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Excelには、計算やデータ分析だけでなく、数学的な処理も簡単に行える便利な関数が数多く備わっています。中でも、複数の数値から最大公約数(Greatest Common Divisor)を求める場面では、GCD関数がとても役立ちます。手作業で最大公約数を求めるのは面倒ですが、ExcelのGCD関数を使えば一瞬で答えが出せます。
本記事では、GCD関数の基本的な使い方から、複数セルへの応用例、実務での活用シーンまで、わかりやすく解説していきます。Excelを使って日々の業務を効率化したい方や、関数の引き出しを増やしたい方にとって、必見の内容です。
GCD関数は、Excelで「最大公約数(Greatest Common Divisor)」を求めるための関数です。最大公約数とは、2つ以上の整数に共通する最も大きな正の整数のことを指します。
たとえば、24と36の最大公約数は12です。これは、24と36の両方を割り切れる数の中で最も大きな数が12だからです。
GCD関数は、数学的な処理が求められる表や、数字の分解、比率計算などにも活用できます。
GCD関数の基本的な書き方は以下の通りです。
=GCD(number1, [number2], ...)
引数の説明:
number1
:最大公約数を求めたい最初の整数[number2]
:省略可能。最大公約数を求めたい2つ目以降の整数(最大255個まで)例:
=GCD(24,36)
結果は「12」となります。
セルに以下のように入力します。
=GCD(18, 30)
答えは「6」と表示されます。これは18と30を割り切れる最大の数が6だからです。
3つ以上の数値にも対応しています。
=GCD(12, 30, 42)
結果は「6」です。12、30、42すべてを割り切れる最大の整数が6になります。
Excelの便利な点は、直接数値を打ち込むだけでなく、セル参照を使えることです。
例えば、以下のようにA1に12、B1に30、C1に42と入力した場合:
=GCD(A1,B1,C1)
と入力すると、結果は「6」となります。セルにある値を変更すれば、GCDの結果も自動で更新されます。
工場や製造業では、ネジの長さ、ギアの歯数など、共通の規格を把握するのにGCD関数が役立ちます。例えば、部品Aが30mm、部品Bが45mmで、同じ長さで揃えるにはどうすればよいかというとき、最大公約数を使うと最小単位が導き出せます。
複数の数値の比率を最小単位にしたい場合、GCD関数を使ってそれぞれの数を最大公約数で割ることで、もっとも単純な比を求められます。
例:
このように、Excelで比の簡略化がすぐにできます。
GCD関数は、学校の授業や教育用資料でも活用できます。手計算の結果と照らし合わせたり、答え合わせに使うことで、教育の効率を高めることができます。
GCD関数は整数のみを対象にしています。小数や文字列が混じっているとエラーになります。
例:
=GCD(10.5, 7) → エラー
対策として、ROUND関数やINT関数などを併用して、整数に変換した値を使いましょう。
=GCD(INT(A1), INT(B1))
空白セルやエラーを含むセルをGCD関数に含めると、#VALUE!
や#NUM!
エラーが表示されることがあります。IFERROR関数と組み合わせて安全な設計にすることも検討しましょう。
最大公約数と対になる概念として「最小公倍数(LCM)」があります。これもExcel関数で用意されています。
=LCM(12, 30, 42)
この例では、3つの数値の最小公倍数(最も小さい共通の倍数)を求められます。
GCDとLCMを両方使えば、数学的な処理がよりスムーズに行えます。
複数行にまたがって最大公約数を求める場合、以下のような式が使えます。
1行目:A2=24、B2=36
2行目:A3=18、B3=30
=GCD(A2,B2)
=GCD(A3,B3)
これを下にコピーすれば、一括で最大公約数が求められます。
GCD関数は、Excelで最大公約数を簡単に求めるためのとても便利な関数です。基本的な使い方から実務への応用、注意点までを理解することで、数値処理の幅が大きく広がります。
こうしたさまざまな場面で、GCD関数をうまく使って、作業の効率を高めていきましょう。