近年、消費者の購買行動は大きく変化し、従来のマーケティングモデルであるAIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)だけでは十分に対応できなくなっています。特に、SNSの普及により消費者の情報収集や意思決定のプロセスが変わったことで、新たな購買行動モデル「SIPS(シップス)」が注目されています。
SIPSは、従来の「広告を見て欲しくなる」という流れではなく、「共感し、情報をシェアし、購買を通じて繋がる」という行動に基づいたモデルです。本記事では、SIPSの意味やAIDMAとの違い、企業が活用すべきポイントについて詳しく解説します。SNS時代のマーケティングを成功させるために、ぜひ参考にしてください。
SIPS(シップス)とは、Sympathize(共感)→ Identify(確認)→ Participate(参加)→ Share & Spread(共有・拡散) の頭文字を取った消費者の購買行動モデルです。このモデルは、SNS時代の消費者行動を反映しており、従来の広告主主体のマーケティングとは異なり、消費者同士の共感やつながりを重視しています。
AIDMAは、Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の流れで消費者の購買行動を説明するモデルです。これは、広告や宣伝を通じて消費者に認知させ、購買に至らせる手法です。
AISASは、Attention(注意)→ Interest(興味)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)というモデルで、特にインターネットや検索行動を取り入れた形です。消費者が情報を検索することを前提とし、共有を促すことを重視しています。
モデル | 特徴 | SNSとの親和性 |
---|---|---|
AIDMA | 企業発信の広告を基に購買行動が進む | 低い |
AISAS | 消費者の検索行動を重視 | 中程度 |
SIPS | 共感・拡散によって購買行動が進む | 高い |
AIDMAやAISASが企業主体の情報発信に重点を置いているのに対し、SIPSは消費者同士の情報共有や共感を重視する点が特徴です。
あるコスメブランドは、インフルエンサーに無料で商品を提供し、SNSで「#〇〇のある生活」などのハッシュタグをつけて投稿してもらいました。フォロワーはその投稿を見て共感し、自らも購入。その結果、多くのユーザーが「共有・拡散」し、ブランドの認知度と売上が大幅に向上しました。
アパレルブランドが「あなたのコーディネートを投稿して〇〇をもらおう!」というキャンペーンを実施。ユーザーが自分のコーディネートを投稿し、その写真が公式アカウントでシェアされることで拡散。ユーザー同士のつながりが強まり、新規顧客の獲得に成功しました。
SIPSは、SNS時代に適した新しい購買行動モデルであり、「共感」「確認」「参加」「共有・拡散」 の4ステップを通じて消費者がブランドや商品と関わる仕組みです。従来のAIDMAやAISASと比べ、企業主体ではなく消費者主体のマーケティングが求められるため、戦略の組み方も変わります。
現代のマーケティングでは、単に広告を打つだけでなく、消費者の「共感」を生むコンテンツ作りや、拡散を促す仕組みが必要です。SIPSの考え方を取り入れることで、より多くの消費者に自然にリーチし、ブランドの成長を促進できるでしょう。