デジタル社会が当たり前となった現代では、写真や動画、業務データなど、私たちの周りにある情報量は爆発的に増え続けています。日常的によく耳にする容量の単位といえばギガバイト(GB)やテラバイト(TB)ですが、その先にはどれほど大きな単位があるのでしょうか。本記事では「テラバイト(TB)の次」の単位を中心に、大容量のデータ単位の名前やその規模感、さらにはそれらが今後どのような分野で活躍するのかについて詳しく解説します。
1. テラバイト(TB)とは?まずは基本をおさらい
私たちの生活の中で、最も身近な大容量単位として「TB(テラバイト)」という言葉を耳にすることが多くなりました。パソコンのハードディスクやSSD、クラウドストレージなどの容量を考えるとき、GB(ギガバイト)の上がテラバイト(TB)です。
- 1バイト(Byte):最も基本的な情報量の単位
- 1キロバイト(KB):1,024バイト
- 1メガバイト(MB):1,024 KB(約1,048,576バイト)
- 1ギガバイト(GB):1,024 MB(約1,073,741,824バイト)
- 1テラバイト(TB):1,024 GB(約1,099,511,627,776バイト)
ここでの「1,024」という数値は「2の10乗」に基づくコンピューターの2進数文化から来ています。
普段は丸めて1,000倍として扱われることもあり「約1,000GB=1TB」のように簡略化される場合も多いですが、正確には1,024倍の関係です。
そして、テラバイトでさえ何万枚もの写真や数百時間の動画を保存できるほどの容量ですが、それでも現代のデータ量増加を考慮すると、TBを超える単位を使うケースが確実に増えています。では、テラバイトの次にはどのような単位が存在するのでしょうか。
2. テラの次の単位一覧:ペタからヨタまで
テラバイトの先には、ペタバイト(PB)、エクサバイト(EB)、ゼタバイト(ZB)、ヨタバイト(YB)の順番でさらに大きな単位が続いていきます。これらは SI接頭語(国際単位系で定められた接頭語)に準拠した呼称です。
2-1. ペタバイト(PB)
- 1ペタバイト(PB)=1,024 TB(約1,125,899,906,842,624バイト)
ペタバイトはテラバイトのさらに1,024倍にあたります。最近では、企業が扱うビッグデータや動画配信サービス、研究機関のシミュレーションデータなどでペタバイト規模の容量に到達するケースが珍しくありません。カメラの高解像度化や、4K・8Kといった高画質動画の普及によって、個人でもペタバイトレベルのストレージが手の届く時代も遠くはないといわれています。
2-2. エクサバイト(EB)
- 1エクサバイト(EB)=1,024 PB(約1,152,921,504,606,846,976バイト)
ペタバイトのさらに1,024倍がエクサバイトです。エクサバイトともなると、データセンターやクラウドサービスプロバイダの管理する巨大なデータ量や、超大規模な科学研究(気象予測や天体物理学など)でようやく目にする数字となります。世界規模のSNSやインターネット上の動画プラットフォームは、エクサバイト単位のデータを保持しているともいわれています。
2-3. ゼタバイト(ZB)
- 1ゼタバイト(ZB)=1,024 EB(約1,180,591,620,717,411,303,424バイト)
エクサバイトの1,024倍がゼタバイトです。ゼタバイトのスケールになると、もはや私たちの日常感覚では想像しにくい途方もない数字になります。世界中のデータ量を推定するときに使われる数字として、ゼタバイトの単位が登場することがあります。2020年代には世界全体で数十ゼタバイトのデータが存在するといわれ、その成長はさらに加速すると見込まれています。
2-4. ヨタバイト(YB)
- 1ヨタバイト(YB)=1,024 ZB(約1,208,925,819,614,629,174,706,176バイト)
ゼタバイトの1,024倍がヨタバイトです。現時点では実用面でヨタバイト級のデータを扱う事例はまだ限られているものの、次世代の膨大なデータ需要に対応するための視野として、あくまで理論上の最大級の単位として認識されることが増えています。今後、IoTやAI、ビッグデータがさらに進化し、地球規模どころか宇宙規模の観測が進むにつれて、ヨタバイトを使う時代も想像の範囲内になりつつあります。
3. これらの大容量単位が使われる分野
