日常会話や文章作成でよく使われる「ちなみに」という表現。ちょっとした補足情報を加える際に便利な言葉ですが、同じ言葉ばかりを多用すると文章が単調になりがちです。そこで、本記事では「ちなみに」の言い換えとして使える表現を詳しく解説し、例文もご紹介します。言葉選びを豊かにし、読みやすい文章やスピーチを目指す方はぜひ最後までご覧ください。
「ちなみに」とはどんな言葉？
「ちなみに」は、話の流れに付随する情報や補足的な内容を伝えたいときによく使われる副詞です。会話でも書き言葉でも頻出し、意味合いとしては「追加情報として言っておくと…」「ついでに言うと…」などのニュアンスが含まれます。
たとえば、ある話題を説明したあとに「ちなみに、このデータは昨年度のものです」のように述べることで、読者や聞き手に補足情報を提示できます。「メインではないが、知っておくと役に立つ」「補足で伝えておきたい」という時にとても便利な表現です。
しかし、「ちなみに」は便利ゆえに、多用しすぎると単調に感じられる場合があります。そこで、同じような意味を持つ別の表現を使い分けることで、文章やスピーチにメリハリを与え、より豊かな表現が可能になります。
「ちなみに」を使うときの注意点
- 多用を避ける
「ちなみに」は非常に便利な言葉ですが、文章中に繰り返し登場すると単調に見えたり、話し言葉がくどくなったりする恐れがあります。特に文章の場合、読み手に飽きられないよう表現を工夫することが大切です。 - 話の主題を見失わない
「ちなみに」で付け足す情報は、あくまで「メインの流れを補足する」ものです。補足情報を加えすぎると、読者や聞き手が本来の主題から離れてしまうことがあるため、適度な長さや関連度合いを考慮しましょう。 - 口語的すぎる印象に注意
「ちなみに」は会話調でも使われますが、正式な文書やビジネスレターなどの場面では「ついでながら」や「補足として」など、もう少しフォーマルな言い換えを選ぶと、文章全体が洗練された印象になります。
「ちなみに」の言い換え6選
ここからは「ちなみに」とほぼ同じようなニュアンスで使える表現を紹介します。それぞれの意味合いや使用シーンを理解して、適切に使い分けてみてください。
1. 余談ですが
「余談」という言葉は本筋からやや外れた話題を示します。主な内容から少し離れた情報を加えたい場合に使いやすく、「ちなみに」と同様にカジュアルにもフォーマルにも使えます。
例:
- 余談ですが、先月の売上は過去最高を記録しました。
2. ついでに言うと
「ついでに」という表現には、「何かをする際にもう一つ別のことを同時に行う」というニュアンスがあります。「ちなみに」の代わりに使用することで、会話の流れの自然さを保ちながら情報を付け足すのに便利です。
例:
- ついでに言うと、明日の会議は午前10時スタートです。
3. 補足として
やや書き言葉寄りの表現で、ビジネス文書やレポートなど、少し硬めの文章にも適しています。「補足」という単語自体が補うという意味合いなので、「ちなみに」と同様、メイン情報を支えるための追加情報を提供する際に役立ちます。
例:
- 補足として、この資料は営業部でもすでに共有済みです。
4. 参考までに
読み手や聞き手が参考とできる情報を挙げるときに使います。文末に「参考までに添付ファイルをご覧ください」のようにつけることで、自然な文章の流れを作ることができます。
例:
- 参考までに、昨年のデータも一緒に載せておきました。
5. ところで
「ところで」は話題を転換するときによく使われる言葉ですが、軽い補足的情報をふと加えたいときにも使用可能です。ただし、完全に話題を変えるニュアンスが強いので、単なる補足情報というよりは、切り替えを意図する場面に向いています。
例:
- ところで、来月の研修会には参加予定ですか？
6. そういえば
「そういえば」は思い出したかのように補足情報を提示したいときに役立ちます。「ちなみに」同様、カジュアルな会話で使いやすい表現ですが、ビジネスレターやフォーマルな書き言葉にはあまり向きません。
例:
- そういえば、先日相談していたプロジェクトの件はどうなりましたか？
文例5選と活用のポイント
