ファイルやフォルダの比較を行うときに便利な無料ツール「WinMerge」。
プログラムの修正点や設定ファイルの変更をチェックする際、「差分だけを見たい」と思ったことはありませんか？
WinMergeには、変更箇所だけを表示する便利な機能があり、これを使いこなせば、比較作業の効率が大幅にアップします。
WinMergeとは？基本機能をおさらい
WinMergeは、Windows向けのオープンソース比較ツールで、2つのファイルやフォルダの違い（差分）を視覚的に確認できます。
プログラマーやWeb制作者だけでなく、Excelや設定ファイルなどのテキスト比較にも活用されています。
主な機能は以下の通りです。
- 2つのファイル間の変更箇所を色分け表示
- 差分を一方にコピーしてマージ可能
- フォルダ単位でファイルの更新状況を比較
- 差分の検索・移動・スキップ機能
- 差分のみを抽出・表示するフィルタ機能
特に「差分のみ表示」は、修正箇所をすばやく確認したいときに非常に便利な機能です。
WinMergeで差分のみ表示する方法
WinMergeで差分のみを表示する方法はとても簡単です。
ファイルを比較したあとに、特定の設定を切り替えるだけで、変更がある部分だけを抽出して確認できます。
ステップ①：比較したいファイルを開く
- WinMergeを起動します。
- メニューから「ファイル」→「開く」を選択。
- 「左側のファイル」と「右側のファイル」を指定して、「比較」ボタンをクリック。
これで2つのファイルが左右に並んで表示されます。
黄色やグレーなどで色分けされた部分が差分箇所です。
ステップ②：「差分のみ表示」に切り替える
比較結果が表示されたら、メニューまたはツールバーから「差分のみ表示」に切り替えます。
方法1：メニューバーから設定
上部メニューの
「表示」→「差異のみ表示」
にチェックを入れます。
方法2：ツールバーのアイコンで設定
ツールバーにある「差異のみ表示」アイコン（左右に縦線と×印のようなマーク）をクリックしても同じです。
これで、差分がある行だけが画面に残り、一致している部分は非表示になります。
ステップ③：結果を確認
「差分のみ表示」を有効にすると、同一の行は折りたたまれ、差分行だけが見やすく並びます。
特に長い設定ファイルやソースコードを比較する際に、変更箇所が一目で確認できるようになります。
差分部分は色分けされています。
- 黄色：変更された部分
- グレー：追加または削除された部分
- 白：共通部分（非表示になる）
この状態でスクロールすれば、変更点だけをすばやくチェックできます。
差分のみ表示を解除する方法
もし全体の内容を再度確認したい場合は、再び「表示」→「差異のみ表示」のチェックを外すだけでOKです。
全ての行が元通りに表示され、変更の前後関係を含めて確認できます。
フォルダ比較でも「差分のみ表示」は便利
WinMergeはファイルだけでなく、フォルダ単位でも比較できます。
たとえば、以下のような場面で役立ちます。
- プロジェクト全体のファイル更新状況を確認したい
- バックアップフォルダと最新フォルダを比較したい
- 開発前後でどのファイルが変更されたかを一覧化したい
フォルダ比較の手順
- 「ファイル」→「開く」→「フォルダ」タブを選択。
- 左右のフォルダを指定して「比較」をクリック。
- 結果一覧で「一致」「差異」「左のみ」「右のみ」などのステータスが表示されます。
- 表示メニューから「差異のみ表示」を選ぶと、変更のあるファイルだけが残ります。
この機能を使えば、数百のファイルの中から、変更されたものだけを素早く見つけられます。
差分のみ表示の応用テクニック
WinMergeでは単に差分を表示するだけでなく、細かな設定を組み合わせることで、さらに効率的に比較作業を行えます。
① 空白・改行を無視して比較する
コードやテキストファイルの編集では、空白や改行が違うだけで「差分」と認識されることがあります。
不要な差分を減らすには次の設定を使いましょう。
- メニューから「編集」→「比較設定」
- 「空白を無視」「改行コードの違いを無視」などにチェック