では、実際にペタバイト(PB)やエクサバイト(EB)といった大容量データを利用するのはどのような分野なのでしょうか。以下に代表的な例をいくつか挙げます。
- ビッグデータ解析
SNSやECサイトから得られるユーザー行動データ、スマートフォンで収集される位置情報データなどは日々膨大な量が発生します。こうしたビッグデータを活用して新しいビジネスモデルを生み出すために、企業や研究機関ではペタバイトやエクサバイト規模のデータを分析するケースが増えています。 - クラウドストレージサービス
GoogleやAmazonといったクラウド事業者は、世界中のユーザーがアップロードするデータを一括管理しています。それらのサーバー群では、まさにエクサバイト級のデータがやり取りされていると考えられます。 - 高解像度動画配信
NetflixやYouTubeのような動画配信サービスは、4Kや8Kといった高解像度のコンテンツを提供しています。一人ひとりの動画が数GBから数十GBを消費するため、全世界の利用者を合わせると数ペタバイト、さらにはエクサバイト規模のストレージが必要となります。 - 科学技術分野
天文学や気象学、粒子物理学のような分野では、衛星観測データや衝突実験の結果など、膨大なデータが発生します。これらはソリューションの規模が拡大するにつれ、ゼタバイト級へ近づいていく可能性も高いです。
4. データ容量の爆発的増加とストレージ技術の進化
技術の進歩によってカメラの解像度が上がり、動画や写真のファイルサイズは飛躍的に大きくなりました。また、IoT(Internet of Things)の普及で、センサーや端末から24時間絶え間なくデータが生成されるようになりました。人間の数をはるかに上回るセンサーやロボット、ドローンなどから収集されるデータは、ますます大容量化の一途をたどります。
このような爆発的なデータ量の増加に対応するために、ストレージの技術も絶えず進化しています。従来のHDD(ハードディスクドライブ)からSSD(ソリッドステートドライブ)へ移行する流れが加速しており、さらに高密度にデータを詰め込める技術や、次世代の半導体メモリの開発も活発化しています。クラウド上では複数のストレージソリューションを仮想的に束ねることで、大容量かつ高速にアクセスできる分散ストレージの概念が重要視されています。
5. 大容量データがもたらす未来予測と活用事例
大容量データの利活用は、今後さらに多くの可能性を秘めています。以下にいくつかの活用事例や未来予測を紹介します。
- AI(人工知能)との融合
機械学習やディープラーニングといったAI技術は、データ量が多いほど精度を高めることができます。医療分野では、膨大な画像診断データを解析してがん検出の精度を上げる研究が進んでいます。製造業では、IoTセンサーからの故障予兆データを大量に集め、AIが異常を事前に察知する「予知保全」の取り組みが加速しています。 - ビジネスの高度化
企業が保有する顧客データや購買履歴、ウェブアクセスログを統合的に解析することで、新商品開発のヒントや的確なマーケティング戦略が生まれます。大量のデータをリアルタイムに処理し、顧客の嗜好や行動を先読みするサービスが今後ますます増えていくでしょう。 - スマートシティの実現
都市計画や交通管理において、膨大なセンサーデータ(車両の走行情報や人の移動データなど)を活用するスマートシティの研究が進んでいます。データを駆使して交通渋滞を緩和し、エネルギー効率を最適化することで持続可能な社会を目指す動きが活発です。 - メタバースやXR(拡張現実)
インターネット上の3D仮想空間であるメタバースや、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)・MR(複合現実)などのXR技術も、大量のデータを活用します。ユーザーごとに最適化された高精細な映像や仮想オブジェクトのレンダリングには、多くの演算能力とストレージが必要です。
今後も様々な分野でビッグデータや超ビッグデータが用いられる可能性が高く、ペタバイト以上の単位に日常的に触れる機会が増えると予想できます。
6. まとめ
テラバイト(TB)の次には、ペタバイト(PB)、エクサバイト(EB)、ゼタバイト(ZB)、ヨタバイト(YB)という単位が続いており、それぞれがテラバイトの1,024倍ずつ大きくなっていくスケールを持っています。いずれの単位も現代のビッグデータ時代には無縁ではなく、特にペタバイトやエクサバイトは企業や研究機関が日常的に取り扱うようになりました。