Excelで見栄えの良い表を作るために欠かせないのが「罫線（けいせん）」です。手作業でも設定できますが、VBA（Visual Basic for Applications）を使えば、効率よく一括で罫線を引いたり、条件に応じて動的に罫線を変更することも可能になります。本記事では、VBA初心者でもわかるように、基本的な罫線の操作から実践的なテクニックまで、丁寧に解説していきます。

VBAで罫線を引く基本構文
よく使う罫線の種類とスタイル
範囲全体に罫線を引く方法
行ごとに罫線を引く処理（ループ活用）
条件に応じて罫線を変える（If文の活用）
表の外枠だけに罫線を引く（内線なし）
罫線を削除する方法
色付き罫線で見やすさアップ
実践：VBAで表全体に装飾罫線を引くマクロ例

VBAで罫線を引く基本構文

VBAでは、セルの罫線にアクセスする際に「Borders」プロパティを使用します。基本構文は以下のようになります。

Range("A1").Borders(xlEdgeBottom).LineStyle = xlContinuous

このコードは、A1セルの下側に実線の罫線を引くものです。

要素	意味
`Range("A1")`	対象のセル
`Borders(xlEdgeBottom)`	下側の罫線を指定
`LineStyle = xlContinuous`	実線にする

他にも xlEdgeTop（上罫線）、xlEdgeLeft（左罫線）、xlEdgeRight（右罫線）などがあります。

よく使う罫線の種類とスタイル

罫線の種類は以下のように指定できます。

With Range("B2").Borders(xlEdgeBottom)
    .LineStyle = xlContinuous ' 実線
    .Weight = xlThin           ' 線の太さ（xlThin, xlMedium, xlThick）
    .Color = RGB(0, 0, 0)      ' 線の色（黒）
End With

Weightで線の太さを調整でき、Colorで任意の色に変更可能です。

範囲全体に罫線を引く方法

表全体に外枠と内線を引きたい場合は、次のように記述します。

With Range("A1:D5").Borders
    .LineStyle = xlContinuous
    .Weight = xlThin
    .Color = RGB(0, 0, 0)
End With

さらに、外枠だけ太くしたい場合は個別に指定します。

Range("A1:D5").Borders(xlEdgeLeft).Weight = xlThick
Range("A1:D5").Borders(xlEdgeTop).Weight = xlThick
Range("A1:D5").Borders(xlEdgeRight).Weight = xlThick
Range("A1:D5").Borders(xlEdgeBottom).Weight = xlThick

行ごとに罫線を引く処理（ループ活用）

多くの行に対して繰り返し罫線を引きたい場合は、Forループを活用します。

Dim i As Long
For i = 2 To 10
    Range("A" & i & ":D" & i).Borders(xlEdgeBottom).LineStyle = xlContinuous
Next i

これでA2:D10の各行に下罫線が引かれます。

条件に応じて罫線を変える（If文の活用）

特定の値を持つセルにだけ罫線を設定することも可能です。

Dim cell As Range
For Each cell In Range("B2:B10")
    If cell.Value = "重要" Then
        cell.EntireRow.Borders(xlEdgeBottom).LineStyle = xlDouble
    End If
Next cell

このコードは、B列に「重要」と書かれている行の下に二重線の罫線を引きます。

表の外枠だけに罫線を引く（内線なし）

装飾として外枠だけに罫線を引きたい場合は以下のようにします。

With Range("B2:E6")
    .Borders(xlEdgeTop).LineStyle = xlContinuous
    .Borders(xlEdgeBottom).LineStyle = xlContinuous
    .Borders(xlEdgeLeft).LineStyle = xlContinuous
    .Borders(xlEdgeRight).LineStyle = xlContinuous
End With

xlInsideHorizontalやxlInsideVerticalは設定しないことで、内線なしになります。

罫線を削除する方法

既存の罫線を消すには、LineStyle = xlNone を使用します。

Range("A1:D10").Borders.LineStyle = xlNone

特定の罫線のみ消したい場合は、方向を指定します。

Range("A1:D10").Borders(xlEdgeBottom).LineStyle = xlNone

色付き罫線で見やすさアップ

罫線の色を変えると、視認性が向上します。以下のように指定可能です。

Range("A1:D1").Borders(xlEdgeBottom).Color = RGB(255, 0, 0) ' 赤色

この方法で、見出しとデータを視覚的に区別できます。

実践：VBAで表全体に装飾罫線を引くマクロ例

最後に、実践的なコードを紹介します。見出し行を太線、データ行に薄い罫線を設定する例です。

Sub FormatTableBorders()
    Dim ws As Worksheet
    Set ws = ActiveSheet

    ' 見出し行
    With ws.Range("A1:D1").Borders
        .LineStyle = xlContinuous
        .Weight = xlThick
    End With

    ' データ行（2～10行目）
    With ws.Range("A2:D10").Borders
        .LineStyle = xlContinuous
        .Weight = xlThin
    End With

    ' 外枠太線
    With ws.Range("A1:D10")
        .Borders(xlEdgeLeft).Weight = xlMedium
        .Borders(xlEdgeTop).Weight = xlMedium
        .Borders(xlEdgeRight).Weight = xlMedium
        .Borders(xlEdgeBottom).Weight = xlMedium
    End With
End Sub