VBAで行を自在に挿入!初心者でもすぐに使えるサンプル付き解説

Excelを効率よく操作するために欠かせないのが、VBA(Visual Basic for Applications)による自動化です。特に「行の挿入」は、毎日のように行う作業のひとつですが、手作業では時間がかかりがち。この記事では、VBAを使って任意の場所に行を挿入する方法について、初心者の方にもわかりやすく解説します。基本から応用まで、すぐに使えるサンプルコードも多数掲載していますので、実務での作業効率アップにぜひ役立ててください。


VBAで行を挿入する基本構文

VBAで行を挿入するには、Rows.Insertメソッドを使うのが一般的です。まずは、基本となる構文から見てみましょう。

Rows(5).Insert

このコードは、5行目の上に1行新しく挿入するという意味です。Excelでは、挿入された行がもとの行を押し下げる形になります。

また、以下のようにセルオブジェクトを指定して挿入することも可能です。

Range("A5").EntireRow.Insert

こちらも5行目の前に1行を挿入する内容で、より柔軟に使える書き方です。


複数行を一度に挿入する方法

複数の行を一気に挿入したい場合は、以下のように範囲を指定します。

Rows("3:5").Insert

このコードは、3~5行目の上に3行分の空行を挿入します。対象範囲の行数分、まるごと挿入されます。業務で大量のデータ行を処理する場合にはとても便利な方法です。


最終行の下に新しい行を追加する

「最終行の次に新しいデータ行を追加したい」というのは、実務でよくあるシナリオです。この場合は、最後の行番号を取得してから挿入処理を行います。

Dim lastRow As Long
lastRow = Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
Rows(lastRow + 1).Insert

このコードは、A列の最後のデータ行を取得し、その次の行に新しい行を挿入します。新しいデータを追記する処理と組み合わせて使うことで、自動入力フォームのような使い方ができます。


条件付きで行を挿入する例

たとえば、「B列に”挿入”という文字があれば、その行の前に1行追加する」といった処理もVBAで可能です。

Dim i As Long
For i = Cells(Rows.Count, 2).End(xlUp).Row To 1 Step -1
If Cells(i, 2).Value = "挿入" Then
Rows(i).Insert
End If
Next i

ポイントは、ループを**逆順(下から上)**に行っていること。これは、挿入によって行番号が変わるのを防ぐためです。通常の順方向で処理すると、意図しない行に挿入されてしまう可能性があります。


挿入した行に値を入力する

挿入と同時に、初期値やラベルを入力したいケースもあります。以下は、特定の場所に行を挿入し、その行に見出しを入力する例です。

Rows(3).Insert
Cells(3, 1).Value = "商品名"
Cells(3, 2).Value = "価格"
Cells(3, 3).Value = "在庫数"

このように、挿入した直後にセルを指定すれば、簡単にデータをセットできます。表のレイアウト作成にも応用できます。


行の書式をコピーして挿入する

行を挿入する際に、既存の行の書式を引き継ぎたい場合は、Insert Shift:=xlDown, CopyOrigin:=xlFormatFromLeftOrAboveを使います。

Rows(5).Insert Shift:=xlDown, CopyOrigin:=xlFormatFromLeftOrAbove

この書き方を使えば、罫線や背景色、フォントサイズなどのフォーマットも自動的に新しい行へ反映されるため、見た目の統一感を保つことができます。


テーブル(ListObject)に行を追加するには

テーブルとして定義された範囲(ListObject)に行を追加するには、少し違った書き方になります。

Dim tbl As ListObject
Set tbl = ActiveSheet.ListObjects("商品一覧")
tbl.ListRows.Add

このコードでは、指定したテーブルに新しい行を追加します。テーブルは自動的に書式を適用してくれるので、データベース風の管理にも便利です。


実用的なマクロ:選択セルの前に行を挿入する

以下は、選択したセルのある行の前に1行挿入するマクロです。

Sub 挿入マクロ()
Selection.EntireRow.Insert
End Sub

このマクロをボタンに割り当てておけば、クリック一つで任意の場所に行を挿入できます。日常の作業を大きく効率化できる便利なスクリプトです。


エラーを防ぐためのポイント

行の挿入では、意図しない範囲のデータがズレてしまうこともあります。以下のポイントに注意してください。

  • 挿入先がテーブルの中でないか確認する
  • 結合セルを含む範囲には注意する(エラーになりやすい)
  • 挿入後に必要な再計算があれば、Application.Calculateを使う

これらの点を意識することで、安定してVBAマクロを動作させることができます。


まとめ

VBAを使った行の挿入は、覚えておくととても役立つテクニックの一つです。基本のRows().Insertから、条件付きやテーブル対応まで、さまざまな場面で活用できます。業務の自動化・効率化を目指すうえで、ぜひこの記事のサンプルコードをベースに、自分の目的に合ったマクロを組み立ててみてください。

Excel作業をよりスマートに、よりスピーディーに。VBAの力を活かして、日々の業務に差をつけましょう!

タイトルとURLをコピーしました