お通夜や葬儀に参列する際に欠かせない「御霊前」。突然の訃報で準備に戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。とくに香典袋の表書きや名前の書き方、金額の入れ方などには、宗教や作法に合わせたマナーが求められます。この記事では、御霊前の意味や用途をはじめ、正しい書き方・マナー・注意点をわかりやすく解説します。初めて御霊前を用意する方にも、安心して準備できるような内容になっています。
御霊前(ごれいぜん)とは、亡くなった方の霊前に供える香典や供物を表す言葉です。「霊前」とあるように、亡くなった直後から葬儀の段階に使う表現であり、仏教、神道、キリスト教など幅広い宗教で用いられます。
ただし、浄土真宗では死後すぐに「成仏する」とされるため、「御霊前」ではなく「御仏前(ごぶつぜん)」が使われます。宗派に応じて使い分けることが大切です。
使用する場面の例:
香典袋の表書きには、宗教・宗派に応じた正しい言葉を記載する必要があります。御霊前は一般的に使える表現ではありますが、宗派により使えないこともあるため、確認が必要です。
香典袋に記載する際は、毛筆または筆ペンで楷書で丁寧に書きます。ボールペンやサインペンは避けましょう。
表書きの下には、自分の名前をフルネームで記入します。バランスを取りながら、表書きよりやや小さめに書くのが基本です。
連名の場合は、住所・連絡先などを別紙に添えると丁寧です。
香典袋には、中袋または中包みと呼ばれる封筒が入っています。そこにも正しい記載が必要です。
中袋がない場合は、香典袋の裏面に記載します。
御霊前として包む金額は、故人との関係性や地域の風習によって異なります。以下は一般的な相場の目安です。
関係性 | 金額の目安 |
---|---|
友人・知人 | 3,000~5,000円 |
会社関係 | 5,000~10,000円 |
親戚・親族 | 10,000~30,000円 |
両親 | 50,000円前後 |
祖父母 | 10,000~30,000円 |
偶数や「4」「9」は縁起が悪いとされるため、避けるのが一般的です。3千円、5千円、1万円などがよく使われます。
香典袋には種類があり、金額や故人との関係によって使い分けが必要です。
迷った場合は、文具店やスーパーで「御霊前」と表記された袋を選べば大きな間違いは避けられます。
御霊前は葬儀や通夜の受付で渡すのが一般的です。以下のポイントを意識しましょう。
ふくさの色は、紺・グレー・紫など落ち着いた色が適しています。派手な色や柄物は避けましょう。
御霊前を用意する際は、宗派によって「適さない表記」があるため注意が必要です。
不安な場合は、宗派を遺族に確認するか、葬儀社に相談してから用意すると安心です。
御霊前の書き方には、宗教や風習に応じた細かいマナーがありますが、基本をおさえておけば慌てることはありません。香典袋の表書き、名前、中袋の金額や住所などは丁寧に書くこと、また適切な金額や渡し方を理解しておくことが大切です。
突然の訃報に備え、事前にマナーを知っておくことは大人としての心構えでもあります。この記事が、御霊前の準備に不安を感じる方のお役に立てば幸いです。