Aerial view of a man using computer laptop on wooden table
システム開発において「テーブル設計」は、土台となる重要な工程のひとつです。どんなに優れたアプリケーションを作っても、データベースの設計が不十分であれば、性能の低下やメンテナンス性の悪化、データの不整合といったトラブルが発生します。テーブル設計は、単なる項目の並べ方ではなく、利用者の業務フローや将来の拡張性までを見据えた「情報の設計図」といえるでしょう。本記事では、システム開発で実践されるテーブル設計の作成法について、基本的な流れから実践的な手順、さらに注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。
テーブル設計とは、システムで扱うデータを整理し、データベースに格納するための「構造」を定義することです。システムが扱う情報は、ユーザー、商品、注文、在庫などさまざまな要素に分解されます。これらを効率的かつ正確に保存し、必要なときに取り出せるようにするための設計図がテーブル設計です。
テーブル設計は、以下のステップで進めます。
ECサイトを例にすると、以下のようなエンティティを考えられます。
以下のような関係図を作成するとわかりやすくなります。
[Customer] 1 ---- * [Order] 1 ---- * [OrderDetail] * ---- 1 [Product]
正規化のステップを踏むことで、冗長なデータや不整合を避けられます。例えば、注文ごとに顧客の住所を繰り返し保存するのではなく、顧客テーブルに住所をまとめて管理し、注文テーブルから参照する形にします。
ER図をもとに、実際のSQLでテーブルを作成する例を示します(MySQLを想定)。
-- 顧客テーブル
CREATE TABLE Customer (
customer_id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(100) NOT NULL,
email VARCHAR(100) UNIQUE NOT NULL,
address VARCHAR(255),
phone VARCHAR(20),
created_at TIMESTAMP DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP
);
-- 商品テーブル
CREATE TABLE Product (
product_id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
product_name VARCHAR(100) NOT NULL,
price DECIMAL(10,2) NOT NULL,
stock INT DEFAULT 0,
created_at TIMESTAMP DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP
);
-- 注文テーブル
CREATE TABLE `Order` (
order_id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
customer_id INT NOT NULL,
order_date TIMESTAMP DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP,
total_amount DECIMAL(10,2) NOT NULL,
FOREIGN KEY (customer_id) REFERENCES Customer(customer_id)
);
-- 注文詳細テーブル
CREATE TABLE OrderDetail (
order_detail_id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
order_id INT NOT NULL,
product_id INT NOT NULL,
quantity INT NOT NULL,
unit_price DECIMAL(10,2) NOT NULL,
FOREIGN KEY (order_id) REFERENCES `Order`(order_id),
FOREIGN KEY (product_id) REFERENCES Product(product_id)
);
この構造により:
といった役割分担が可能になります。
テーブル設計はシステム開発の基盤を支える重要な工程です。業務要件を正しく理解し、エンティティを整理し、正規化とキー設定を適切に行うことで、信頼性の高いデータベースを構築できます。さらに、ER図で視覚化し、SQLで具体化することで、チーム全体で共有できる「強固な設計図」となるのです。