登録販売士試験は、一般用医薬品(いわゆる市販薬)についての知識が問われる試験です。お店で薬を販売するためには、この試験に合格しなければなりません。中でも、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」は試験の基本中の基本。薬が体にどう働くのか、副作用とは何か、安全に使うにはどうすればいいか……など、身近だけど意外と知らないことが多い内容です。この記事では、難しい言葉をできるだけ使わずに、わかりやすく解説していきます。これから登録販売士を目指す方、特に「まずは基礎から」という人にぴったりの記事です。
医薬品は、病気や体の不調を治したり、症状をやわらげたりするために使われるものです。でも、「効く」ということは、それだけ体に強い影響を与えるということでもあります。つまり、良い効果(主作用)だけでなく、悪い反応(副作用)が起こる可能性もあるのです。
たとえば、風邪薬を飲んで熱は下がったけど、眠くなった…という経験はありませんか?
これが副作用です。副作用は、どんな薬にも起こりうるもので、まったくない薬は存在しません。
だからこそ、医薬品は正しく使うことが大切です。誰でも自由に好きなだけ薬を飲んでいいわけではありません。決められた量(用量)を守り、正しい使い方(用法)を守ることが、効果を安全に引き出すポイントです。
医薬品は、すべての人に同じように効くわけではありません。体の大きさ、年齢、体質、病気の有無、飲んでいる薬の種類など、いろんな条件によって効き方が変わります。
たとえば、小さい子どもと大人が同じ薬を同じ量飲んでしまうと、子どもの体には強すぎることがあります。また、お年寄りは体の働きが弱くなっているので、副作用が出やすくなることもあります。
このように、「誰にでも同じ」という考え方ではなく、「人によって違う」という考え方をもつことが大切です。登録販売士としては、お客様の状態をよく聞いて、合う薬を提案する必要があります。
薬は飲んだあと、すぐに効くわけではありません。口から飲んだ薬は、胃や腸で吸収されて、血液にのって全身を回ります。そこから必要な場所に届いて、効きはじめます。これを「薬の動き(薬物動態)」といいます。
大まかな流れはこうです。
薬の種類によって、この流れのスピードや効き方が違います。たとえば、「早く効くけどすぐ切れる薬」や「ゆっくり効いて長く続く薬」などがあります。使う場面や症状によって、選び方も変わってくるのです。
薬はとてもデリケートです。直射日光や湿気、高温などに弱いことがあります。保存方法を間違えると、成分が変化してしまい、効かなくなったり、逆に体に悪い影響を与えたりすることもあります。
また、使用期限にも注意が必要です。薬にも賞味期限のようなものがあって、期限を過ぎた薬は、成分が分解されてしまっていたり、予期せぬ副作用が出るリスクもあります。
家庭では、以下のような保存ルールを守りましょう。
登録販売士として、お客様にこういった保存のアドバイスもできると信頼されます。
登録販売士は、ただ薬を売るだけではありません。お客様の状態に合わせて、必要な情報を聞き取り、薬の選び方や使い方についてしっかり説明する役割もあります。
相談で特に大切なポイントは以下の通りです。
たとえば、「かぜ薬をください」と言われても、その人が高血圧の薬を飲んでいたら、使ってはいけない成分が入っていることもあります。情報をよく聞いて、薬をすすめるか、病院へ行くよう案内するかの判断が求められます。
市販薬(一般用医薬品)は、第1類・第2類・第3類に分かれています。これは**リスク(副作用などの危険度)**による分類です。
登録販売士は、第2類・第3類医薬品を販売できます。ただし、お客様に対して適切な説明が必要で、販売の際には注意書きなどもきちんと伝える義務があります。
最近は、健康食品やサプリメントを使っている人も増えています。でも、これらは医薬品とは違います。
登録販売士としては、「サプリと薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?」という質問もよく受けます。中には、サプリの成分が薬の効果を強めたり、逆にじゃましたりすることもあるので、注意が必要です。
医薬品は、正しく使えばとても頼りになる存在ですが、使い方を間違えるとリスクもあります。登録販売士は、お客様が安心して薬を使えるように、正しい知識とアドバイスができる専門家です。
今回紹介した内容は、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」の基礎的な部分ですが、試験でもよく出る重要なポイントです。
これから試験勉強を始める方は、ぜひ繰り返し読み返して、しっかり理解しておきましょう。
合格への第一歩は、正しい知識を身につけることから。がんばってください!