暦の上では秋が始まる「立秋」。まだ暑さが厳しい時期ですが、日本ではこの日を境に「秋」として季節の移ろいを感じるようになります。ビジネス文書や手紙では「立秋の候」や「残暑お見舞い申し上げます」などの挨拶文を使うことで、季節感と丁寧な気遣いを伝えることができます。本記事では、「立秋の候」の意味や使い方、ビジネスや個人の場面で活用できる例文、他の関連表現もあわせてご紹介します。日本の四季を言葉にして表す魅力を、ぜひこの機会に再確認してみましょう。
「立秋(りっしゅう)」とは、二十四節気のひとつで、1年を24の季節に分けた暦の上の秋の始まりを指します。毎年8月7日ごろが立秋にあたり、2025年は8月7日がその日に該当します。
実際の天候はまだ真夏の暑さが残っていますが、古来の暦ではこの日から秋とされ、以後の暑さは「残暑」と表現されるようになります。このような季節の区切りを知ることで、より自然と調和した言葉遣いが可能になります。
「立秋の候」は、手紙やメールなどの冒頭で使われる時候の挨拶の一つです。「~の候」は「~の時期になりました」という意味で、「立秋の候」は「暦の上では秋になりました」という季節の始まりを丁寧に表現する言葉です。
ビジネスやフォーマルな手紙でよく使われるこの表現は、相手に対する配慮や教養を伝える効果があります。以下のように用いることが一般的です。
「立秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
このように、冒頭に季節の挨拶を置いた後、相手の健康や発展を祈る文章を続けるのがマナーです。
ビジネス文書においては、時候の挨拶とともに相手への敬意や状況への配慮を示すことが大切です。以下にいくつかの例文をご紹介します。
立秋の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。<br>
平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
立秋の候、まだまだ厳しい暑さが続いておりますが、皆様におかれましてはご健勝のことと存じます。<br>
先日はご多忙中にもかかわらず、お時間をいただき誠にありがとうございました。
立秋の候、厳しい残暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。<br>
日頃のご厚情に心より感謝申し上げます。
親しい間柄でも、時候の挨拶を用いることで、手紙に品格を添えることができます。少し砕けた表現でも季節感を込めて伝えると喜ばれます。
立秋の候とはいえ、まだまだ暑い日が続いておりますね。
お元気でお過ごしでしょうか。
暦の上では立秋を迎えましたが、猛暑の折、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
先日は温かなお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。
「立秋の候」以外にも、同じ時期に使える時候の挨拶表現がいくつかあります。内容や相手によって言葉を選ぶと、より自然な印象になります。
表現 | 意味 | 備考 |
---|---|---|
残暑の候 | 残暑が続く時期です | 立秋以降に使う丁寧な表現 |
晩夏の候 | 夏の終わりを感じる時期です | 8月下旬ごろにおすすめ |
暑さ厳しき折 | 暑さが続いている状況です | 丁寧でやわらかい表現 |
例えば、「残暑の候、貴社いよいよご発展のこととお慶び申し上げます。」という形で使うこともできます。
手紙だけでなく、ビジネスメールでも「立秋の候」は使えます。ただし、メールではより簡潔さやスピードが求められるため、少しカジュアルな言い回しにすることが一般的です。
件名:お打ち合わせの御礼<br>
本文:立秋の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
先日はお時間をいただき、ありがとうございました。~
特に初めての取引やお礼・依頼を丁寧に伝えたい場面で有効です。ただし、カジュアルなやりとりでは省略しても問題ありません。
「立秋の候」は、単に暦の上の言葉ではなく、相手への思いやりや日本の四季への敬意を込めた表現です。形式的になりがちなビジネス文書や手紙においても、このような時候の挨拶を添えることで、文章に温かみと品格を与えることができます。
ビジネスでも個人でも、「立秋の候」という一言が相手の心に響くきっかけになるかもしれません。言葉で季節を感じる、この日本独自の文化を、ぜひ今後も活用していきましょう。