一年の感謝をこめて贈る「お歳暮」。
仕事の取引先やお世話になった方、親族などに感謝の気持ちを形にして届ける日本ならではの習慣です。
しかし、「お歳暮っていつから贈るの?」「遅れてしまったらどうすればいい?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、お歳暮の贈る時期の目安や地域による違い、マナー、贈る際の注意点などをわかりやすく解説します。
初めて贈る方も、毎年贈っている方も、ぜひ参考にして気持ちの伝わるお歳暮を贈りましょう。
お歳暮とは?その意味と由来
お歳暮とは、もともと「年の暮れに贈る贈り物」という意味があります。
古くは、正月に先祖の霊をまつる際の供え物を、本家へ届けていた風習が起源とされています。
江戸時代になると、商人たちが日頃お世話になっている取引先やお得意様へ感謝の品を届けるようになり、次第に一般家庭にも広がりました。
現代では、「一年間お世話になった人へ感謝の気持ちを伝える贈り物」として定着しています。
そのため、お歳暮は単なる形式ではなく、「ありがとうございました」「これからもよろしくお願いします」という心を込めたご挨拶なのです。
お歳暮を贈る時期はいつからいつまで?
お歳暮を贈る時期は、地域によって少し違いがあります。
基本的な目安と、地域ごとの違いを見ていきましょう。
全国的な標準期間
一般的には、12月上旬から12月20日ごろまでが贈る時期の目安です。
特に12月13日(旧暦の「正月事始め」)から20日までの間が最も適しているとされています。
この時期を過ぎると年末の慌ただしさも増すため、早めに準備しておくのが安心です。
地域別のお歳暮の時期
地域 | 贈る時期の目安 |
---|---|
北海道・東北 | 12月10日〜20日頃 |
関東 | 12月初旬〜12月20日頃 |
関西 | 12月13日〜12月20日頃 |
九州・四国 | 12月中旬〜12月25日頃 |
沖縄 | 12月上旬〜12月25日頃 |
関東は比較的早めに贈る傾向があり、関西以西はやや遅めです。
これは、昔の風習や気候の違い、商習慣の影響もあると言われています。
年内に贈れなかった場合はどうする?
年末が忙しく、お歳暮を贈りそびれてしまったというケースもあります。
その場合は、「お年賀」や「寒中見舞い」として贈るのがマナーです。
- 1月1日〜1月7日頃(松の内まで)は「お年賀」として贈ります。
- 1月8日〜2月4日頃(立春まで)は「寒中御見舞」として贈るのが一般的です。
のし紙も時期に合わせて変更しましょう。
お歳暮の時期を過ぎたら「御年賀」または「寒中御見舞」と書いたのし紙を使うと丁寧です。
お歳暮を贈る相手と品物の選び方
お歳暮を贈る相手は、「一年間お世話になった方全般」が対象です。
主な相手には以下のような方々が挙げられます。
- 仕事関係:上司、取引先、顧客
- 親族関係:両親、義理の両親、親戚
- 日常生活:主治医、習い事の先生、恩師など
品物の選び方のポイント
お歳暮の定番は「消えもの」と呼ばれる食品や飲料です。
日持ちするものや、家族全員で楽しめる品が喜ばれます。
人気のお歳暮ジャンル | 例 |
---|---|
食品系 | ハム・ソーセージ・お菓子・海産物・調味料 |
飲料系 | コーヒー・ビール・日本酒・ワイン |
ギフト券 | 百貨店商品券・カタログギフト |
相手の嗜好や家族構成を考慮して選ぶことが大切です。
また、高価すぎる品はかえって相手に気を使わせてしまうため、5,000円前後が一般的な相場となっています。
のしと包装のマナー
お歳暮を贈る際は、「のし紙」を正しく選ぶことも重要です。
のし紙の種類
お歳暮では、**紅白の蝶結び(花結び)**を使用します。
蝶結びは「何度あっても良いお祝いごと」に使われるため、毎年贈るお歳暮に適しています。
上段には「お歳暮」、下段には自分の名前を記入します。
個人の場合はフルネーム、会社からの場合は会社名と担当者名を記入します。
包装のマナー
- 直接手渡す場合:外のし
- 配送する場合:内のし
内のしは、包装紙の内側にのし紙をかける方法で、配送中にのしが傷つかないようにするためです。
お歳暮を贈る際の注意点とタブー
感謝の気持ちを込めたお歳暮ですが、マナーを知らずに贈ると失礼になる場合もあります。
注意点1:目上の方に現金・金券は避ける
ビール券や商品券は便利ですが、特に目上の方や取引先には避けた方が良いとされています。
「現金を贈る=金銭的支援」と受け取られてしまう恐れがあるためです。
注意点2:喪中の場合の配慮
喪中でもお歳暮を贈ること自体は問題ありません。
ただし、紅白ののし紙を避けて**「御歳暮」の文字のみの白い掛け紙**を使うのが無難です。
注意点3:贈る時期を守る
時期が遅れると印象が悪くなることがあります。
どうしても遅れる場合は、先に電話やメールでお詫びを伝えたうえで「寒中御見舞」として贈りましょう。
感謝を伝える一言メッセージ例
お歳暮には簡単なメッセージカードを添えると、より気持ちが伝わります。
以下のような文例を参考にしてみてください。
例文①(ビジネス向け)
本年も大変お世話になり、誠にありがとうございました。
感謝の気持ちを込めて心ばかりの品をお贈りいたします。
来年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます。
例文②(親族・知人向け)
今年も何かとお世話になり、ありがとうございました。
ご家族皆様の健康とご多幸をお祈り申し上げます。
例文③(恩師・先生向け)
日頃のご指導に感謝申し上げます。
寒さ厳しい折、ご自愛のほどお祈り申し上げます。
短くても、「感謝」「健康」「来年もよろしく」という3点を意識すると好印象です。
まとめ:お歳暮は“心を形にする”日本の文化
お歳暮は単なる贈り物ではなく、一年間の感謝を伝える心の文化です。
贈る時期の目安は12月上旬から20日頃が一般的ですが、地域や相手によって柔軟に対応することも大切です。
形式にとらわれすぎず、「ありがとう」「これからもよろしくお願いします」という気持ちを込めて贈りましょう。
お歳暮は、相手との関係を温かくつなぐ大切な機会なのです。