「業務マニュアルを作ってと言われたけど、どんな形にすればいいかわからない…」
そんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
マニュアルは、業務の標準化や新人教育の効率化に欠かせないツールです。
しかし、作り方を間違えると「読む気がしない」「使いにくい」といったマニュアルになってしまい、せっかく作っても現場で活用されません。
この記事では、実務で役立つ業務マニュアルの基本構成と5つの作成パターンを紹介します。
また、誰でもわかりやすく作れるテンプレートの考え方や、作成時の注意点も解説します。
これからマニュアルを作る方や、既存のマニュアルを改善したい方は、ぜひ参考にしてください。
業務マニュアルとは?目的を明確にしよう
まず、「業務マニュアル」とは何かを整理しましょう。
業務マニュアルとは、業務の手順・ルール・判断基準を明文化した文書のことです。
目的は大きく3つあります。
- 業務の標準化
属人的になりやすい業務を「誰がやっても同じ品質で実施できる」ようにすること。 - 教育の効率化
新人や異動者が自己学習できるようになり、OJTの負担を軽減します。 - リスク管理・引き継ぎ
担当者不在時にも業務が滞らず、ミスや情報の抜け漏れを防止します。
マニュアルは「読むため」ではなく、「仕事をスムーズに行うための道しるべ」です。
そのためには、目的に合った形式を選ぶことが大切です。
業務マニュアルの基本構成
どんな業務でも、マニュアルには共通する構成があります。
以下の4項目を押さえておくと、どんなマニュアルでも読みやすくなります。
- 目的・概要
この業務は何のために行うのか、全体像を最初に記載します。 - 前提条件・準備物
必要なツール、資料、アカウント、アクセス権などを明記します。 - 手順
操作や流れを「①」「②」などの番号付きで、時系列順に書きます。 - 注意点・トラブル対応
ミスしやすいポイント、例外処理、問い合わせ先を記載します。
この4構成を意識するだけで、読みやすさが格段に向上します。
業務マニュアルの作り方ステップ
実際にマニュアルを作る流れを5つのステップで説明します。
ステップ①:目的と対象者を決める
マニュアルは「誰のために」「どんな業務を説明するか」を最初に決めることが大切です。
新入社員向けなのか、他部署への説明用なのかで、内容や表現が変わります。
ステップ②:業務の流れを洗い出す
まずは箇条書きで業務の流れをざっくり整理します。
例)
- 顧客からの注文受付
- システムへの入力
- 納品手配
- 請求書発行
この段階では、細かく書きすぎないことがポイントです。
ステップ③:実際の作業を観察・ヒアリング
現場で実際に作業している人に聞くと、「マニュアルにはない裏ルール」や「細かい注意点」がわかります。
観察しながら、スクリーンショットや写真を撮っておくと、後で図解に使えます。
ステップ④:テンプレートを選び、構成を作る
次の章で紹介する「5つのマニュアルパターン」から、自社に合った形式を選びましょう。
ステップ⑤:完成後はレビュー・更新
作って終わりではなく、実際に使用してもらい、フィードバックを反映します。
業務の変更に合わせて定期的に更新することが重要です。
業務マニュアルの5つの作成パターン
ここでは、現場でよく使われるマニュアルの形式を5種類紹介します。
それぞれの特徴を理解して、目的に合わせて使い分けましょう。
① テキスト型マニュアル(文章中心)
特徴
WordやGoogleドキュメントなどで作成する、最も一般的な形式です。
説明文を中心に、手順を箇条書きで整理します。
メリット
- 作成が簡単
- 更新しやすい
- 印刷や共有が容易
デメリット
- 図や写真がないと理解しづらい
- 長文になりがち
おすすめ用途
- 社内ルール・手順の説明
- 管理系・バックオフィス業務
② スクリーンショット型マニュアル(操作系)
特徴
システム操作やツールの使い方を、画像付きで説明するタイプ。
「どこをクリックするか」が一目でわかります。
メリット
- 直感的に理解できる
- 新人教育に向いている
デメリット
- 画面仕様が変わると修正が必要
- ファイルサイズが大きくなりやすい
おすすめ用途
- システム操作手順
- Webツール・社内システム操作
③ フローチャート型マニュアル(判断が多い業務)
特徴
「AならB」「BでなければC」といった分岐のある業務を、図で表現します。
メリット
- 判断の流れがわかりやすい
- 複雑な処理を可視化できる
デメリット
- 作図に時間がかかる
- 文章説明が不足しやすい
おすすめ用途
- クレーム対応
- 社内承認フロー
- トラブル対応手順
④ チェックリスト型マニュアル(定期業務向け)
特徴
「やるべきことをリスト化」し、完了チェックを付けられる形式。
毎回同じ手順を繰り返す業務に最適です。
メリット
- 抜け漏れ防止
- 現場作業と相性が良い
デメリット
- 初心者には説明不足になることも
おすすめ用途
- 点検業務、日次・週次・月次処理
- 店舗オペレーション
⑤ 動画マニュアル型(視覚学習向け)
特徴
作業を実際に録画して説明するタイプ。
近年はYouTube非公開や社内共有ツールで運用するケースも増えています。
メリット
- 一目で理解できる
- 学習コストが低い
デメリット
- 更新・修正が大変
- 検索しにくい
おすすめ用途
- 現場作業・機器操作
- 新人教育・eラーニング
マニュアル作成のコツ:わかりやすさを優先する
どの形式を選んでも、「読み手がすぐ理解できる」ことが最重要です。
そのために、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 専門用語は避け、誰でも理解できる表現に
「社内共通言語」ではない言葉には必ず補足をつけましょう。 - 1画面・1ページで完結させる意識
長文よりも、見出し・箇条書き・図解を活用して視覚的に整理。 - 実際に使う人に見せて確認する
作成者が理解できても、現場では通じないことがあります。
現場レビューは必須です。
マニュアルの更新と運用方法
マニュアルは一度作って終わりではありません。
業務の変化に応じて定期的な見直しが必要です。
更新のタイミング例
- システム変更時
- 担当者の入れ替え時
- トラブル発生後の改善点反映
更新をスムーズにするポイント
- WordやExcelではなく、GoogleドキュメントやNotionなどのクラウド型を使う
- バージョン管理を明記(例:Ver.1.2 / 更新日 2025年10月)
- 「修正履歴」欄を設けておく
まとめ:目的と利用シーンに合ったパターンを選ぼう
業務マニュアルは、会社の「知識の資産」です。
ただ書くだけでなく、「誰が」「いつ」「どんな目的で」使うのかを意識すると、現場で活きるマニュアルになります。
この記事で紹介した5つのパターンを目的別にまとめると以下の通りです。
パターン | 特徴 | おすすめ用途 |
---|---|---|
テキスト型 | 一般的で簡単 | 管理・事務業務 |
スクリーンショット型 | 操作手順がわかりやすい | システム操作 |
フローチャート型 | 判断フローを図解 | クレーム対応など |
チェックリスト型 | 抜け漏れ防止 | 定期業務 |
動画型 | 一目で理解 | 現場教育・新人研修 |
自社の業務内容や人材層に合わせて、最適な形式を選びましょう。
わかりやすいマニュアルは、業務の効率化だけでなく、社員の安心感や組織力の向上にもつながります。