これで、実質的に内容が変わっていない部分をスキップできます。
② 特定の行や単語を比較対象外にする
WinMergeでは「フィルタ機能」を使って、特定のパターンを除外することも可能です。
たとえば、日付やコメント行を比較対象から外す場合：
- 「ツール」→「フィルタの編集」
- 除外したいキーワードや正規表現を指定
- 比較時にフィルタを適用
これにより、不要な差分を除外して本当に確認したい箇所だけを抽出できます。
③ 差分のみをファイルとして出力する
「差分のみ表示」で確認した内容を、レポートとして保存することもできます。
手順：
- 「ファイル」→「レポートの保存」をクリック。
- 「差分のみ」を選択して保存。
HTML形式で出力すれば、ブラウザで開いて確認したり、チームメンバーに共有することも可能です。
WinMergeの表示モードとショートカットキー
「差分のみ表示」をはじめ、WinMergeの表示操作はショートカットキーで素早く切り替えられます。
| 操作内容 | ショートカットキー | 説明 |
|---|---|---|
| 差分のみ表示の切り替え | Ctrl + D | 一致行を非表示／再表示 |
| 次の差分に移動 | F7 | 次の差分箇所へジャンプ |
| 前の差分に移動 | Shift + F7 | 前の差分箇所へ戻る |
| 差分をコピー | Ctrl + Shift + →（または←） | 左右ファイル間で差分をコピー |
| 差分をマージ | Alt + M | 片方の内容を反映して統一 |
| 検索 | Ctrl + F | 特定の文字列を検索 |
これらを活用すれば、マウス操作なしで効率的に比較作業が進められます。
差分表示を使うおすすめのシーン
差分のみ表示は、次のようなシーンで特に威力を発揮します。
- プログラム修正のレビュー
コード変更点だけを抜き出して確認できるため、レビュー作業が短時間で済む。 - 設定ファイルの更新チェック
環境ごとに設定が異なる場合、差分のみを比較すればミスを見逃しにくい。 - バックアップとの差分確認
バックアップファイルと最新ファイルを比べて、どこが更新されたかを把握できる。 - 納品前のファイル検証
誤って編集した箇所がないか、差分表示で確認できる。
トラブルシューティング：差分がうまく表示されないとき
「差分のみ表示」を使っても結果が思ったように出ない場合は、以下の点をチェックしてみましょう。
- 文字コードが一致していない
UTF-8とShift-JISなど文字コードが異なると、差分検出が誤る場合があります。
→ メニューの「ファイル」→「エンコードの変更」で統一。 - 改行コードが異なる
Windows（CRLF）とLinux（LF）の違いによっても差分が増えることがあります。
→ 「編集」→「比較設定」で改行コードの違いを無視に設定。 - バイナリファイルを比較している
画像やPDFなどテキスト以外のファイルは、正しく差分表示できません。
→ テキストファイルとして扱える形式に変換して比較しましょう。
WinMergeをより便利に使うための設定
WinMergeはデフォルト設定のままでも十分使えますが、次の設定をしておくとさらに快適になります。
- **「自動的に前回の比較を復元」**をONにして、前回作業の続きから始める
- **「フォント設定」**で等幅フォントを選ぶ（例：Consolas）
- **「色設定」**で変更箇所を見やすく調整
- **「ツールバーのカスタマイズ」**で「差分のみ表示」ボタンを常に見える位置に配置
まとめ
WinMergeの「差分のみ表示」機能を使えば、数百行のファイルでも変更箇所をすぐに見つけられます。
特に、プログラミング・設定管理・文書修正など、ファイルの差分確認が多い業務では作業効率を大きく向上させることができます。
ポイントをまとめると以下の通りです。
- 「表示」→「差異のみ表示」で変更箇所だけを抽出
- フォルダ比較でも「差異のみ表示」は有効
- 空白・改行を無視して正確な差分確認が可能
- レポート出力やフィルタ機能でさらに便利に
WinMergeを使いこなせば、手作業での確認に比べて時間を大幅に短縮できます。