格闘技にはさまざまな階級(ウェイトクラス)が存在し、選手は基本的に自分の体重に合った階級で試合を行います。しかし、特定の条件下では、通常の階級を無視して設定される「キャッチウェイト(Catchweight)」というルールが適用されることがあります。
キャッチウェイトは選手同士の実力差を埋めたり、試合の実現を優先したりするために活用されるものですが、一方で賛否も分かれる制度です。
この記事では、キャッチウェイトの基本的な意味や、適用される理由、メリット・デメリット、過去の有名なキャッチウェイトの試合について詳しく解説します。
キャッチウェイト(Catchweight)とは、ボクシングや総合格闘技(MMA)などの競技において、通常の階級(ウェイトクラス)に縛られず、特定の試合のために設定される体重制限のことを指します。
通常の階級制では、試合はあらかじめ決められた体重の範囲内で行われますが、キャッチウェイトでは両選手が合意した体重で試合が行われます。
例えば、通常であれば「ライト級(70.3kg)」と「ウェルター級(77.1kg)」の選手が戦うことは難しいですが、両者が「72.5kgで戦おう」と合意すればキャッチウェイト戦となります。
キャッチウェイトが採用される主な理由は以下のとおりです。
減量が厳しい選手にとって、通常の階級で試合をするのが困難な場合があります。試合を成立させるために、双方が無理のない体重で合意するケースがあります。
異なる階級のスター選手同士の試合を実現させるために、キャッチウェイトが利用されることがあります。特に話題性のある試合では、ファンの関心を引く目的でこのルールが用いられることが多いです。
短期間で試合が決まると、通常の体重に合わせた減量が間に合わないことがあります。そのため、キャッチウェイトで試合を実施することで、試合の機会を逃さずに済む場合があります。
プロモーターや団体が、ビジネス的な理由でキャッチウェイト戦を設定することもあります。視聴率やチケット販売を考慮し、より注目度の高い試合を組むための戦略の一環です。
ボクシング界のスーパースターであるフロイド・メイウェザーとサウル・”カネロ”・アルバレスが、キャッチウェイト152ポンド(約68.9kg)で戦いました。本来、カネロはスーパーウェルター級(69.9kg)でしたが、メイウェザー側の要望で1kg軽いキャッチウェイトが設定されました。
UFC史上でも特に話題になった試合の一つです。本来フェザー級(65.8kg)で戦っていたマクレガーが、急遽ウェルター級(77.1kg)に近い体重でネイト・ディアスと戦いました。これは試合が短期間で決まったため、マクレガーが十分な減量を行えなかったことが理由です。
この試合では、通常ウェルター級(66.7kg)のミゲール・コットが145ポンド(約65.8kg)のキャッチウェイトで戦いました。結果として、パッキャオが有利な条件で試合を行えたため、一部では不公平だと指摘されました。
近年、格闘技界ではより柔軟な試合マッチメイクが求められるようになっており、キャッチウェイトの活用が増えています。
特にMMAでは、選手の安全性を重視し、極端な減量を防ぐ目的でキャッチウェイトが選ばれるケースも多くなっています。
ただし、タイトルマッチではキャッチウェイトを適用することが難しく、今後も賛否が分かれるポイントとなるでしょう。
キャッチウェイトとは、通常の階級にとらわれず、選手同士が合意した体重で行われる試合のことを指します。
減量の負担を軽減し、注目度の高い試合を実現するメリットがある一方で、公平性の問題やタイトルマッチへの適用が難しいというデメリットもあります。
今後の格闘技界においても、選手の安全や試合のエンターテイメント性を高めるために、キャッチウェイト戦が活用される場面は増えていくでしょう。