日本の夏の風物詩ともいえる「お中元」。
日頃の感謝やご挨拶として贈り合う文化は大切ですが、受け取る側の立場や状況によっては「ありがたいけれど辞退したい」と思うこともあります。例えば、会社として受け取りを禁止している場合や、公平性を保つ必要がある立場、あるいは個人的にお付き合いを控えたいケースなどが考えられます。
しかし「せっかくのお気持ちを無下にしたくない」「相手に失礼にならないように伝えたい」と悩む方は多いのではないでしょうか。
この記事では、お中元を丁寧に断る際のポイントや、ビジネス・プライベートで使える例文を紹介します。相手の気持ちを尊重しつつ、自分の立場を守る伝え方を身につけましょう。
お中元を断る必要があるのはどんな時?
お中元を断るケースは決して珍しくありません。代表的な理由は以下の通りです。
- 会社の規定で禁止されている場合
近年はコンプライアンスの観点から、贈答品の授受を禁止している企業が増えています。 - 公平性を保つため
公務員や特定の職業では、特定の相手から贈り物を受け取ることで利害関係が生じると見なされる場合があります。 - 個人的な事情
経済的な理由や、これ以上形式的なお付き合いを広げたくないといったケースもあります。
このように、断ることは必ずしも失礼ではなく、むしろ適切な対応として必要なこともあるのです。
断る際の基本マナー
お中元を断るときに大切なのは「感謝を伝えつつ、はっきりと辞退の意思を示す」ことです。
- まずは感謝を述べる
「お気遣いありがとうございます」「温かいお心遣いに感謝いたします」など、相手の気持ちを尊重します。 - 断る理由を簡潔に伝える
会社の規定、家庭の方針など、客観的な理由を添えると角が立ちません。 - 今後も良い関係を望むことを添える
「今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます」といった言葉で、断った後の関係を保ちます。
ビジネスシーンで使える断りの例文
例文1:会社の規定を理由に断る
「このたびはご丁寧なお心遣いを賜り、誠にありがとうございます。
せっかくのお気持ちに恐縮ですが、弊社では贈答品の授受を控えるよう社内規定がございます。まことに勝手ながら、今後はどうぞお気遣いなさらぬようお願い申し上げます。引き続き変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。」
例文2:公平性を保つために断る
「ご丁寧にお中元をお送りいただき、心より御礼申し上げます。
誠に恐縮ではございますが、私どもの立場上、公平性を保つため贈答品の授受はご遠慮申し上げております。どうかお気持ちだけ頂戴できれば幸いに存じます。今後とも変わらぬご指導をお願い申し上げます。」
例文3:丁寧に辞退しつつ関係を続けたい場合
「このたびは結構なお品を頂戴し、誠にありがとうございました。
しかしながら今後につきましては、どうかお気遣いなさらぬようお願い申し上げます。お心遣いに心より感謝しつつ、今後とも末永いお付き合いをお願い申し上げます。」
プライベートで使える断りの例文
例文4:親しい友人からのお中元を断る
「素敵なお中元をありがとう。お気持ちはとても嬉しいけれど、今後はどうか気を遣わないでね。これからもお互い無理のない範囲で楽しく付き合っていけたら嬉しいな。」
例文5:親戚に対して断る
「このたびはご丁寧にお中元をいただき、誠にありがとうございます。
お気遣いに感謝申し上げますが、どうか今後はお気持ちだけ頂戴できれば幸いです。お互いに負担なく良いお付き合いを続けていければと思っております。」
例文6:ご近所からいただいた場合
「結構なお品をいただき、ありがとうございました。お気持ちに感謝いたしますが、どうか今後はお気遣いなさいませんように。これからも末永く良いお付き合いをお願いいたします。」
手紙・メールで伝えるときのポイント
- 手紙の場合:縦書きで形式的にまとめると改まった印象になります。
- メールの場合:ビジネスでは定型的に、プライベートでは柔らかい言葉を選びましょう。
- 電話で伝える場合:相手が恐縮してしまわないよう、明るいトーンで感謝を強調しましょう。
お中元を断ったあとのフォロー
一度断っただけでは、翌年も贈られてしまう場合があります。そのため、
- 「今後もお気遣いなく」と毎回添える
- 断った後も暑中見舞いや近況の挨拶を送る
- お世話になっている相手には別の形で感謝を示す
といったフォローをしておくことで、相手との関係を良好に保ちながら断ることができます。
まとめ
お中元を断るのは勇気がいることですが、相手の気持ちに感謝を示しつつ理由を添えれば、失礼にはあたりません。ビジネスでもプライベートでも「ありがとう」「お気持ちだけで十分です」という姿勢を大切にすることがポイントです。
相手との関係を大切にしながら、無理のない付き合い方を選ぶことで、互いに気持ちの良い関係を築いていけるでしょう。