ビジネスメールや会話で「可能です」という表現を使う場面は多いですよね。しかし、「可能です」は正しい敬語表現なのか、どんな場面で使うべきか迷ったことはありませんか?普段何気なく使っている言葉だからこそ、改めて正しい意味や使い方を確認しておきたいもの。この記事では、「可能です」の敬語としての位置づけや、自然なビジネスシーンでの活用方法、さらに注意点について詳しく解説します。最後には、すぐに使える例文を5つご紹介しますので、ぜひ明日からのやり取りにお役立てください。
1. 「可能です」は敬語として正しい?
結論から言えば、「可能です」という表現自体は敬語ではありません。もともと「可能」は「できること」を意味する言葉であり、そこに「です(断定の丁寧語)」がつくことで丁寧な表現として成立しています。つまり「可能です」は、“「可能だ」の丁寧語” という位置づけです。
一方、「可能ですか?」「可能でしょうか?」といった形になると、疑問の丁寧表現へと変わります。ここで覚えておきたいのは、「可能ですか?」がカジュアルに聞こえるケースがあるということです。ビジネスシーンでは、もう少し柔らかい響きにしたい場合、「可能でしょうか?」や「可能でしたら」などの表現が好まれやすくなります。
「可能です」という言葉そのものは失礼にはあたりませんが、より丁寧さを出すには表現や文脈次第で調整が必要です。例えば相手との距離感がまだ掴めていない場合や、上司や取引先に尋ねる場合などは「可能でしょうか?」のほうが無難といえます。
2. 「可能です」が使われる主なシーン
2-1. ビジネスメールでの打ち合わせ調整
「来週の火曜日にお時間をいただくことは可能でしょうか?」というように、日程調整やアポイントをお願いする際によく使われます。相手に手間を取らせるため、失礼にならないよう丁寧な表現が求められるシーンです。
2-2. 資料やデータの送付可否を尋ねる場合
「データを本日中に送っていただくことは可能ですか?」という形で、納期や作業の可否を確認する際に使います。ただし、ビジネス相手や立場によっては「〜していただくことは可能でしょうか?」としたほうが、より柔らかく感じられます。
2-3. 社内外問わず依頼をする場合
「今週末までの対応は可能ですか?」といった具合に、社内の同僚や関連部署へ仕事をお願いする場合にも使われます。ただし、相手が上司や年上の場合には「〜可能でしょうか?」とより丁寧な言い回しを考慮しましょう。
「可能です」は、「できますか?」の丁寧なバリエーションとして、さまざまなシーンで汎用的に使えるため、ビジネスコミュニケーションでは非常に便利な表現です。
3. 「可能でしょうか」「可能でしたら」など派生表現の使い分け
「可能です」をベースにした、よく使われる派生表現と、その使い分けのポイントを押さえましょう。
3-1. 「可能でしょうか?」
相手に対してやや丁寧に「できますか?」と尋ねる形です。ビジネス上では比較的一般的で、返答もしやすい聞き方です。「可能ですか?」よりも柔らかく、丁寧な印象を与えます。取引先や上司に依頼する場合、特に目上の方にはこちらが無難でしょう。
例:
「来週いっぱいでご対応いただくことは可能でしょうか?」
3-2. 「可能でしたら」
こちらは「もし~が可能であれば」という仮定表現を含む言い回しです。相手に断りやすい選択肢を与えることで、押し付けがましさを軽減できます。上司や取引先などに依頼するときに便利です。
例:
「可能でしたら、今週中にメールでご連絡いただけますと幸いです。」
3-3. 「ご対応いただけますでしょうか」
「可能」という単語を使わずに同様の意味を伝える方法です。「対応」や「検討」など、別の言葉で置き換えることでより自然になる場合もあります。
例:
「恐縮ですが、こちらの件についてご対応いただけますでしょうか?」
3-4. 「していただくことはできますか」「していただくことは難しいでしょうか」
「可能です」をあえて使わず、「〜していただくことはできますか」と尋ねることで、相手に直接的かつ丁寧に依頼をする形です。相手ができるかどうかを確認するニュアンスを保ちながら、硬すぎず柔らかい印象を与えられます。
4. 「可能です」にまつわるNG表現と注意点
4-1. 「可能になります」「可能になっております」
ビジネスメールや会話でよく見かける表現ですが、実は不自然なケースが少なくありません。「可能」は「〜できる状態」を表す言葉であり、「なる」は状態が変化する動詞です。「〜になります」「〜になっております」を多用すると、文章がまわりくどくなってしまうことも。
例:
- 「ご用意が可能になっております」→「ご用意ができます」
- 「明日には対応可能になります」→「明日には対応できます」
「〜になります」を多用すると非常にビジネス文書特有の硬い表現に陥りやすいので、丁寧に伝えたいときは「できます」「ご利用いただけます」を検討しましょう。
4-2. 「よろしかったでしょうか?」と混同する
依頼内容を確認するために「よろしかったでしょうか?」を使う場面がありますが、本来は過去形の表現であり、敬語としては違和感があると言われることもあります。「よろしいでしょうか?」のほうが正しい形となります。
「可能ですか?」と「よろしかったでしょうか?」を組み合わせてしまうと、「可能でしたらよろしかったでしょうか?」というやや複雑な過去形が混じった表現になり、文意が不明確になることも。なるべく文意をシンプルに保ちましょう。
4-3. 相手の立場や関係性を考慮しない
「可能です」は失礼にならない表現ですが、相手が上司や取引先など、より敬意を払う必要がある相手の場合には、もう一段階丁寧にした「可能でしょうか?」や「可能でしたら助かります」といった表現を選ぶほうが望ましいです。フランクすぎる表現は避け、状況や相手との距離感に合った言い回しを心がけましょう。
5. 【文例5選】実際に使える「可能です」の例文
以下に、ビジネスシーンですぐに使える例文を5つご紹介します。自分の文章に合わせて適宜調整してみてください。
- 日程調整の依頼
- 「来週月曜日の午前中にお打ち合わせが可能でしょうか。ご都合をお聞かせいただけますと幸いです。」
- 資料送付のお願い
- 「お忙しいところ恐れ入りますが、本日中にデータをご共有いただくことは可能でしたらお願いできますでしょうか。」
- 会議資料の確認
- 「こちらの資料に目を通していただくことは可能でしょうか。問題や不明点がございましたらご連絡ください。」
- 対応可否の確認
- 「この作業を今週末までに完了していただくことは可能ですか。難しいようでしたらご相談ください。」
- 社内リソースの確認
- 「追加の人員をアサインしていただくことは可能でしょうか。もし難しい場合は他の案を検討いたします。」
6. まとめ:正しい敬語を使ってスムーズなやり取りを
「可能です」という表現は、一見硬いように見えてビジネスシーンでも幅広く使われる言葉です。大切なのは、相手との関係や文脈に合わせて「可能でしょうか」「可能でしたら」「ご対応いただけますでしょうか」などとバリエーションを使い分けること。また、不自然な「〜になります」の多用は避け、スッキリと明瞭に伝える配慮も心がけたいポイントです。
ビジネスメールや会話で頻出するからこそ、「可能です」を正しく使いこなせれば、よりスムーズで相手に好印象を与えるコミュニケーションが実現できます。今回ご紹介したポイントや文例を参考に、さまざまなシチュエーションで適切な言葉選びを行ってみてください。正しい敬語表現を身につけることで、仕事のやり取りがよりスムーズに進むはずです。
今後も相手への配慮や丁寧さを忘れずに、さまざまな表現を使いこなしましょう。あなたのビジネスコミュニケーションが円滑に進むことを願っています。