Windowsにはネットワークの経路を調査するための便利なコマンドが多数用意されています。その中でも「tracert」は、通信経路を詳細に確認できる重要なツールです。本記事では、tracertコマンドの基本的な使い方から応用テクニックまでを詳しく解説します。
tracertコマンドとは?
tracert(Trace Route)は、指定したホストまでの通信経路を追跡するためのコマンドです。このコマンドを使うことで、パケットがどのルーターを通過して目的地に到達するのかを確認できます。
tracertの主な用途
- ネットワークの遅延が発生している箇所の特定
- 通信障害のトラブルシューティング
- 通信経路の最適化や分析
- ネットワーク管理の確認
tracertコマンドの基本的な使い方
tracertコマンドを使用するには、Windowsのコマンドプロンプトを開いて実行します。
tracertの基本構文
tracert [オプション] <ホスト名またはIPアドレス>
例:Googleのサーバーまでの経路を確認
tracert google.com
このコマンドを実行すると、Googleのサーバーまでの通信経路が一覧表示され、通過する各ルーターのIPアドレスや応答時間が確認できます。
tracertコマンドのオプション一覧
tracertにはいくつかのオプションがあり、特定の条件でネットワーク経路を調査できます。
オプション | 説明 |
---|---|
-d | ホスト名の解決を行わずIPアドレスのみ表示 |
-h <回数> | 最大ホップ数(デフォルトは30)を指定 |
-w <時間> | 応答タイムアウト(ミリ秒単位)を設定 |
-4 | IPv4を強制的に使用 |
-6 | IPv6を強制的に使用 |
オプションを使った例
- ホスト名を解決せずIPアドレスのみを表示
tracert -d google.com
- 最大ホップ数を15に制限
tracert -h 15 google.com
- 応答タイムアウトを5000ミリ秒に設定
tracert -w 5000 google.com
tracertの結果の見方
tracertの出力結果には、各ホップ(ルーター)の情報が表示されます。
出力例
1 <1 ms <1 ms <1 ms 192.168.1.1
2 10 ms 12 ms 11 ms 203.0.113.1
3 15 ms 18 ms 17 ms 198.51.100.1
4 * * * 要求がタイムアウトしました。
5 25 ms 28 ms 26 ms 8.8.8.8
各項目の意味
- 番号:ホップ番号(経路上の順番)
- 応答時間(ms):3回の試行結果を表示
- IPアドレスまたはホスト名:ルーターのアドレス
- 要求がタイムアウトしました:応答が返ってこなかった(ファイアウォールや通信障害の可能性)
tracertの応用テクニック
1. 異常が発生しているポイントを特定
もし特定のホップで応答時間が急激に遅くなったり、タイムアウトが続いたりする場合、その地点に問題がある可能性があります。
2. 通信経路の変化を確認
異なるネットワーク環境でtracertを実行すると、通信経路の違いを確認できます。ISPやVPNを切り替えて試すことで、最適な経路を把握できます。
3. バッチスクリプトで定期的にtracertを実行
特定のホストへのtracertを定期的に実行し、ログを取得するバッチスクリプトを作成すると、ネットワークの変化を継続的に監視できます。
バッチスクリプト例(tracert_log.bat)
@echo off
echo %DATE% %TIME% >> tracert_log.txt
tracert -d google.com >> tracert_log.txt
echo -------------------------------- >> tracert_log.txt
このスクリプトをタスクスケジューラで定期実行すれば、ネットワーク経路の変化を追跡できます。
tracertと似たコマンド
コマンド | 説明 |
ping | 特定のホストとの接続確認を行う |
pathping | tracertとpingを組み合わせた詳細な診断 |
netstat | 現在の接続状況を確認 |
nslookup | DNSサーバーの情報を取得 |
まとめ
tracertコマンドは、ネットワーク経路を可視化し、通信遅延や障害の特定に役立つ重要なツールです。
重要なポイントまとめ
- tracertはネットワーク経路を調査するためのコマンド
- 通信遅延や障害の特定に活用できる
- オプションを組み合わせて詳細な情報を取得可能
- バッチスクリプトで定期監視が可能
ネットワークトラブルの際に役立つtracertコマンドを、ぜひ活用してみてください!