Gitを使った開発において、「履歴をきれいに保ちたい」「チームメンバーの作業をスムーズに統合したい」と感じたことはありませんか?
そんなときに役立つのが git rebase
コマンドです。
git merge
と似たような役割を持ちながらも、よりスマートな履歴管理が可能になるこのコマンドは、Git初心者から中級者へのステップアップに欠かせない技術です。
この記事では、git rebase
の基本的な使い方から、実践的な事例、注意点まで、3000文字以上のボリュームで詳しく解説していきます。履歴を美しく整え、Gitをさらに効率よく使いこなすための第一歩を踏み出しましょう。
git rebase
は、あるブランチの変更履歴を、別のブランチの上に「付け替える」コマンドです。
具体的には、ブランチを作成した基点を別の場所に移動し、その変更内容をそこから再適用するという操作になります。
たとえば、以下のような状態を考えてみましょう:
A---B---C (main)
\
D---E (feature)
このとき feature
ブランチで git rebase main
を実行すると、以下のように履歴が並び替えられます:
A---B---C---D'---E' (feature)
このように、mergeとは違い「履歴を1本の直線」に整えることができます。
まず、リベースしたいブランチにチェックアウトします:
git checkout feature
git rebase main
このコマンドで、feature
ブランチの変更履歴が main
ブランチの最新の状態に移動します。
リベース中に競合が発生した場合、以下のように解決していきます:
# 競合を手動で解消後
git add <解決したファイル>
git rebase --continue
問題がなければ、リベースは正常に完了します。
git rebase
の中でも特に便利なのが「インタラクティブリベース」です。
git rebase -i HEAD~3
これは、直近3コミットに対して次のような編集画面を開きます:
pick 1a2b3c4 変更A
pick 5d6e7f8 変更B
pick 9g0h1i2 変更C
ここで pick
を squash
に変更することで、複数のコミットを1つにまとめることが可能です。
インタラクティブリベースを使うと、無駄なコミットやミスの修正コミットをまとめて、きれいな履歴を作れます。
よく比較されるのが git merge
との違いです。
コマンド | 履歴 | コンフリクト時 | 適した用途 |
---|---|---|---|
merge | 分岐が残る | そのままマージコミット | チーム開発での統合作業 |
rebase | 直線になる | 各コミットごとに解決 | 履歴を整理して共有したい時 |
merge
はブランチ構造がそのまま残るため、マージ元のブランチがどこから分岐してきたかがわかりやすくなります。一方、rebase
はその分、履歴がすっきりします。
個人の開発や、まだ他人と共有していないブランチには rebase
が向いています。
一度リベースを中断したいときは、次のコマンドを使います:
git rebase --abort
これでリベース前の状態に戻せます。
リベース後はコミットIDが変わるため、リモートに push するには強制オプションが必要です:
git push -f origin feature
ただし注意!
この操作は他の人の作業に影響するため、共有リポジトリでは慎重に行うべきです。
以下のような状況で git rebase
を使うと効果的です:
逆に、すでに共有しているブランチに対して無理にリベースをかけると、履歴の衝突や混乱を招く可能性があります。
git rebase
は履歴を整えるための強力なツールです。merge
と使い分けながら、開発の状況に応じて活用することで、プロジェクトの可読性やメンテナンス性が大きく向上します。
ただし、その力ゆえに慎重な運用が必要です。特にチーム開発では、共有ブランチへの強制 push などには注意しましょう。
習うより慣れろ。まずは個人開発で rebase
を試してみて、徐々に使いこなしていきましょう。履歴がスッキリまとまると、開発もきっと気持ちよく進むはずです。