毎月の給与明細を見ると「健康保険料」という項目がありますが、どのように計算されているかご存じでしょうか。
健康保険料は、給与から自動的に天引きされるため意識しにくいのですが、実は「標準報酬月額」という基準をもとに計算されており、給与や賞与によって金額が変わります。
この記事では、健康保険料の計算方法をわかりやすく解説し、実際の計算例もご紹介します。給与明細の仕組みを理解しておくことで、自分の社会保険料が正しく控除されているかを確認でき、将来の家計管理にも役立ちます。
健康保険料は、病気やケガ、出産などの医療費に備えるための社会保険制度の一部です。会社員や公務員は原則として「健康保険」に加入しており、保険料は会社と従業員が折半して負担しています。
個人事業主やフリーランスの場合は「国民健康保険」に加入しますが、計算方法や仕組みが異なるため、この記事では主に会社員が加入する健康保険について説明します。
健康保険料は次の式で求められます。
健康保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率
たとえば、標準報酬月額が30万円、保険料率が10%の場合、健康保険料は3万円となり、会社と従業員で半分ずつ負担するため、本人が支払うのは1万5000円です。
健康保険料の計算で最も重要なのが「標準報酬月額」です。これは実際の給与額そのままではなく、以下のルールで決まります。
たとえば、4月〜6月の平均給与が28万5000円だった場合、「標準報酬月額30万円」として扱われます。
保険料率は、加入する健康保険組合や都道府県ごとに異なります。
たとえば、協会けんぽ(全国健康保険協会)では都道府県単位で保険料率が定められており、東京都の場合は「10%前後」に設定されています。
また、健康保険組合に加入している会社では、組合独自の保険料率が設定されている場合もあります。
給与だけでなく、賞与(ボーナス)にも健康保険料がかかります。
賞与にかかる保険料 = 賞与額 × 保険料率
ただし、賞与の保険料には「上限額(年度累計573万円)」があるため、高額な賞与の場合でも一定額以上は徴収されません。
健康保険料=30万円 × 10% = 3万円
本人負担=1万5000円
会社負担=1万5000円
給与明細には、本人負担分の「1万5000円」が控除されます。
【給与分】
26万円 × 10% = 2万6000円(本人負担1万3000円)
【賞与分】
50万円 × 10% = 5万円(本人負担2万5000円)
合計で、1か月あたりの本人負担額は 3万8000円 となります。
健康保険料は「会社と本人で折半」するのが原則です。
たとえば、健康保険料が3万円の場合、会社が1万5000円を負担し、残り1万5000円が給与から控除されます。
この仕組みによって、従業員の負担は半分に抑えられています。
健康保険料は固定ではなく、次のようなタイミングで変わります。
会社員は「健康保険」ですが、個人事業主やフリーランスは「国民健康保険」に加入します。
国民健康保険料は前年の所得に基づいて計算され、自治体ごとに保険料率が異なります。
そのため、会社員の健康保険と比べて計算方法が複雑に感じられることもあります。
健康保険料は「標準報酬月額 × 保険料率」で計算され、給与だけでなく賞与にもかかります。
会社員の場合は会社と折半する仕組みがあるため、自分が実際に負担しているのは総額の半分です。
給与明細の「健康保険料」の仕組みを理解しておくことで、
といったメリットがあります。