。費用は会社持ちでお願いします。」
問題点:
- 目的があいまい
- 具体的な提案内容や金額の記載がない
- 成果の見込みが書かれていない
改善例:
現在使用中のPCが5年以上経過しており、処理速度の低下により日常業務に支障が出ております。つきましては、最新機種への入れ替えを提案いたします。導入により、資料作成やデータ処理にかかる時間が約30%短縮される見込みです。費用は1台あたり120,000円、計5台分で600,000円(税込)です。
稟議書は「通す」より「伝える」ことが大事
稟議書は単なる書類ではなく、「提案を通じて会社をより良くするためのコミュニケーションツール」です。上司や他部署との信頼関係を深め、組織全体の意思決定をスムーズにするためにも、わかりやすく、丁寧に作成することが求められます。
まとめ
稟議書はビジネスパーソンにとって、重要なスキルのひとつです。「誰にでも伝わる」ように意識して作ることで、承認スピードも上がり、社内での評価も高まります。この記事を参考に、実践で使える稟議書作成にぜひチャレンジしてみてください。