花束を贈るとき、思わず花言葉を気にしてしまうことはありませんか?
真っ赤なバラに込められた情熱的な愛、チューリップの色によって変わる意味など、美しくロマンチックな花言葉に心が踊ることも多いでしょう。
しかし、一見華やかに見える花にも、実は“怖い花言葉”が存在するのをご存じでしょうか? 由来をたどると寒気がするような言い伝えや、贈る人・贈られる人にとって不吉なメッセージを含むものなど、花言葉の世界は意外にも闇が深いのです。
この記事では、そんな“怖い花言葉”の背景や代表的な例、贈るときの注意点などをじっくり紐解いていきます。普段はあまり目を向けない、花言葉の“負の側面”を知ることで、さらに花の魅力を深く感じるきっかけになるかもしれません。ぜひ最後までお読みください。
花言葉とは、植物に象徴的な意味を与え、その花を通じて想いや気持ちを伝えるための“暗号”のようなものです。
古くはヨーロッパの宮廷文化やオスマン帝国時代の“セラム”など、花の色や形状、開花時期、神話や伝承との結びつきから少しずつ形成されてきたといわれています。
日本にも、明治時代頃から西洋の文化が流入し、いわゆる「花言葉辞典」のような本が出始めました。今日ではインターネットや書籍で簡単に検索できるため、プレゼントや装飾を選ぶ際に“花言葉”を気にする人も多いでしょう。
しかし、花言葉が生まれた背景には宗教的なシンボリズムや歴史的エピソードが根付いており、ポジティブな意味だけでなく、ネガティブなイメージやタブー視されてきた言い伝えが結びついている花も決して少なくありません。
一般的に、花は「美しさ」「生命力」「祝福」を象徴し、特に贈答用のシーンでは相手への敬意や愛情が込められています。ですが、宗教や伝承の中で“死”や“不吉”を暗示する出来事と結びついてしまった花や、伝説の中で悲劇的なエピソードがある花もあります。
また、花や色のイメージが単純にマイナスと結びつくケースもあります。たとえば、黒い色合いは欧米や日本でも「死」「不幸」を連想させることが多く、それが花言葉に反映された結果、“怖い”意味を帯びた花が存在するのです。
こうした“怖い花言葉”は人々の記憶に残りやすく、ひとたび定着すると、プレゼントで贈りづらい花のイメージが付与されてしまうこともあります。中には、実際に地域的な迷信やジンクスとして語り継がれ、「○○の花を病室に持っていくと縁起が悪い」というような言い伝えに発展することもあるほどです。
「怖い花言葉」と一口にいっても、実際にそれを贈る場面はそう多くはないでしょう。基本的には相手にとって縁起の悪い意味とされる花は避けるのが一般的です。たとえば結婚祝いの席や、お見舞いのシーンで「死」や「別れ」を連想させるような花を渡すことはマナー違反と考えられています。
しかし、近年では「ホラー」や「ゴシック」をテーマにしたパーティーや、ハロウィンなどのイベントで、あえて“怖い花”のアレンジを楽しむケースも見受けられます。黒バラやダークカラーの花を主体にしたブーケやテーブルデコレーションは、独特の雰囲気を演出できるため、若い世代を中心に人気が高まっているようです。
また、相手との特別なストーリーやネタとして“あえて贈る”という場合もあります。たとえば、意外性を狙って冗談交じりにクロユリをプレゼントし、その花言葉を説明して笑いを誘う、というようなシチュエーションもあるかもしれません。ただし、贈る相手との関係性をしっかり考慮しないと、冗談が通じず不快な思いをさせるリスクも高いので注意が必要です。
花の美しさとは裏腹に、死や不吉さといったダークな面を感じさせる言い伝えや花言葉が数多く存在するのはとても興味深いことです。そうした“怖い花言葉”を知ることで、花の歴史や文化、社会的な背景が持つ奥深さを垣間見ることができます。
もちろん、プレゼントとして花を贈る際に、あえて“怖い花言葉”をもつ花を選ぶことは通常は好まれないかもしれません。特に祝い事やデリケートなシーンでは、慎重な配慮が求められます。しかし、ハロウィンやゴシック調の演出を楽しみたいときや、ユーモアや意外性を狙ったサプライズならば、“怖い花言葉”が逆に印象的な思い出を作ってくれる可能性もあるでしょう。
花言葉はもともと曖昧な部分も多く、一つの花に複数の意味があるのが当たり前です。ポジティブな側面も、ネガティブな側面も、どちらも含めて花の“語り”を楽しむ姿勢が大切なのかもしれません。ぜひ次回、花を選ぶときには、こうした怖い花言葉にも目を向けてみてください。思いがけないエピソードや物語に出会えるかもしれません。