ここでは実際に「ちなみに」を言い換えた例文を5つご紹介します。それぞれの表現を使った例を見ながら、活用のポイントを学んでみましょう。
- 「余談ですが」使用例
- 先週の会議で決定した新企画が、いよいよ来月から始動します。余談ですが、担当者は社内公募で選ばれることになりました。
ポイント: 「余談ですが」は本筋と少し離れる話題の導入に最適。話し手が新しく思い出した情報や、聞き手が知っておくとより理解が深まる情報などを自然に加えられます。
- 先週の会議で決定した新企画が、いよいよ来月から始動します。余談ですが、担当者は社内公募で選ばれることになりました。
- 「ついでに言うと」使用例
- 今日のプレゼン資料はすでにチェックを終えました。ついでに言うと、会場の準備も問題なく整っています。
ポイント: 何かを「ついで」に行う感覚を示しつつ補足情報を付け足すので、会話の流れが自然になります。ビジネスの場でも比較的使いやすいのが特徴です。
- 今日のプレゼン資料はすでにチェックを終えました。ついでに言うと、会場の準備も問題なく整っています。
- 「補足として」使用例
- 今回のキャンペーンではSNS広告をメインに展開する予定です。補足として、既存顧客向けのダイレクトメールも検討しています。
ポイント: 公式文章やプレゼン資料、レポートなど、少しフォーマルな場面で使いやすい表現。「ちなみに」より落ち着いた印象を与えるのがメリットです。
- 今回のキャンペーンではSNS広告をメインに展開する予定です。補足として、既存顧客向けのダイレクトメールも検討しています。
- 「参考までに」使用例
- 次回の打ち合わせ日時は来週の火曜日を予定しています。参考までに、前回の議事録を添付しましたのでご確認ください。
ポイント: 相手に「情報を役立ててほしい」という意思を伝えるときに便利。ビジネスメールなどにも向いています。
- 次回の打ち合わせ日時は来週の火曜日を予定しています。参考までに、前回の議事録を添付しましたのでご確認ください。
- 「ところで」使用例
- 明日のスケジュールは10時からのミーティングの後、営業先への訪問が入っています。ところで、ランチは何か手配しておきますか？
ポイント: 話題を変えるニュアンスがあるため、本題とは別方向への視点を示したいときに適した表現。「ちなみに」よりも切り替えの強さが感じられます。
- 明日のスケジュールは10時からのミーティングの後、営業先への訪問が入っています。ところで、ランチは何か手配しておきますか？
効果的に使い分けるコツ
- 話の流れを把握し、目的に応じて選ぶ
- 「余談ですが」は本筋から外れる情報
- 「ついでに言うと」は関連する追加情報
- 「補足として」は文章・プレゼンなどでのフォーマルな追加説明
- 「参考までに」は相手に役立つ資料・情報提供
- 「ところで」は話題を変えたいときの表現
- 「そういえば」は思い出した情報を伝える際のカジュアル表現
- 読み手・聞き手の状況を考慮する
目上の人やビジネスメールなど、丁寧さが求められる場合は「補足として」や「参考までに」などのフォーマル寄りの言い回しが好まれます。逆にプライベートな会話や親しい間柄なら「そういえば」「ところで」などでカジュアルに仕上げても問題ありません。 - 文章のリズムを意識する
言い換え表現を使うことで文章の単調さが緩和され、読みやすさが向上します。ただし、あまりにも言い換えを使いすぎると、文章が散漫になる恐れがあります。適度に取り入れるバランスが重要です。 - 補足情報のボリュームを考える
あまりに長い補足情報を「ちなみに」のような言い回しでつなげてしまうと、読者が混乱してしまうことがあります。別段落に分ける、もしくは箇条書きにするなど、情報を整理して伝えましょう。
まとめ
「ちなみに」は大変便利な言葉であり、日常のコミュニケーションからビジネスシーンまで幅広く使われています。しかし、多用すると単調になりやすく、文章や会話の質を下げる恐れもあるため、言い換え表現を覚えておくと役立ちます。本記事で紹介した「余談ですが」「ついでに言うと」「補足として」「参考までに」「ところで」「そういえば」などを上手に使い分けることで、自然で伝わりやすいコミュニケーションを目指しましょう。