Windows環境を構築する際、複数のPCに同じ設定を適用したい場合や、クリーンな状態でOSを再利用したい場合に便利なのが「Sysprep(System Preparation Tool)」です。
しかし、Sysprepの使い方を誤るとシステムに予期しない問題が発生することもあります。
本記事では、Sysprepの基本的な使い方、適用する際の注意点、実際のコマンド例などを詳しく解説します。
Windowsのカスタマイズや展開を行う方は、ぜひ参考にしてください。
Sysprep(System Preparation Tool)は、Windowsのシステムを「初期化」し、クローン環境を作成するためのツールです。
主に以下のような用途で利用されます。
Sysprepを適用することで、PCを出荷時状態に近づけたり、OSのクローンを作成して別の端末へ展開することが可能になります。
Sysprepを実行するには、以下の手順で操作を行います。
SysprepはWindowsに標準搭載されており、以下のディレクトリに格納されています。
C:\Windows\System32\Sysprep
このフォルダ内にある sysprep.exe をダブルクリックするか、コマンドプロンプトで実行します。
Sysprepを実行すると、以下のオプションを選択できます。
一般的な設定として、「一般化」+「OOBEモード」+「シャットダウン」 を選ぶことが多いです。
GUIではなく、コマンドプロンプトでSysprepを実行することも可能です。
以下のコマンドを管理者権限のコマンドプロンプトまたはPowerShellで実行します。
C:\Windows\System32\Sysprep\sysprep.exe /generalize /oobe /shutdown
このコマンドの意味は以下の通りです。
/generalize
→ PCの識別情報(SID)をリセットする/oobe
→ 初回起動時のセットアップ画面を有効にする/shutdown
→ 処理完了後にPCをシャットダウンするこれにより、PCは新しいデバイスのような状態になり、次回起動時にセットアップ画面が表示されます。
Sysprepを使用する際には、いくつかの注意点があります。
Sysprepは、実行後に「元の状態に戻す」ことができません。
もしカスタマイズ済みの環境を維持したい場合は、バックアップを取ることを推奨します。
Windows 10/11では、Sysprepを複数回実行するとエラーが発生することがあります。
一度Sysprepを適用したイメージは、再度一般化できないため、複製用のイメージを作成する前に十分に検証しましょう。
Sysprepを実行すると、一部のアプリケーションやカスタマイズがリセットされる可能性があります。
特に、Microsoft Storeのアプリは一般化時に削除されることがあるため注意が必要です。
Sysprepは、ドメインに参加しているPCでは実行できません。
実行する前に、PCをワークグループ環境に変更しておく必要があります。
Sysprepの実行中にエラーが発生する場合、以下の点をチェックしてください。
Windows Updateが適用されている最中や、一部のアップデートが適用後に完全に処理されていない場合、Sysprepが失敗することがあります。
この場合、PCを再起動し、すべての更新が完了したことを確認してから再実行してください。
一部のストアアプリが削除されていない場合、エラーが発生することがあります。
以下のコマンドで不要なアプリを削除すると、Sysprepが正常に動作する場合があります。
Get-AppxPackage -AllUsers | Remove-AppxPackage
Sysprepが失敗した場合、ログファイルを確認すると原因を特定しやすくなります。
ログファイルは以下のディレクトリに保存されています。
C:\Windows\System32\Sysprep\Panther\setuperr.log
このログを確認し、エラーメッセージをもとに適切な対応を行ってください。
Sysprepは、Windowsのシステムを一般化し、複数のPCへの展開を容易にする便利なツールです。
しかし、使用方法を誤るとシステムが正常に動作しなくなる可能性もあるため、事前にバックアップを取り、設定を確認してから実行することが重要です。
本記事で紹介したコマンドやトラブルシューティングを参考に、安全にSysprepを活用してください。