Linuxで作業していると、長くて覚えにくいコマンドや、何度も繰り返し使うコマンドに出会うことがよくあります。たとえば、ls -alh や docker container ls のような定番のコマンドを、毎回手入力するのは面倒ですよね。そんなときに活用したいのが「alias（エイリアス）」コマンドです。aliasを使えば、よく使うコマンドに別名を付けて、より短く、より直感的に扱えるようになります。この記事では、aliasの基本的な使い方から設定の保存方法、活用例までをわかりやすく解説していきます。
Linuxのaliasコマンドは、コマンドに別名（エイリアス）をつけるための仕組みです。
たとえば、ls -alh という長いコマンドを ll という短い名前で呼び出せるようにしたり、grep に自動的に色付けオプションを追加したりすることが可能になります。
エイリアスの基本構文は以下の通りです。
alias 新しいコマンド名='実行したいコマンド'
alias ll='ls -alh'
このように定義することで、次回からは ll と打つだけで ls -alh が実行されます。
エイリアスを一時的に定義するには、以下のようにターミナルで直接入力します。
alias gs='git status'
alias c='clear'
これにより、現在のシェルセッション中は gs と入力すれば git status が、c と入力すれば clear が実行されます。
ただし、この方法で設定したエイリアスは、一度ターミナルを閉じると消えてしまいます。
恒久的に使いたい場合は、次項で紹介する設定ファイルへの記述が必要です。
一時的なエイリアスは便利ですが、毎回設定するのは面倒です。恒久的にエイリアスを使いたい場合は、ホームディレクトリにある設定ファイルに書き込む必要があります。
~/.bashrc
~/.zshrc
このファイルに、以下のように追記します。
alias ll='ls -alh'
alias gs='git status'
alias c='clear'
変更を反映させるには、次のコマンドを実行します。
source ~/.bashrc
# または
source ~/.zshrc
これで、次回以降のログイン時にも自動でエイリアスが使えるようになります。
日常的な作業で便利なエイリアスをいくつか紹介します。
alias ll='ls -alF'
alias la='ls -A'
alias l='ls -CF'
alias ..='cd ..'
alias ...='cd ../..'
alias grep='grep --color=auto'
alias df='df -h'
alias du='du -h'
alias ports='netstat -tulanp'
alias update='sudo apt update && sudo apt upgrade'
alias serve='python3 -m http.server'
これらを .bashrc に追加しておくことで、毎日の作業がぐっと快適になります。
現在定義されているエイリアスを確認したい場合は、以下のコマンドを使います。
alias
すべてのエイリアスが表示されるので、すでに設定済みのものを確認するのに便利です。
エイリアスを削除したい場合は、unalias コマンドを使います。
unalias ll
これで、ll というエイリアスが無効になります。
ただし、.bashrcなどに定義されている場合は、ファイルからも削除する必要があります。
すべてのエイリアスを一気に削除したい場合は以下のようにします。
unalias -a
※一時的に試したいときなどには有効ですが、注意して使用しましょう。
aliasと似た機能に「シェル関数」があります。
どちらもコマンドの省略・簡略化に使えますが、次のような違いがあります。
| 機能 | alias | 関数 |
|---|---|---|
| 単純な置き換え | 〇 | 〇 |
| 引数を使う | ×（工夫が必要） | 〇 |
| 条件分岐や複雑な処理 | × | 〇 |
mkcd () {
mkdir -p "$1"
cd "$1"
}
この関数を使えば、mkcd newdir と入力するだけで、ディレクトリを作成してそこに移動できます。
aliasは引数をうまく扱えないため、複雑な処理を行いたい場合は関数を使いましょう。
エイリアスを設定したのに動作しないという場合、以下を確認してみましょう。
source ~/.bashrc を実行したか？' の閉じ忘れなど）which コマンド名で確認）aliasコマンドは、Linuxを日常的に使うユーザーにとって、作業効率を大幅にアップさせてくれる非常に便利なツールです。
頻繁に使うコマンドや、長くて覚えにくいコマンドをエイリアスで短縮することで、ストレスのないターミナル操作が実現できます。
.bashrcや.zshrcに記述一度設定すれば、毎日の作業が快適になります。ぜひ自分なりのaliasリストを作って、Linuxライフをもっと楽しみましょう！