ネットワークの設計や設定において避けて通れないのが「サブネット」の理解と計算です。
IPアドレスにサブネットマスクを組み合わせることで、ネットワークを分割・整理し、効率的に通信を行うことができます。
本記事では、サブネットの基本的な概念から、実際の計算方法、CIDR(サイダー)表記の読み方まで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。
IPアドレスは、ネットワーク部分とホスト部分に分けられています。
この分け方を調整するために使われるのが「サブネットマスク」です。
たとえば、IPアドレス「192.168.1.10」に「255.255.255.0」というマスクをつけると、「192.168.1」がネットワーク部分、「10」がホスト部分という意味になります。
つまり、サブネットとは、大きなネットワークを小さなグループに分割する仕組みのこと。
ネットワークの分割によって、効率的なIPアドレスの割り当て、トラフィックの管理、セキュリティ強化などのメリットが得られます。
サブネットマスクは、IPアドレスと同様に32ビットで表されます。
ビットが「1」であればネットワーク部、「0」であればホスト部を意味します。
例:
このマスクをIPアドレスとAND演算することで、そのIPがどのネットワークに属するかがわかるのです。
CIDR(Classless Inter-Domain Routing)表記とは、IPアドレスの後ろにスラッシュ(/)とビット数を付けて、サブネットマスクの長さを表す方法です。
例:
CIDR表記を使うと、柔軟なネットワーク設計が可能になります。
たとえば、「/27」なら32個のIPアドレスが使えます(うち30個がホスト用)。
サブネットの計算は、一見すると複雑に見えるかもしれませんが、手順に沿って行えば理解できます。
たとえば、20台の機器にIPアドレスを割り当てたい場合、必要なホスト数は「20台 + 2(ネットワークアドレスとブロードキャストアドレス)」=22台です。
2のn乗-2 ≥ 必要なホスト数になる最小の「n」を求めます。
例:2⁵-2=30 ≥ 22 ⇒ ホスト部は5ビット必要
32ビットからホスト部のビット数を引くと、ネットワーク部の長さが求まります。
例:32-5=27 ⇒ CIDR表記は「/27」
「/27」は、ビットで書くと「11111111.11111111.11111111.11100000」
⇒ これを10進数に変換すると「255.255.255.224」
例題:192.168.10.0/26 のネットワークを分解してみる
このように、IPアドレスの範囲を細かく分けて、必要に応じたネットワーク設計が可能になります。
CIDR | サブネットマスク | 利用可能ホスト数 |
---|---|---|
/30 | 255.255.255.252 | 2 |
/29 | 255.255.255.248 | 6 |
/28 | 255.255.255.240 | 14 |
/27 | 255.255.255.224 | 30 |
/26 | 255.255.255.192 | 62 |
/25 | 255.255.255.128 | 126 |
/24 | 255.255.255.0 | 254 |
これを使えば、設計時にぱっと最適なサブネットサイズを見つけることができます。
サブネットの計算は、最初は苦手意識を持つ方も多いですが、仕組みを理解していけば自然と身につきます。
IPアドレスの設計や管理において、サブネットを使いこなせることは大きな強みです。
本記事を参考に、ぜひ手を動かしてサブネットの計算にチャレンジしてみてください。