施設の部屋の配置図を作る際には、正確な測量が欠かせません。
手描きの図面やCAD図面を作る前段階として、現場でどのように寸法を取り、情報を整理していくかが、図面の精度を左右します。
本記事では、特別な資格や高価な機器がなくても実践できる「部屋の配置図作成に必要な測量方法」をわかりやすく解説します。
施設管理者やリフォームを検討中の方、また建築初心者の方にもおすすめの内容です。
測量の目的と重要性とは
施設内の部屋の配置図を作成するためには、正確な「現状の把握」が必要です。
測量は、この現状把握の第一歩です。壁の長さ、天井の高さ、ドアや窓の位置、柱の寸法など、全てが配置図の基礎データになります。
たとえば、以下のような目的が考えられます。
- リフォーム計画に必要な現況図の作成
- 設備の更新時に必要な寸法取り
- 防災マップや避難経路の更新
- 管理台帳用の図面整備
精度が低いと、施工時のミスや予算超過の原因になるため、正確な測量が非常に重要です。
測量に必要な道具とは
特別な機器がなくても、以下のような道具で十分対応可能です。
- メジャー(スチール巻尺):3m〜5m以上のものが望ましい
- レーザー距離計:正確で早い(可能であれば推奨)
- 方眼紙またはクリップボードとA4用紙:手描きスケッチ用
- 筆記用具(シャーペン、消しゴム)
- 水平器(スマホアプリで代用可)
- スマートフォン(写真撮影・記録用)
レーザー距離計は最近では比較的安価に手に入ります。手軽さと正確性を兼ね備えているので、可能なら導入すると作業効率が上がります。
事前準備でやっておくべきこと
測量に入る前に、以下の事前準備をしておくとスムーズです。
- 建物の全体構造を把握する
事務所棟、倉庫棟など、どの部分を測るかを確認します。 - フロア単位で作業する
一気に全体をやろうとせず、1階、2階など分割することで精度が上がります。 - 作業時間を確保する
測量は思った以上に時間がかかる場合があります。人が少ない時間帯を選ぶのが理想です。
測量の手順① 部屋の形をスケッチする
測定作業は、ざっくりとした手描きの間取りスケッチから始まります。
以下の点を意識して描きます。
- 出入口、ドア、窓の位置を忘れず記入
- 柱や段差などの障害物も記入
- 図面は多少ゆがんでもよい(寸法で正確に補正)
手描きのスケッチは後からCAD化する際の大きな助けになります。
測量の手順② 壁の寸法を測る
続いて、各壁面の長さを測定していきます。
以下の順序で行うとスムーズです。
- 部屋の外周の壁を時計回りに測定
- 部屋の内側に出っ張る柱やくぼみも測定
- 天井の高さ(床から天井まで)も測っておく
各寸法は、スケッチ図の対応箇所に直接メモしておくのがポイントです。
測量の手順③ ドア・窓・柱の位置を記録する
ドアや窓の位置は、壁の端からの距離と寸法(幅と高さ)を測ります。
例:
左側壁面から1.2mの位置に幅80cmのドア
柱も同様に、壁との距離、柱の奥行きと幅を記録します。これによりCAD図面などでの再現性が高まります。
測量の手順④ 撮影・補足情報の記録
測量中に、下記のような補足情報を写真やメモに残すと便利です。
- 各壁面の写真(方位や位置がわかるように)
- 空調や配管など図面に描ききれない設備の配置
- 壁紙の種類やスイッチ位置など
こうした情報は、配置図だけでなく、施工計画や管理台帳にも役立ちます。
手描き図を清書・データ化する方法
測量が完了したら、スケッチを清書したり、デジタル化しておくことで使い勝手が大きく向上します。
- 方眼紙に清書:1マス=50cmなどで縮尺化
- Excelで簡易作図:四角形とセル結合を使えば簡単な配置図が可能
- CADで正式な図面に:無料CAD(Jw_cadなど)を使えばプロレベルの図面作成も可能
よくあるミスとその防止法
測量でよくあるミスには、以下のようなものがあります。
- 対向する壁の長さが合わない(足し算で検算)
- 測った値の記録漏れ(メモは必ずリアルタイムで)
- スケールミス(縮尺を統一しておく)
- 複数人作業で記録ルールがバラバラ(事前に統一)
作業前にチェックリストを作っておくと、ミスの防止につながります。
まとめ|測量は配置図作成の第一歩
部屋の配置図を描くには、測量が欠かせません。
壁の長さ、ドアや窓の位置、天井高など、正確な寸法を測ることで、より正確な図面が完成します。
特別な道具がなくても、手描きのスケッチと基本的な測定道具さえあれば実践できます。
まずは1部屋から、慣れてきたらフロア全体へと広げていくとよいでしょう。
本記事を参考に、あなたの施設でも配置図作成に挑戦してみてください。