電気工事士の試験では、単相交流や三相交流の配線方式についての知識が必須です。
配線図の読み取りや結線方法を正しく理解していないと、計算問題や図面問題でつまずいてしまう可能性もあります。
この記事では、単相・三相の基本的な仕組みから、実際の配線方式の種類や用途までをわかりやすく解説します。
これから試験を受ける方、または復習したい方にとって役立つ内容となるよう構成していますので、ぜひ最後までご覧ください。
単相交流とは?基本の仕組みと特徴
単相交流(たんそうこうりゅう)とは、1つの交流電圧を用いた電力供給方式です。
家庭用の100Vコンセントなど、日常生活で最もよく使われている方式です。
特徴としては以下のような点があります。
- 電圧は一般的に100Vまたは200V
- 電線は2本(単相2線式)または3本(単相3線式)
- 主に家庭用電気製品に使用
単相交流は、波形が1つしかないためエネルギー供給が一定でなく、出力が不安定な面もあります。
しかし、取り扱いやすくコストも安いため、家庭や小規模な設備ではこの方式が広く採用されています。
三相交流とは?工場や業務用設備で主力の電力供給方式
三相交流(さんそうこうりゅう)は、3つの位相が異なる交流電圧を同時に用いて電力を供給する方式です。
主に業務用の設備や工場などで使用されており、動力機器に向いています。
三相交流の特徴は以下の通りです。
- 3本の電圧波が120度ずつ位相差を持っている
- 電力が安定し、効率が良い
- 電線は3本または4本(中性線を含む)
- 主に三相モーターやエアコン、大型機械に使用
三相交流では、常に一定の力を供給できるため、大きな負荷がかかる機器でも効率よく動かすことができます。
電線も太く、高電圧を扱うことができるため、電気工事士試験でも理解が必須のテーマです。
単相2線式と単相3線式の違いを理解しよう
単相交流には「単相2線式」と「単相3線式」があります。
単相2線式(100V回路)
- 電線は2本(LとN)
- 主に家庭用の100Vコンセントなど
- ブレーカーから直接コンセントに接続される
この方式は非常にシンプルであり、施工も簡単ですが、200Vの電力供給には対応していません。
単相3線式(100V/200V混在回路)
- 電線は3本(L1、L2、N)
- 100Vと200Vの両方を供給できる
- エアコンなどの200V機器にも対応可能
住宅の分電盤などでよく使われており、バランスよく電力を供給するために中性線(N)の取り扱いに注意が必要です。
試験でも、単相3線式の配線図や電圧の確認問題がよく出題されます。
三相3線式と三相4線式の配線方式を押さえよう
三相交流にも複数の配線方式があります。
代表的なものとして以下の2種類を覚えておきましょう。
三相3線式(デルタ結線)
- 電線は3本(R、S、T)
- 中性線はない
- 主にモーターや機械動力で使用
- 電圧は200Vまたは400Vが一般的
デルタ結線(Δ結線)は、3本の電線で機械に電力を供給する方式で、動力配線に最もよく使われます。
R-S、S-T、T-Rの間に電圧が生じ、電線同士の間に200Vが流れます。
三相4線式(スター結線)
- 電線は4本(R、S、T、N)
- 中性線Nがあり、各相と中性線間に100V(または230V)が流れる
- 電灯と動力の両方に対応
スター結線(Y結線)は、商業施設やビルなどで多く見られます。
動力と照明を同じ回路から供給できるため、効率的です。
試験では電圧の関係式や接続図に関する出題がよく見られます。
試験で頻出!電圧と電流の関係に注意しよう
電気工事士試験では、電圧と電流の関係についての理解も重要です。
特に三相回路では、電線間の電圧(線間電圧)と相電圧、電流の関係をしっかり押さえる必要があります。
三相交流の代表的な公式
- 線間電圧 = √3 × 相電圧
- 線電流 = 相電流(デルタ結線の場合)
- 合成電力 = √3 × 線間電圧 × 線電流 × 力率
これらの公式は、計算問題での頻出事項です。
問題文を読みながら、どの結線方式かを判断し、適切に公式を使い分ける必要があります。
単相・三相の用途と見分け方
試験対策では、配線図を見て「これは単相か三相か」「何線式か」「どんな電圧が流れているか」を即座に判断できる力が求められます。
見分けるポイント
- 電線の本数(2本・3本・4本)
- 使われている電圧(100V/200V/400Vなど)
- 結線図の形(ΔかYか)
- 電灯用か動力用か
実務でもこのような知識は重要で、誤った配線は事故や火災の原因にもなります。
まとめ:単相・三相の違いを理解すれば試験に強くなる
単相と三相の違い、配線方式、電圧の関係などをきちんと理解していれば、電気工事士の試験問題にも自信を持って取り組めるようになります。
単純な暗記ではなく、「なぜこのような配線なのか」「どのように使い分けるのか」という視点を持つことが合格への近道です。
本記事を参考に、図解や実例を交えて復習を重ねていきましょう。