伝わるエピソードの作り方「事実→感想→行動→結果→結果の感想」

面接、プレゼン、ブログ、SNS――「短いのに伝わる」エピソードには共通する型があります。 それが「事実→感想→行動→結果→結果の感想」という5つの流れです。 この型を使うと、単なる出来事が“学びのあるストーリー”へと一気に格上げされ、読み手・聞き手の記憶に残ります。 本記事では、この型を分解し、実務・面接・日常の例までたっぷり使い方を解説します。 テンプレート、チェックリスト、練習ドリルも載せていますので、読み終えた瞬間から使いこなせます。

多くの人のエピソードが伝わらない理由は、2つです。

  1. 起承転結に頼り過ぎて、要点が遅れて登場する
  2. 事実の羅列に終始し、感情や学びが見えない

「事実→感想→行動→結果→結果の感想」は、

  • 最初に動かしがたい事実を置いて信頼を確保し、
  • すぐに**あなたの内面(感想)**を差し込み共感を呼び、
  • 具体的行動で再現性を示し、
  • 測れる結果で価値を証明し、
  • 最後に**学び・示唆(結果の感想)**で読者の持ち帰りを明確化する

という、ビジネスにも文章にも強い“論理×感情のハイブリッド構造”になっています。

1. 事実(Fact)

誰が/いつ/どこで/何をした(起きた)か。主観を入れない客観情報。

  • 例:
    • 「4月から新規顧客開拓チームのリーダーに任命されました。」
    • 「アクセスが月間1,000PVで伸び悩んでいました。」

コツ:数字、固有名詞、期間を入れると一気に“事実味”が高まります。

2. 感想(Feeling)

事実を受けて、あなたはどう感じたか。

  • 例:
    • 「正直、数字も管理も未経験で不安でした。」
    • 「このままでは記事を作り続ける意味がないと焦りました。」

コツ:盛りすぎない率直さ。弱さや戸惑いがあるほど人は共感します。

3. 行動(Action)

その感情を受けて、具体的に何をしたのか。

  • 例:
    • 「週次でKPIを分解し、担当者ごとに課題を見える化しました。」
    • 「検索意図調査のフレームを作り直し、既存記事を20本リライトしました。」

コツ:誰でも再現できるくらいに“手順化”して書く。

4. 結果(Result)

行動の成果を、数字や変化で示す。

  • 例:
    • 「3か月で新規アポ数を150%に伸ばしました。」
    • 「月間PVが1,000→12,000に増加し、資料DLも5倍になりました。」

コツ:比較対象(Before/After)と期間を必ず入れる。

5. 結果の感想(Reflection / Learning)

結果を受けて、何を学び、今後どう活かすのか。

  • 例:
    • 「不安は“分解して見える化”すれば行動に転換できると学びました。」
    • 「成果に直結したのは“検索意図に1ミリもズレない企画”でした。今後は企画前のヒアリングを型化していきます。」

コツ:学びを普遍化し、「次にどう活かすのか」まで言い切る。

事実:4月、営業の新規開拓チーム5名のリーダーに就任しました。前年同月比でアポイント数が60%まで落ち込んでいました。

感想:このままではチームの士気がさらに下がると危機感を覚えました。

行動:まず、アポイント数を「架電数→接続率→商談化率→受注率」のKPIに分解。各メンバーのボトルネックを数値で特定し、週次1on1で改善仮説を立てました。スクリプトもABテストし、導入初週から全員に共有しました。

結果:3か月でアポイント数は150%、受注率は1.4倍に改善。前年同月比でも120%に回復しました。

結果の感想:漠然とした不振は「分解→仮説→検証」の手順に落とし込むと、誰でも改善可能になると実感しました。以後は他チームにも同じシートを展開し、部署全体の標準化を進めています。

実はこの型は、行動面接で有名な**STAR法(Situation / Task / Action / Result)とも非常に相性が良いです。STARの最後にReflection(振り返り)**を足した形が、ここでの「結果の感想」に当たります。

