産業廃棄物収集運搬業の許可は、法人でなければ取得できないと思っていませんか?
実は、個人事業主としてもこの許可を取得することは可能です。
しかし、申請には多くの書類や要件が求められ、行政手続きに不慣れな方にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。
この記事では、個人で産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するために必要な準備や手続きの流れ、費用、注意点までをわかりやすく解説します。
これから個人で収集運搬業を始めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
個人でも許可は取れるの?基本の考え方
まず結論から言えば、「個人事業主」であっても産業廃棄物収集運搬業の許可は取得できます。
許可制度は法人・個人の区別なく、一定の要件を満たしていれば申請可能です。
ただし、法人と異なり「代表者=事業主」そのものが責任者になるため、信用調査や講習の受講もすべて本人にかかってきます。
申請時に不利になることはありませんが、自己責任での対応力が求められます。
産業廃棄物収集運搬業とは?
産業廃棄物収集運搬業とは、企業などから排出される産業廃棄物を適切に運搬する業務のことです。
廃棄物の種類によっては、専門的な処理技術や管理体制が必要となり、許可制が設けられています。
取り扱う主な産業廃棄物には、以下のようなものがあります。
- 建設現場のがれき類
- 金属くず
- 廃油
- 廃プラスチック類
許可がないまま運搬すれば「無許可営業」となり、罰則を受ける可能性があります。
個人での申請に必要な要件とは?
個人で産廃収集運搬業を申請するには、以下の4つの要件を満たす必要があります。
1. 収集運搬業講習会の修了証
許可を得るためには、(公財)日本産業廃棄物処理振興センターが開催する「講習会(収集・運搬課程)」の修了が必須です。
個人の場合は事業主本人が受講する必要があります。
2. 使用する車両の確保
産業廃棄物を運搬するための車両を保有または契約していることが必要です。
また、車両には以下のような表記をする義務もあります。
- 産業廃棄物収集運搬車であることを示すステッカー
- 許可番号
3. 駐車場・車両保管場所の確保
車両を保管するためのスペースも必要です。
賃貸の場合は契約書のコピーや使用承諾書の提出が求められるケースがあります。
4. 欠格要件に該当しないこと
以下のような「欠格要件」に該当する人は申請できません。
- 禁固以上の刑を受け、5年を経過していない
- 廃棄物関連法令に違反して処罰されたことがある
- 過去に許可取り消しを受けた
申請に必要な書類とは?
都道府県によって多少異なりますが、一般的には以下の書類が必要です。
- 許可申請書(正本・副本)
- 経歴書(個人用)
- 講習会修了証の写し
- 車検証の写し(使用車両)
- 車両保管場所の図面・使用契約書
- 登記されていないことの証明書(法務局)
- 住民票
- 納税証明書(市町村または税務署)
書類の不備やミスがあると、再提出や補正指示が出ることも多いので、慎重に確認しましょう。
許可申請の流れ
以下は、申請から許可取得までのおおまかな流れです。
- 講習会を予約・受講(修了証取得)
- 必要書類を収集・準備
- 申請書の記入・作成
- 都道府県の担当窓口へ提出(持参が基本)
- 書類審査(1〜2ヶ月程度)
- 許可証交付(郵送または窓口で受取)
※許可の有効期限は5年間で、更新手続きが必要になります。
費用の目安
個人での申請にかかる費用は以下のとおりです。
- 講習会受講料:16,000円〜20,000円程度
- 許可申請手数料:81,000円(都道府県ごとに多少差あり)
- 書類取得費用(住民票、証明書など):数千円
- 車両表示用ステッカー作成費:数千円
全体で 10万〜12万円程度 を想定しておくと良いでしょう。
注意点と成功のポイント
- 申請書類の整合性が重要
特に経歴や車両情報など、書類間の整合性が取れていないと、補正が求められます。 - 自治体に事前相談すること
自治体ごとにローカルルールがあるため、事前に窓口相談しておくとスムーズです。 - 更新・変更届も忘れずに
車両や営業所の変更、5年ごとの更新も義務づけられています。
まとめ:個人申請は可能!ただし準備は万全に
産業廃棄物収集運搬業の許可は、個人でも取得可能です。
しかし、講習の受講、書類作成、申請手続きと、やるべきことは多くあります。
行政書士に依頼する選択肢もありますが、費用を抑えたいなら自分で挑戦するのも十分可能です。
このガイドを参考に、しっかり準備を進めて、スムーズに許可取得を目指してください。