Woman typing on a laptop
Excelでグラフを作成すると、データの「系列(Series)」という言葉をよく見かけます。特に複数のデータを比較する棒グラフや折れ線グラフでは、Series(系列)の設定が正しくできていないと、グラフが意図通りに表示されません。
この記事では、Excelの「系列(Series)」の基本的な概念から、グラフ内での編集方法、関数としての活用法、さらには応用テクニックまで、初心者でもわかりやすく解説していきます。グラフ作成でつまずいた方や、もっと見やすく・正確にグラフを作成したい方におすすめの内容です。
Excelの「系列(Series)」とは、グラフで表示される1つのデータのまとまりを指します。たとえば、棒グラフで「売上」「利益」「コスト」といった複数の項目を表示する場合、それぞれが1つの「系列」となります。
グラフはこの「系列」をもとに視覚化されており、適切に設定・編集することで、より意味のあるグラフが作成できます。
グラフのデータ系列は、Excelの内部的には「SERIES関数」として構成されています。これは、グラフの「データの選択」画面や数式バーで確認できます。
たとえば、以下のような式です。
=SERIES(“売上”,Sheet1!$A$2:$A$13,Sheet1!$B$2:$B$13,1)
それぞれの引数の意味は以下の通りです。
これを手動で編集することで、グラフの内容を柔軟に変更することができます。
グラフをクリックすると、Excelのリボンに「グラフツール」が表示されます。ここから「データの選択」→「系列の編集」を選ぶことで、各系列の情報を確認・編集できます。
複数の系列を一つのグラフに表示することで、比較しやすいグラフが作れます。以下は手順です。
A列:月 B列:売上 C列:利益
これで、「売上」と「利益」が別々の系列として表示されます。
グラフの系列に「名前付き範囲」や「OFFSET関数」「INDIRECT関数」を使うことで、動的に変化するグラフを作成することが可能です。
名前:売上範囲 数式:=OFFSET(Sheet1!$B$2,0,0,COUNTA(Sheet1!$B:$B)-1)
これにより、データが追加されても自動で範囲が拡張され、グラフが更新されるようになります。
SERIES関数は通常のワークシートでは使えません。数式バーで入力してもエラーになります。これはグラフ内の構成要素を記述する内部関数のようなものだからです。
しかし、SERIESの構造を理解しておくことで、グラフの構成を手動で編集したり、マクロ(VBA)で制御する際にも役立ちます。
Excel VBAでは、グラフ内のSeriesをオブジェクトとして扱い、柔軟に変更できます。
Sub グラフの系列変更()
Dim cht As Chart
Set cht = ActiveSheet.ChartObjects("グラフ 1").Chart
cht.SeriesCollection(1).Values = Sheet1.Range("B2:B13")
cht.SeriesCollection(1).XValues = Sheet1.Range("A2:A13")
cht.SeriesCollection(1).Name = "=""売上"""
End Sub
このようにすれば、プログラムからグラフの系列データを動的に更新できます。
「売上」は棒グラフ、「利益率」は折れ線グラフのように、1つのグラフ内で系列の種類を変えることができます。
これにより、複雑な比較グラフもわかりやすく作成できます。
Excelのグラフにおける「SERIES(系列)」は、単なるデータの列以上に、グラフを構成する重要な要素です。SERIESの構造と役割を理解することで、視覚的に訴求力のあるグラフが作成でき、業務の資料作成やプレゼンテーションでも高い説得力を持たせることができます。
ぜひこの記事を参考に、ExcelグラフのSeriesを自在に操り、データの可視化スキルをさらに高めてみてください。