料理をおいしくする一番の近道、それは「出汁(だし)」です。
素材の味を引き出し、料理全体に奥行きを与えてくれる出汁は、和食だけでなく中華や洋食においても非常に重要な存在です。
この記事では、和風・中華・洋風、それぞれの基本的な出汁の取り方と、使いどころについて詳しく解説します。
家庭でもできる手軽な方法から、本格派のテクニックまで、料理初心者にもわかりやすく紹介していきます。
日々のごはんがもっとおいしくなる、出汁の世界をぜひ覗いてみてください。
和風出汁の取り方|かつお節と昆布の黄金コンビ
和食の基本といえば、やはり「和風出汁」。
その中でも定番なのが「かつお節と昆布」の合わせ出汁です。
材料(基本の分量)
- 水:1リットル
- 昆布:10g
- かつお節:20g
作り方
- 昆布を水に入れ、30分〜1時間浸けておく(前日の夜から仕込んでもOK)。
- 弱火にかけて加熱し、沸騰する直前(小さな泡が出てきたタイミング)で昆布を取り出す。
- 沸騰したら火を止め、かつお節を一気に投入。
- 1分ほど待ってかつお節が沈んできたら、キッチンペーパーや細かいこし器で漉す。
ポイント
- 昆布を沸騰させるとぬめりや苦味が出るため、必ず「沸騰前」に取り出す。
- 漉すときに絞らないのが澄んだ出汁を取るコツ。
活用例
- 味噌汁
- 煮物
- うどんつゆ
昆布とかつお節のうま味が合わさることで、深い味わいの和食が完成します。
中華出汁の取り方|鶏ガラと香味野菜でコクを出す
中華料理では、「鶏ガラスープ」がベースになることが多いです。
澄んだスープから濃厚なスープまで、アレンジも自在です。
材料(基本の分量)
- 鶏ガラ:1羽分(約500g)
- 長ねぎの青い部分:1本分
- 生姜スライス:2〜3枚
- 水:2リットル
作り方
- 鶏ガラは一度熱湯で下ゆでし、アクと血を取り除く。
- 大きめの鍋に水と鶏ガラ、長ねぎ、生姜を入れて中火にかける。
- 沸騰したらアクを取りながら、弱火で1時間〜2時間ほど煮込む。
- 火を止めて材料を漉す。
ポイント
- 下処理を丁寧に行うことで、にごりや臭みのない出汁が取れる。
- 長時間煮るとよりコクが出るが、家庭では1時間程度でも十分おいしい。
活用例
- ラーメンのスープ
- 中華風炒め物の隠し味
- 中華粥のベース
中華出汁は鶏の旨味と香味野菜の風味が合わさり、力強い味わいに仕上がります。
洋風出汁の取り方|ブイヨンとフォンの違いとは?
洋食では「ブイヨン」や「フォン」と呼ばれる出汁があります。
用途によって使い分けるのが特徴です。
ブイヨン(Bouillon)の取り方(簡易版)
材料
- 鶏肉(手羽元やもも肉):300g
- 玉ねぎ:1個
- 人参:1本
- セロリ:1本
- ローリエ:1枚
- 水:1.5リットル
作り方
- 野菜は大きめに切り、鍋に鶏肉・野菜・水・ローリエを入れる。
- 中火で加熱し、沸騰したらアクを取る。
- 弱火で1時間ほど煮込んでから漉す。
活用例
- スープ
- リゾット
- シチューのベース
ブイヨンはさらっとした味わいで、幅広い料理に使いやすいのが魅力です。
フォン・ド・ヴォライユ/フォン・ド・ヴォーの違い
「フォン」とは、肉や骨をローストしてから煮出すことで濃厚な旨味を引き出す出汁です。
たとえば、
- フォン・ド・ヴォライユ:鶏の出汁
- フォン・ド・ヴォー:仔牛の骨から取った出汁
時間と手間はかかりますが、レストランの味のベースとなる高級出汁です。
活用例
- デミグラスソース
- 赤ワインソース
- 高級フレンチの煮込み料理
顆粒出汁との違い|手作りの出汁はなにが違う?
「出汁を取るのは面倒だから顆粒で十分」という方も多いと思います。
たしかに顆粒出汁は便利ですが、手作りの出汁には次のような違いがあります。
風味の豊かさ
素材そのものから引き出す風味は、香り・旨味ともに段違いです。
口に入れた瞬間の「ふわっ」とした奥深さは、化学調味料では再現しづらいものです。
塩分や添加物の調整が自由
顆粒タイプには塩や調味料が含まれていることが多いため、味のバランスを自分で整えるのが難しいことも。
自作なら「無添加」で、好みに合わせて味をコントロールできます。
出汁をとる時間がないときの裏技
忙しい時や、料理初心者の方にもおすすめの方法があります。
和風:水出し昆布+削り節のレンジ抽出
- 水に昆布を浸けておき、必要なときに削り節を加えてレンジで2分加熱。
中華:鶏ガラスープの素+おろし生姜少々
- スープの素に生姜を加えるだけで、奥行きのある味に。
洋風:ブイヨンキューブ+炒めた野菜
- 玉ねぎを炒めて香りを出してからブイヨンを加えるだけでも、風味アップ。
まとめ:出汁を制する者が、料理を制す!
出汁は「料理の命」と言われるほど、味の決め手になります。
和風・中華・洋風、それぞれに合った出汁を使うことで、普段の料理も格段においしくなります。
手間はかかりますが、一度自分で出汁を取ってみると、その違いに驚くはずです。
ぜひ、自分のライフスタイルに合った出汁の取り方を見つけて、料理の幅を広げてください。