廃業は、事業の終止符を打つ大切な節目です。
お客様や取引先、関係者への感謝を込めて丁寧にお知らせすることは、これまで築いてきた信頼関係を守るうえで欠かせません。
しかし、いざ文章を作ろうとすると「何を書けばいいのか」「どこまで詳しく書くべきか」で悩む方も多いです。
本記事では、廃業のお知らせに使える文例を複数ご紹介し、あわせて書き方のポイントや注意点を解説します。
店舗、会社、個人事業主など、業種を問わず活用できる内容にしていますので、必要に応じてアレンジしてご利用ください。
目次
廃業のお知らせを書く目的と基本構成
廃業のお知らせは、単なる告知ではなく、これまでのご愛顧に対する感謝と、今後の対応に関する案内を兼ねた重要な文書です。
基本的には、以下の構成を押さえておくと読みやすく、誠意が伝わります。
- 冒頭の挨拶と感謝の言葉
- 「平素よりご愛顧いただき、誠にありがとうございます」など、これまでの支援へのお礼から始めます。
- 廃業の事実と理由(簡潔に)
- 「このたび○○の事情により、令和○年○月○日をもちまして廃業することとなりました」など。
- 理由は簡潔にし、詳細は控えるのが一般的です。
- 今後の対応について
- 未納品の品や未収金の精算、アフターサービスの連絡先などを明記。
- 最後の感謝と結びの挨拶
- 「長年のご厚情に深く感謝申し上げます」などで締めくくります。
廃業のお知らせの書き方のポイント
- 感情的にならず、事実と感謝を中心に書く
辞める理由が不本意であっても、読む相手への配慮を優先します。 - 日付や連絡先は正確に
廃業日や今後の問い合わせ先は誤りがないようにします。 - 文章は簡潔に
長すぎると読み手が疲れてしまうため、A4用紙1枚程度が理想です。 - 業種や相手に応じて文面を変える
BtoB向けとBtoC向けでは文体や情報量を調整します。
文例1:一般的な店舗向け(顧客宛)
拝啓 平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
このたび、諸般の事情により、令和7年3月31日をもちまして○○店を閉店し、廃業することとなりました。
長年にわたり多くのお客様に支えられ、営業を続けてまいりましたが、やむを得ない事情により決断いたしました。
これまでのご厚情に心より感謝申し上げます。
なお、今後の商品に関するお問い合わせは、下記までご連絡くださいますようお願いいたします。
〒000-0000
○○市○○町○丁目○番地
電話:000-000-0000
末筆ながら、皆様のご多幸とご健康を心よりお祈り申し上げます。
敬具
令和7年3月吉日
○○店
文例2:法人の取引先向け
拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、弊社は昭和○年の創業以来、○○業を営んでまいりましたが、諸般の事情により令和7年3月31日をもちまして廃業することとなりました。
これまで長きにわたりご支援を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。
今後のお取引につきましては、○○株式会社様をご紹介申し上げますので、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
敬具
令和7年2月吉日
株式会社○○
代表取締役 ○○○○
文例3:個人事業主からの案内(柔らかい表現)
皆様へ
いつも○○をご利用いただき、誠にありがとうございます。
突然のお知らせとなりますが、このたび○○は令和7年3月末日をもちまして閉店することになりました。
長い間、たくさんのお客様に支えられ、楽しく営業を続けることができました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
残りの営業日も、これまで通り心を込めて営業いたしますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
本当にありがとうございました。
皆様の今後のご健康とご多幸をお祈りいたします。
○○店主 ○○○○
文例4:会員制サービス終了の告知
会員の皆様へ
平素より○○サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
突然のお知らせとなりますが、令和7年4月30日をもちまして、当サービスは終了させていただくこととなりました。
これまでご利用いただきました会員の皆様には、心より感謝申し上げます。
未使用ポイントや予約については、終了日までにご利用いただきますようお願い申し上げます。
詳細につきましては、当社ホームページにてご案内しておりますので、ご確認ください。
皆様のご理解を賜りますようお願い申し上げます。
文例5:メールで送る場合(簡潔型)
件名:廃業のお知らせ(○○株式会社)
○○株式会社
代表取締役 ○○○○です。
このたび弊社は、令和7年3月31日をもちまして廃業することとなりました。
長年のご愛顧に心より御礼申し上げます。
今後のご連絡は下記までお願いいたします。
○○株式会社 廃業後窓口
電話:000-000-0000
メール:xxx@xxx.co.jp
廃業のお知らせで避けたいNG表現
- 「倒産しました」などネガティブすぎる表現
法的に異なる意味を持つため、誤解を招く恐れがあります。 - 個人的な不満や愚痴を書く
相手に不快感を与え、印象を損ねます。 - 理由を詳細に書きすぎる
内部事情や経営不振の詳細は避け、簡潔に「諸般の事情」とまとめます。
まとめ
廃業のお知らせは、単なる告知ではなく、感謝を込めた最後のご挨拶です。
読み手への敬意を忘れず、事実を簡潔に、そして温かみのある言葉を添えることで、これまでの関係を良好な形で締めくくれます。
この記事で紹介した文例をベースに、自分の事業や状況に合わせてアレンジし、誠意が伝わるお知らせを作成しましょう。