葬儀の場では、参列者から「香典」をいただくことが一般的です。
しかし、遺族の意向や故人の希望によって「香典を辞退したい」と考える場合も少なくありません。香典を受け取らないことを決めた場合、どのように伝えれば相手に失礼なく、気持ちを汲んでもらえるのでしょうか。
本記事では、香典を辞退する際の基本的な考え方やマナー、そして実際に使える具体的な例文を紹介します。場面に応じた表現を知っておくことで、遺族側も参列者側も心穏やかに見送ることができます。
香典を辞退する背景には、さまざまな理由があります。代表的なものを整理してみましょう。
香典を辞退する場合には、次の点を意識すると相手に失礼なく伝えられます。
実際に葬儀の案内で使える例文を紹介します。
「このたびの葬儀に際しましては、誠に勝手ながら香典は固くご辞退申し上げます。皆様のご厚志につきましてはお気持ちだけありがたく頂戴いたします。」
「なお、故人の遺志により、葬儀は家族葬にて執り行います。つきましては、誠に勝手ながらご香典やご供物はご辞退申し上げます。」
「皆様のご厚志は大変ありがたく存じますが、今回の葬儀では香典の儀は固くご辞退申し上げます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。」
受付や電話で香典を辞退する場合の言い回しも紹介します。
「本日はご会葬いただきありがとうございます。恐縮ですが、故人の遺志により香典はご辞退させていただいております。」
「お気遣い誠にありがとうございます。ただ、誠に勝手ながら今回は香典を辞退させていただいておりますので、お気持ちだけありがたく頂戴いたします。」
その場で強く断ると相手を傷つけることもあります。受け取った上で「後日、返却する」または「供養料として扱う」方法があります。
香典と供花は別の扱いですが、辞退の意向を徹底する場合は「供花も辞退」と明記しておくのが望ましいです。
決して失礼にはあたりません。ただし、伝え方が不十分だと誤解を生むため、案内や口頭で明確に伝えることが重要です。
香典を辞退することは珍しいことではなく、近年では家族葬や直葬が増えたことから一般的になりつつあります。
大切なのは「故人や遺族の思いを尊重しながら、相手に失礼なく伝える」ことです。
これらのポイントを押さえておけば、参列者にも誠意が伝わり、落ち着いた雰囲気で故人を見送ることができます。