個人でも企業でも、パソコン内のデータを守ることがこれまで以上に重要になっています。特にノートPCの持ち歩きやテレワークの普及により、情報漏洩のリスクは常に身近なものになりました。
そこで役立つのが、Windows 11に標準搭載されているドライブ暗号化機能「BitLocker(ビットロッカー)」です。
本記事では、BitLockerの基本的な仕組みから、Windows 11での有効化手順、注意点、トラブル対応までを丁寧に解説します。情報セキュリティの第一歩として、BitLockerを正しく理解し、安全な環境を構築しましょう。
BitLockerは、Microsoftが提供するドライブ暗号化機能です。PCに保存されたデータを暗号化し、第三者がアクセスできないようにします。
たとえば、パソコンが盗難や紛失にあった場合でも、BitLockerで暗号化されたドライブ内のデータは、パスワードや回復キーがなければ読み取れません。
Windows 11 Pro、Enterprise、Educationのエディションで使用できます(Homeエディションは対象外)。
BitLockerには以下のような特徴があります:
BitLockerを利用するには、いくつかの前提条件を満たす必要があります。
確認方法は以下の通りです:
tpm.msc
を実行し、TPMのバージョンを確認ここでは、Cドライブ(OSドライブ)をBitLockerで暗号化する手順を紹介します。
「BitLockerを有効にする」をクリックすると、初期設定ウィザードが開始されます。
以下のいずれかを選びます:
※回復キーは絶対に紛失しないように注意してください。
「暗号化の開始」をクリックすると、処理が開始されます。時間はドライブ容量により異なりますが、数十分〜数時間かかることもあります。
BitLockerを使ううえで最も重要なのが「回復キーの保管」です。
誤ってキーを紛失すると、暗号化ドライブにアクセスできなくなり、データ復旧は不可能になります。以下の方法で必ず複数箇所に保存しましょう:
組織で使う場合は、Active DirectoryまたはAzure ADで集中管理も可能です。
Windows 11 HomeエディションではBitLockerは基本的に使用できませんが、以下の代替策があります:
外付けUSBドライブなどは、BitLocker To Goで暗号化可能です。
ただし、公式サポートやシステム統合の面ではBitLockerより劣る点に注意。
企業でBitLockerを導入する際は、以下のような点がポイントです:
manage-bde -status
コマンドで確認可能BitLockerはWindows 11に標準搭載されているにもかかわらず、その効果は非常に高く、PCの情報漏洩対策として極めて有効です。特にモバイルPCやテレワーク端末では、BitLockerの導入が「必須」といっても過言ではありません。
設定自体はそれほど難しくなく、初心者でも手順通りに進めれば十分に対応可能です。
回復キーの保管やOSエディションの確認など、事前の準備をしっかり行って、安全なPC運用を始めましょう。