はじめての開業届:提出のメリット・必要書類・手続きまで徹底解説!

「開業届」は、個人で事業を始める際に税務署へ提出する書類です。しかし、実際には「提出しないとどうなるの?」「どんな人が提出する必要があるの?」「副業でも必要?」など、多くの疑問を持つ方が少なくありません。特に、近年は副業やフリーランスの増加により、開業届の重要性がますます高まっています。本記事では、開業届の基本的な意味から、提出するメリット、必要な書類、書き方、提出のタイミング、青色申告との関係まで、わかりやすく丁寧に解説します。これから事業を始めたい方、副業収入を確定申告したい方、フリーランスとして独立を考えている方に役立つ内容です。


開業届とは何か

開業届とは、正式名称を 「個人事業の開業・廃業等届出書」 といい、個人で事業を開始することを税務署へ知らせるための書類です。所轄の税務署に提出することで「個人事業主」として扱われるようになります。
企業のように登記は不要で、費用もかかりません。書類1枚を提出するだけで個人事業主として活動できるため、多くのフリーランスや副業の方が利用しています。

開業届は法律上「提出義務」がありますが、提出しなくても罰則はありません。そのため、提出する人としない人の二パターンが存在します。ただし、提出することで大きなメリットもあるため、後述します。


開業届を提出するメリット

開業届の提出には、次のような利点があります。

1. 青色申告が利用できる

開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出すると、青色申告が利用できます。
青色申告には以下のメリットがあります。

  • 最大65万円の青色申告特別控除
  • 赤字を3年間繰り越せる
  • 家族への給与を必要経費にできる(青色事業専従者給与)
  • 30万円未満の備品を一括で経費にできる(少額減価償却資産)

節税効果が非常に大きいため、本格的に事業を行う場合は青色申告を選ぶ人がほとんどです。

2. 事業用の銀行口座やクレジットカードが作りやすい

開業届を提出すると、税務署が受領印を押した控えを受け取れます。
その控えは事業の開始を証明する書類として利用でき、

  • 事業用銀行口座の開設
  • 事業用クレジットカードの申請
    がスムーズになります。

3. 事務所や店舗の契約で有利になる場合がある

個人事業主と証明できるため、事業用の物件契約で信用が高まります。
特に自宅とは別に事務所を借りる場合には役立つケースも多いです。

4. 事業主として堂々と活動できる

「開業届を出した」という事実が精神的な自信につながり、

  • 名刺
  • ホームページ
  • SNSプロフィール
    などに「個人事業主」と記載する根拠にもなります。

開業届を提出しなくてもよいケース

基本的には事業開始時に提出する義務がありますが、次のケースでは提出しない人も多いです。

● 年数回の不定期な副業

例えば

  • 不定期で売れるハンドメイド作品
  • メルカリ販売
  • スポットの単発アルバイトに近い仕事
    など、継続性が低い場合は、「事業」と言えないため開業届は不要なことがあります。

● 副業が小規模で、白色申告で問題ない場合

白色申告は開業届を提出しなくても行えます。
節税メリットを求めない人は提出しない選択をすることもあります。

ただし、長期間継続する副業であれば事業性が認められるため、開業届を出すのが望ましいです。


誰が開業届を提出すべき?

以下の方は開業届の提出が推奨されます。

● フリーランスとして働く人

Webライター、デザイナー、エンジニアなど、継続して仕事を請ける場合。

● 副業を継続的に行っている人

ブログ、YouTube、ネット販売、写真販売など、継続的に収益が発生する場合は事業性があると判断されやすいです。

● 事業で経費を計上したい人

事業用の備品、通信費、交通費、サーバ代などを経費として扱いやすくなります。


開業届の提出に必要な書類

開業届を提出する際に必要なのは以下の通りです。

● 1. 個人事業の開業・廃業等届出書(必須)

国税庁のホームページからダウンロードできます。
税務署でも受け取れます。

● 2. マイナンバーカードまたは本人確認書類(必要に応じて)

窓口での本人確認のために必要です。

● 3. 青色申告承認申請書(任意)

青色申告を利用したい場合は同時に提出するのが一般的です。
提出期限が決まっているため注意が必要です。


開業届の提出方法

開業届は「無料」で、次の方法で提出できます。

● 税務署の窓口に直接提出

最も一般的な方法です。
その場で控えに受領印を押してもらえます。

● 郵送で提出

郵送も可能です。
ただし控えを返送してほしい場合は、返信用封筒と切手を同封します。

● e-Taxでオンライン提出

マイナンバーカードがあれば、オンラインで完結できます。
控え(受付完了データ)はPDFとして保存できます。


開業届の書き方

開業届は記入箇所が多いように見えて、実際は難しくありません。
書くべきポイントを解説します。

● 屋号(任意)

事業名のことです。
「〇〇デザイン事務所」「〇〇工房」など自由に設定できます。

● 職業

「Webライター」「デザイナー」「小売業」「情報サービス業」など。

● 事業開始日

実際に事業を始めた日で問題ありません。
過去の日付でも受理されます。

● 事業の概要

どんな事業なのか簡単に記入します。
例:「Webサイト制作および運営」「ブログ運営」など。


開業届を提出するベストタイミング

開業届は、事業開始から 1カ月以内 に提出することが原則です。
しかし、遅れて提出してもほとんどの場合問題なく受理されます。

ただし、青色申告承認申請書には提出期限があります。

● 原則:事業開始から2カ月以内

または

● 1月1日~3月15日の間

に提出が必要です。


副業でブログやYouTube収入がある場合は?

近年、ブログ収入やYouTube広告収入は増加しています。
この場合は、「継続性がある利益を得ているなら事業」と判断されるケースが多くなります。

● 開業届を出した場合

→ 事業所得
→ 青色申告で節税が可能

● 出さずに白色申告する場合

→ 事業所得 or 雑所得で申告
→ 節税メリットは小さい

ブログ収入が年60万円以上あるような場合は、開業届の提出+青色申告の利用がおすすめです。


まとめ

開業届とは、個人で事業を始める際に提出する重要な書類です。提出は義務とされているものの罰則はなく、副業の場合は提出しない人もいます。しかし、開業届を提出することで

  • 青色申告による大幅な節税
  • 事業用口座の開設
  • 事業の信用力向上
    など、大きなメリットがあります。

特に、副業で継続的に収益が発生している方や、フリーランスとして独立する方は、提出しておくことで税金面でも実務面でも有利になります。これから個人で事業を始める方は、ぜひ本記事を参考に、自分の状況にあったタイミングで開業届の提出を検討してみてください。

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