事実(Situation/Task):大学の学園祭実行委員として、来場者数が前年比30%減だったイベントの改善を任されました。

感想:このままだとスポンサーにも顔向けできない、と強い焦りを感じました。

行動(Action):ターゲットを「近隣の親子連れ」と再定義し、SNS広告と地域紙の折込を実施。体験型企画を3つ追加し、安全対策を可視化しました。

結果(Result):来場者は前年比160%、スポンサーの継続率も100%を維持しました。

結果の感想(Reflection):数字が悪いときこそ、感覚ではなくペルソナ再設計とチャネル再構築が有効だと学びました。今後も「誰に届けるのか」を常に問い直す姿勢を大切にします。

短文(X / Threadsなど)

事実:会社の公式ブログPVが1,000で停滞
感想:このままじゃ採用広報の意味がないと焦った
行動:検索意図を洗い直して20本をリライト
結果:3か月で12,000PV、資料DL5倍
結果の感想:成果は“意図ずれゼロ”の企画からしか生まれない

**長文(ブログ)**では、各フェーズを見出し化し、数字と手順を具体的に書くと、検索流入でも評価されやすくなります。

  1. 誰に向けて書くのか(読者像)
  2. 相手に何を持ち帰ってほしいのか(学び・示唆)
  3. 自分はどんな変化を体験したのか(ビフォーアフター)

この3つが曖昧だと、型に当てはめても中身のない文章になります。

【事実】
(時期・背景・規模・数値を入れて、客観的に)

【感想】
(率直な気持ち。弱さ・不安・危機感もOK)

【行動】
(誰でも再現できるように、手順・ツール・工夫を具体的に)

【結果】
(Before/Afterの数値、期間、第三者評価)

【結果の感想】
(学びを普遍化し、今後の活用・展開まで言い切る)
  • 事実に固有名詞・数字・期間が入っているか
  • 感想は感情の変化が伝わるか(例:不安→焦り→覚悟)
  • 行動は再現性があるほど具体的か(名詞ではなく動詞で書いたか)
  • 結果は比較と期間が明確か
  • 結果の感想は学びの普遍化+次の打ち手まで踏み込んでいるか
  • 全体として2分で要点が伝わるか(声に出して読んで確認)

失敗1:事実がふわっとしている

  • 直し方:日時・人数・金額・率などを足して“誰が見ても同じ理解になる”ように具体化する。

失敗2:感想が「嬉しかった」「大変だった」だけ

  • 直し方:なぜそう感じたのか、どんな過去経験と結びついたのかまで書く。

失敗3:行動がスローガン的(頑張った、工夫した)

  • 直し方:手順、フレーム、ツール、会議体、頻度、ABテストなど“名詞と数値”を入れる。

失敗4:結果が主観(手応えがあった)

  • 直し方:数値、第三者の評価、再現性のある効果で語る。

失敗5:最後の学びが薄い

  • 直し方:「今後は〇〇を標準化する」「別部署でも展開する」「次は△△を試す」など、未来に接続させる。
  1. 最近「うまくいかなかった」出来事を1つ選び、5フェーズで200字以内に要約する。
  2. 次に、そのうち「行動」と「結果」だけを2倍の分量で書く。
  3. 面接で話す想定で、同じエピソードを2分スピーチに整える。
  4. ブログ用に、事実の数字・期間を3つ以上足す。
  5. 結果の感想を、**今後の施策リスト(3つ)**に変換する。
  6. SNS用に140字で切り詰める。
  7. 「感想」を、読者の共感を呼ぶ弱さの表明に書き換える。
  8. 「行動」を、他者が再現できるチェックリストに変換する。
  9. 同じ型で、他人の成功事例を要約し直してみる。
  10. 1~9を別の出来事でもう一巡する。

エピソードは「順番」を整えるだけで、説得力も共感も一気に高まります。 「事実→感想→行動→結果→結果の感想」は、あなたの経験を読み手の“学び”に変換するための最短距離です。 まずは1本、テンプレートに沿って書いてみてください。 そして、チェックリストで磨き、練習ドリルで反復し、あなたの“いつもの型”に育てていきましょう。


おまけ(コピペ用140字テンプレ)

事実:◯◯だった → 感想:△△と感じた → 行動:□□した → 結果:◇◇になった → 感想:今後は☆☆に活かす。

この5行を、今日の出来事でまず1回。明日にはあなたの文章が変わります。

タイトルとURLをコピーしました