突然の訃報や法要の際に、心を込めていただくお供え物。いただいたお気持ちに対して、丁寧に「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えることは大切です。しかし、いざ言葉にしようとすると「どんな文面が適切なのだろう」「どんな表現が失礼にならないだろう」と迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、お供え物をいただいた際のお礼状やお礼のメッセージの書き方・マナーを解説するとともに、すぐに使える例文を10個ご紹介します。相手に失礼にならない言葉遣いで、かつ心温まる感謝を伝えられるよう、ぜひ参考にしてみてください。
お供え物は、故人や仏様へお供えする「供養」の気持ちが込められた贈り物です。お花やお菓子、果物など、地域や宗教、個人の習慣によってさまざまなものが選ばれます。お供えをいただく側としては、故人やご家族のことを想って用意してくださった相手の心遣いに対して感謝の言葉を伝えることが大切です。
また、法事やお盆・お彼岸などの仏事以外にも、命日や月命日に合わせてお供えが贈られる場合があります。いずれにしても、相手が「ご冥福をお祈りしたい」「少しでも支えになりたい」という優しい気持ちを形にしてくださったものです。いただいたそのままにしておくのではなく、感謝の意をしっかり言葉で表しましょう。
お供え物をいただいた場合は、なるべく早めにお礼を伝えるのが基本的なマナーです。目安としては、相手からお供え物が届いた日から一週間以内、可能であれば3日以内を目処にお礼状やお礼の言葉を贈るようにしましょう。もし直接会う機会があるなら、口頭でも構いませんが、後日改めて手紙やハガキ、メールなどで感謝を記しておくとより丁寧です。
弔事関連では、「香典返し」と「お供えへのお礼」が混同されがちです。香典返しは葬儀や法要の際にいただいた香典に対するお返しであり、お供えのお礼とは別の扱いになります。いただいたお供え物が香典とは別に用意されたものであれば、「香典返しとは別に」一言お礼をお伝えしなければならない場合があります。相手が香典を用意した方とは異なるケースも多いので、混同しないように留意しましょう。
お供え物は、故人や仏様への供養の気持ちが込められているため、「故人もきっと喜んでいます」「故人の好きだった○○をお供えしてくださり嬉しいです」といった故人とのエピソードを少し盛り込むと、より温かい言葉となります。受け取った相手としても「供養の気持ちがしっかり届いている」と感じるはずです。
「お心遣いありがとうございます」「お気持ちを大切に受け取りました」といった言葉を添えると、相手に対する敬意や思いやりが表せます。「わざわざお供え物をご準備いただき、申し訳なく思うほどです」など、相手が手間をかけてくださった点を認める表現を入れると、より丁寧です。
あまりに気を遣いすぎて遠回しな表現が続くよりは、シンプルでわかりやすい日本語を使い、真摯にお礼を伝える方が気持ちが伝わりやすいこともあります。あわせて、間違った敬語や過度なへりくだりは相手に負担感を与える場合もあるので、程よい丁寧さを意識しましょう。
以下に、さまざまな状況に合わせた「お供えのお礼」を伝える文例を10つご紹介します。実際に手紙やメールを作成する際は、宛名や差出人の表記などを整えたうえでご活用ください。
このたびはご丁寧にお供えをお送りいただき、誠にありがとうございました。
故人も、生前大変お世話になった○○様のお心遣いを、きっと喜んでいることと思います。
さっそく仏前にお供えさせていただきました。これからもどうぞ見守ってくださいますようお願い申し上げます。
先日はわざわざお供え物をいただきありがとうございます。
故人が生前好んでいた果物をお気にかけて選んでくださったと伺い、とてもありがたく思います。
故人の仏前に供えて、みなで思い出話をしながらいただきました。心より御礼申し上げます。
このたびは温かいお心遣いを賜り、本当にありがとうございました。
お供えいただいたお花は、故人もきっと喜んでいることと思います。
まだ落ち着かない日々ではありますが、○○様のお気持ちに支えられ、少しずつ前を向いております。重ねて御礼申し上げます。
先日はごていねいなお供え物をお送りくださり、誠にありがとうございます。
故人も生前から○○様には親身になっていただき、感謝の気持ちでいっぱいでした。
これからも故人を想いながら日々を過ごしていこうと思います。どうか今後ともよろしくお願いいたします。
このたびはご厚情あふれるお供え物をいただき、心より感謝申し上げます。
故人のためにお祈りをいただいていると聞き、胸が温かくなりました。
さっそく仏壇に供えさせていただきます。今後とも変わらぬお付き合いをお願いできれば幸いです。
先日は亡き父へのお供えをお送りくださいまして、ありがとうございました。
故人が好んでいた品をご存じだったこと、驚きとともに嬉しさでいっぱいです。
おかげさまで懐かしい思い出話に花が咲きました。重ねて御礼を申し上げます。
お忙しい中、お供えをわざわざ送ってくださり、ありがとうございます。
まだ悲しみは尽きませんが、皆さまのお気持ちに支えられ、ゆっくりと乗り越えていけそうです。
故人もきっと安心して見守ってくれていると信じております。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
先日は心のこもったお供え物を賜り、誠にありがとうございました。
ご連絡もいただき、ご家族皆様のお気持ちをありがたく受け止めております。
まだまだ至らないことばかりですが、故人の教えを胸に、前向きに暮らしていきたいと思います。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
遠方にもかかわらず、お気遣いくださりありがとうございました。
故人が旅立ってからまだ日が浅い中、こうして思ってくださる方がいることにとても励まされます。
みなさまの優しさを糧に、家族で力を合わせて過ごしてまいります。改めて御礼を申し上げます。
このたびはお供え品をお送りいただき、心より感謝いたします。
お香の香りは故人が好んでいたもので、仏前が大変穏やかな空気に包まれました。
どうかこれからも故人を見守っていただき、折に触れて思い出していただければ幸いです。本当にありがとうございました。
お供え物をいただいた際のお礼は、相手の「故人を想う気持ち」に感謝する意味合いがあります。お供え物そのものの準備に加え、相手が時間や心遣いをかけてくださったことも踏まえて、早めかつ丁寧にお礼の言葉を伝えることが大切です。
「どんな言葉で書けばいいか」と悩む方も多いかもしれませんが、基本はシンプルに「ありがとう」という感謝を伝えつつ、故人が喜んでいるであろうことや、相手の心遣いに対する敬意を忘れずに添えることです。難しい言葉や長文は必ずしも必要ありません。逆に、ご自身の本音が伝わるような文章こそ、相手にも温かい気持ちがしっかりと届きます。
本記事でご紹介した例文を参考に、あなたなりの言葉を添えてお礼状やメッセージを作成してみてください。大切なのは、相手がしてくださったことに心からの感謝を伝えることです。きっと故人も、またお供え物を贈ってくださった方も、その思いを嬉しく受け止めてくれることでしょう。