仕事をしていると、思いがけず他社や取引先から「うちに来ないか」と引き抜きの誘いを受けることがあります。
待遇が良さそうに感じても、今の職場や人間関係を考えて「断りたい」と思うケースも少なくありません。
しかし、せっかくの誘いを無下にすると相手との関係が悪化する恐れもあり、断り方には工夫が必要です。
本記事では「引き抜きを断るときの考え方」や「角を立てずに断る例文」を紹介します。ビジネスで誠実に対応したい方や、断り文句に悩んでいる方の参考になれば幸いです。
引き抜きを断るときの基本姿勢
引き抜きの誘いを断る際には、以下の3つを意識するとスムーズです。
- 感謝を伝える
「声をかけてもらえたこと自体が評価」と捉え、まずは丁寧にお礼を伝える。 - 現在の立場を理由にする
「現職での役割」「家庭の事情」など、相手が納得しやすい理由を述べる。 - 今後の関係性を大切にする
断っても関係が続くことを意識し、角が立たないよう配慮する。
この3つを押さえるだけで、相手に失礼のない断り方が可能になります。
引き抜きを断るときに避けたいNG対応
誤った断り方をすると、今後の関係に悪影響を与えかねません。避けたい対応は次の通りです。
- 露骨に否定する
「全く興味がありません」「そんな話はしないでください」など強い否定は、相手の好意を無駄にする。 - 曖昧に濁すだけ
「ちょっと考えておきます」と言い続けると、相手の期待を引き延ばしてしまう。 - 秘密を漏らす
現職に引き抜きの話を軽々しく話すと、信頼関係にヒビが入る可能性がある。
断る際は「感謝・理由・関係維持」の3点を意識して、誠実に対応することが大切です。
引き抜きを断る例文【メール編】
まずはビジネスシーンでよく使うメール例文です。文章で残るため、丁寧かつ簡潔にまとめましょう。
例文1:現職での責任を理由に断る
「このたびはお声がけいただき、誠にありがとうございます。
大変光栄なお話ではございますが、現在の職場において任されている業務があり、最後まで責任を果たしたいと考えております。
せっかくのお誘いに応えられず恐縮ですが、今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。」
例文2:家庭や生活環境を理由に断る
「このたびは身に余るお誘いをいただき、心より御礼申し上げます。
大変ありがたいお話ですが、現在の生活環境や家庭の事情を踏まえると転職は難しい状況でございます。
ご期待に添えず誠に心苦しく存じますが、今後とも良好な関係を築いていければ幸いです。」
例文3:キャリアの方向性を理由に断る
「このたびはご厚意あるお誘いをいただき、ありがとうございます。
お話しの内容は大変魅力的でしたが、現時点では自分のキャリアの方向性と一致しない部分があり、転職は控えさせていただきたく存じます。
せっかくのお声がけをいただきながら申し訳ございませんが、引き続きよろしくお願い申し上げます。」
引き抜きを断る例文【口頭編】
対面や電話で直接誘われたときの断り方です。即答できるようにフレーズを用意しておくと安心です。
例文4:感謝を強調する断り方
「お声がけいただき本当にありがとうございます。大変光栄ですが、今の仕事で果たすべき責任がありますので、今回は見送らせていただきます。」
例文5:前向きに断る言い方
「お話をいただけて嬉しいです。ただ、現職で挑戦したいことがまだ残っており、今は転職を考えておりません。」
例文6:今後の関係を大事にする言い方
「とてもありがたいお誘いですが、今の状況では転職は難しいです。これからも良い関係を築かせていただければと思います。」
引き抜きの断り方に迷ったときの工夫
どう断るか迷うときには、以下の工夫を取り入れると良いでしょう。
- ワンクッション置く
その場で即答せず、「ありがたいお話ですので少し考える時間をください」と言って整理する。 - ポジティブな表現を使う
「残念ながら」「心苦しいですが」といった前向きな言葉を添えることで、相手の気持ちを和らげる。 - メールと口頭を使い分ける
まず口頭でお礼を伝え、改めてメールで丁寧に断りを入れると誠実さが伝わる。
まとめ
引き抜きの誘いを断るときは、
- 感謝を伝える
- 理由を簡潔に述べる
- 今後の関係を大切にする
この3つを意識することが重要です。
断る側としては気まずさを感じますが、誠実に対応すればむしろ「信頼できる人」と評価される場合もあります。
本記事の例文を参考にして、自分の状況に合わせた言い回しを工夫してください。