簿記の「試算表」とは？種類と作成手順をわかりやすく解説！

簿記を学んでいると「試算表（しさんひょう）」という言葉をよく耳にします。試算表は、帳簿の集計や仕訳の正確さを確認するための一覧表で、日々の記帳がきちんと行われているかをチェックする重要な役割を担っています。しかし、初心者にとっては、種類や作成手順が分かりづらいという声も少なくありません。
この記事では、簿記における試算表の基礎知識から、実際の作成手順、注意点までを丁寧に解説します。これから簿記を学ぶ方、試算表の理解を深めたい方に向けて、わかりやすい言葉でご紹介していきます。

試算表とは何か？その役割と目的
試算表の3つの種類
試算表作成の基本的な流れ
試算表作成時の注意点
試算表の作成例（合計残高試算表）
試算表と決算書のつながり
試算表の活用場面
まとめ：試算表を理解すれば簿記の実務力がアップする

試算表とは何か？その役割と目的

試算表とは、仕訳帳や総勘定元帳をもとに、各勘定科目の残高や合計を一覧にまとめた表のことです。主に月末や決算前に作成され、帳簿の記録が正しいかどうかを確認するために使われます。

例えば、借方と貸方の合計金額が一致していれば、記帳ミスがないと判断できます。逆に一致していなければ、どこかに記帳ミスがあるということになります。

試算表には以下のような役割があります：

記帳のミスを発見する
各勘定科目の現在の金額を把握できる
決算書（損益計算書・貸借対照表）の作成準備になる

試算表の3つの種類

試算表には目的や作成タイミングに応じて、以下の3つの種類があります。

合計試算表

各勘定科目ごとに、借方合計と貸方合計を集計したものです。
「合計が一致するか」に重きを置いており、残高は表示されません。

残高試算表

各勘定科目の「残高（差額）」のみを表示した試算表です。現在の資産・負債・収益・費用の状況を一目で把握できます。

合計残高試算表

合計試算表と残高試算表を合わせた形式で、借方合計・貸方合計と、借方残高・貸方残高の両方を掲載します。
企業会計や簿記の学習では、最もよく使われる形式です。

試算表作成の基本的な流れ

試算表を作るためには、まず正確な帳簿記入が前提です。以下の手順で進めます。

1. 仕訳帳の記録を確認する

仕訳帳にはすべての取引が時系列で記録されており、これが元になります。間違いがないかチェックしましょう。

2. 総勘定元帳に転記する

仕訳帳から各勘定科目ごとに記録をまとめた「総勘定元帳」に転記します。これにより、勘定ごとの合計金額を確認できます。

3. 各勘定の合計または残高を算出する

勘定ごとの「借方合計」「貸方合計」または「残高（借方−貸方）」を計算します。

4. 試算表に集計して記入する

各勘定科目の数値を試算表に転記します。合計が左右で一致するか確認し、不一致があれば原因を調査します。

試算表作成時の注意点

試算表を正しく作成するためには、いくつかのポイントに注意が必要です。

転記ミスのチェック：仕訳帳から総勘定元帳へ、元帳から試算表へ転記する際に数字を間違えないように。
左右の一致：借方合計と貸方合計、または借方残高と貸方残高が一致するか必ず確認する。
未処理の取引がないか確認：現金や預金、仕入など主要な科目の処理漏れがないかをチェック。

特に合計残高試算表では、4つの合計すべてがそれぞれ一致していることが重要です。どこかがズレていると、帳簿上の問題や記帳ミスの可能性が高まります。

試算表の作成例（合計残高試算表）

以下は簡易的な合計残高試算表の例です。

勘定科目	借方合計	貸方合計	借方残高	貸方残高
現金	300,000	100,000	200,000
売掛金	150,000	50,000	100,000
買掛金	30,000	90,000		60,000
資本金		300,000		300,000
売上		500,000		500,000
仕入	200,000		200,000
給料	100,000		100,000
合計	780,000	780,000	600,000	860,000