Windowsにはネットワークの経路を調査するための便利なコマンドが多数用意されています。その中でも「tracert」は、通信経路を詳細に確認できる重要なツールです。本記事では、tracertコマンドの基本的な使い方から応用テクニックまでを詳しく解説します。
tracert(Trace Route)は、指定したホストまでの通信経路を追跡するためのコマンドです。このコマンドを使うことで、パケットがどのルーターを通過して目的地に到達するのかを確認できます。
tracertコマンドを使用するには、Windowsのコマンドプロンプトを開いて実行します。
tracert [オプション] <ホスト名またはIPアドレス>
tracert google.com
このコマンドを実行すると、Googleのサーバーまでの通信経路が一覧表示され、通過する各ルーターのIPアドレスや応答時間が確認できます。
tracertにはいくつかのオプションがあり、特定の条件でネットワーク経路を調査できます。
オプション | 説明 |
---|---|
-d | ホスト名の解決を行わずIPアドレスのみ表示 |
-h <回数> | 最大ホップ数(デフォルトは30)を指定 |
-w <時間> | 応答タイムアウト(ミリ秒単位)を設定 |
-4 | IPv4を強制的に使用 |
-6 | IPv6を強制的に使用 |
tracert -d google.com
tracert -h 15 google.com
tracert -w 5000 google.com
tracertの出力結果には、各ホップ(ルーター)の情報が表示されます。
1 <1 ms <1 ms <1 ms 192.168.1.1
2 10 ms 12 ms 11 ms 203.0.113.1
3 15 ms 18 ms 17 ms 198.51.100.1
4 * * * 要求がタイムアウトしました。
5 25 ms 28 ms 26 ms 8.8.8.8
もし特定のホップで応答時間が急激に遅くなったり、タイムアウトが続いたりする場合、その地点に問題がある可能性があります。
異なるネットワーク環境でtracertを実行すると、通信経路の違いを確認できます。ISPやVPNを切り替えて試すことで、最適な経路を把握できます。
特定のホストへのtracertを定期的に実行し、ログを取得するバッチスクリプトを作成すると、ネットワークの変化を継続的に監視できます。
バッチスクリプト例(tracert_log.bat)
@echo off
echo %DATE% %TIME% >> tracert_log.txt
tracert -d google.com >> tracert_log.txt
echo -------------------------------- >> tracert_log.txt
このスクリプトをタスクスケジューラで定期実行すれば、ネットワーク経路の変化を追跡できます。
コマンド | 説明 |
ping | 特定のホストとの接続確認を行う |
pathping | tracertとpingを組み合わせた詳細な診断 |
netstat | 現在の接続状況を確認 |
nslookup | DNSサーバーの情報を取得 |
tracertコマンドは、ネットワーク経路を可視化し、通信遅延や障害の特定に役立つ重要なツールです。
ネットワークトラブルの際に役立つtracertコマンドを、ぜひ活用してみてください!