「させていただきます。」という表現は、ビジネスメールや会話の中で頻繁に登場する丁寧な言い回しです。
丁寧に聞こえる一方で、使いすぎると過剰敬語になったり、不自然に感じられることもあります。
この記事では、「させていただきます。」の意味や使い方、注意点、実際に使える例文、そして場面に応じた言い換え表現を紹介します。
「敬語を正しく使いたい」「印象の良い文章を書きたい」と考えている方に役立つ内容をお届けします。
「させていただきます。」の意味と背景
「させていただきます。」は、「する」の謙譲語である「させて」と、相手の許可・恩恵を受ける意味の「いただく」を組み合わせた表現です。
「自分が行う行為が、相手の許可や恩恵の上に成り立っていること」を丁寧に表現する際に使います。
たとえば、「出席させていただきます」という言い方は、「あなたの配慮があって自分が出席できる」ことを丁寧に伝えているのです。
主な使用場面
- ビジネスメールやビジネス文書
- 社内外の丁寧な報告
- お客様対応や謝罪
- フォーマルな依頼や申し出
「させていただきます。」の使い方と例文
1. 仕事上の報告・連絡の場面
- 明日の会議には出席させていただきます。
- 本件については、私が担当させていただきます。
- 添付の資料をご確認いただき、問題がなければ進行させていただきます。
2. お詫び・対応に使う場合
- ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。すぐに対応させていただきます。
- 至急、再送させていただきますので、今しばらくお待ちください。
3. お願い・申し出に使う場合
- 一度、確認させていただいてもよろしいでしょうか?
- ご提案について、改めてご説明させていただければと思います。
「させていただきます。」の注意点
丁寧さを意識するあまり、必要以上に使ってしまうと「くどい」「わざとらしい」と思われる可能性もあります。
以下のポイントに注意しましょう。
1. 相手の許可や恩恵が前提であるか
「させていただく」は本来、相手の許可があることが前提です。
自分の判断や当然の行動に対して使うと違和感があります。
不自然な例
× 明日は9時に出社させていただきます。
(出社は本人の業務として当然なので、「させていただく」は不要)
自然な例
〇 お時間をいただき、説明させていただきます。
(相手の協力を得る行為なので自然)
2. 「いたします」との使い分け
「〜いたします」は「する」の謙譲語です。
「させていただきます」ほど相手の許可を前提としていません。
相手に配慮しつつも、控えめな表現をしたいときは「いたします」が適しています。
「させていただきます。」の言い換え表現
「させていただきます。」に頼らず、シーンに応じた他の表現を使うことで、文章が洗練されます。
1. 「いたします」
- 資料は明日中に送付いたします。
- 当日は、私が進行をいたします。
2. 「承ります」
- ご希望の内容で承ります。
- ご注文を確かに承りました。
3. 「伺います」
- 後ほどご説明に伺います。
- 来週のご予定を伺ってもよろしいでしょうか?
4. 「お引き受けします」
- この業務、お引き受けします。
- 弊社にてお引き受け可能です。
5. 「ご対応いたします」
- こちらの件、至急ご対応いたします。
- ご連絡を受け次第、対応させていただきます → ご対応いたします に簡略化も可能。
過剰敬語にならないコツ
「丁寧にしよう」と思うあまり、「させていただきます」を多用すると読みにくくなります。
文全体で敬意が伝われば、無理にこの表現を繰り返す必要はありません。
例:
× 本日はご説明させていただきます内容について、ご確認させていただきます。
〇 本日はご説明いたします内容について、ご確認をお願いいたします。
文章をすっきりと見せるには、敬語表現を適切に分散させることがポイントです。
まとめ
「させていただきます。」は、相手への敬意や感謝を伝える丁寧な表現ですが、適切な場面で使うことが大切です。
無理に多用せず、「いたします」「承ります」などの言い換えも取り入れることで、読みやすくスマートな印象を与えられます。
ビジネスでは第一印象が重要です。
敬語の使い方一つで、信頼感や印象が大きく変わることを意識しながら、適切に使いこなしていきましょう。